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世界が魅了された陶芸の粋・宮川香山

IGNITE / 2016年3月23日 10時0分

世界が魅了された陶芸の粋・宮川香山

今年は陶芸家・宮川香山の没後100年ということで、サントリー美術館の特別展に足を運んだ。

初代・宮川香山は幕末から明治、大正と長期にわたって活動し続けた京都出身の陶芸家。京都・真葛が原の陶工の息子として生まれ、岡山の虫明、そして文明開化に湧く横浜に移住した。

香山が薩摩焼から新しく編み出した「眞葛焼」は、奇抜でもあり美しくもあり、驚嘆させられる。そしてそれらの陶器の殆どは開港した横浜から輸出され、欧米諸国を魅了して万国博覧会でも数々の賞を受賞したという。

サントリー美術館の展示室に入ると、まず出迎えてくれたのが「高取釉高浮彫蟹花瓶」。

花瓶に蟹がよじ登っているのだが、その姿があまりにリアルで傍目から見たら本物かと見間違える。しかし、これは陶器なのだ。

そういった花瓶などの陶器にリアルな造形物を載せたり飛ばせてみたり、浮彫で装飾するこの技法を「高浮彫」と言い、香山が生み出した驚くべき陶工の技である。

飛び立つ鳥、枝に咲く花、滝や動物が生き生きと花瓶や飾り皿から踊り出す。高浮彫の陶器が展示室に並べられていると、まるで立体化した山水画や屏風絵を見ているかのようだ。

それ程、陶器という枠を越えた繊細な色遣いや表現力が見事なのである。

今回の展示では、彼が後になって制作した「釉下彩」の作品も見ることが出来る。これは立体的な高浮彫とは一転して、滑らかな陶器を彩る釉薬の色合いを堪能して頂きたい。

実に美しい、やわらかな色合い。微妙な青や赤のグラデーションに溜息が出る。

世界が魅了される繊細な色彩、魔法のような技法を堪能出来る香山の作品がここまで揃う事は非常に珍しい。

この機会に足を運んでみてはどうだろうか。

(田原昌)

「没後100年 宮川香山」
会期:2016年2月24日(水)~2016年4月17日(日)
休館日:火曜日(ただし4月12日(火)は開館)
開館時間:10時~18時(金・土は20時まで開館)
入場料:一般 1,300円、大学・高校生 1,000円、中学生以下無料
会場:サントリー美術館(東京ミッドタウン ガレリア3階)
住所:〒107-8643 東京都港区赤坂9-7-4
TEL : 03-3479-8600
HP : http://suntory.jp/SMA/

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