プラハの街中に突如現れる、不思議なモダンアートのカフェでひと息
IGNITE / 2016年5月9日 8時0分
中世の街並みが続くプラハ。その街中に突如として現れる不思議な形をした建物。
周囲とは全く違う形状をしており、色も華やかさがなくてつい見落としてしまう観光客も多いと聞くが、実はチェコにしか存在しない貴重な「キュビズム」の建築物なのである。
煉瓦色のような褐色の落ち着いた壁に、全体を引き締める黒。角張ったような雰囲気をもつ、シンプルな外観。
建物の一角には幼いキリストを抱いた肌の黒いマリア像があり、それ故にこの建物は「Dům U Černé Matky Boží(黒い聖母の家)」と呼ばれている。
建物に入ると、床のタイルもランプも全て直線によって構成されていた。しかし、建物中央に達すると美しい曲線を見ることが出来る。それがこの建物自慢の螺旋階段。
上からの光を受けて、曲線と直線で幾何学模様を描き出す螺旋階段は必見。わざわざこれを見に行く人が居るというのも、納得出来る。
3階以上はキュビズムの美術館になっている。絵画、陶器、家具など、わずか10年足らずの流行だったというキュビズムだが、その全貌をここで見ることが出来ると言っても過言ではない。
1階にはミュージアムショップもあるので、キュビズムの簡略されているようでいて洗練された直線の美を手に入れることが可能だ。
そして2階には「Grand Cafe Orient」というカフェがある。
最近になって復活したカフェだが、内装もしっかりキュビズムの世界になっており、色遣いが落ち着いていてホッとする。
観光客だけでなく学生達も勉強したり、地元の老人が新聞を読みながらまるでコーヒーを飲むかのようにビールをちびちび飲んでいた。
窓も大きくて開放感があり、実に落ち着いた雰囲気だ。
ロゴやティーカップなど、端々にキュビズムが垣間見られる面白さ。チェコの伝統的な丸いドーナッツ状のケーキまで、四角になっているというこだわりも楽しい。
プラハ市民も立ち寄ってはのんびりと過ごす、憩いのカフェで一息。旅の慌ただしさを忘れて時間がゆったりと流れていくようだった。
(田原昌)
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