透き通る水まんじゅうで涼む、水の都・大垣を歩く
IGNITE / 2016年9月3日 12時0分
東海道本線が名古屋を出て、木曽川、長良川、揖斐川の木曽三川を越えると大垣駅に着く。
そのまま西進して関ヶ原を越え、やがて琵琶湖に辿り着くという東西要の地である。
岐阜県大垣市には大小様々な川が流れており、地下水が豊富な「水の都」と言われている。
街の中を散策すると、水路が張り巡らされ、自噴している井戸が散見される。夏の暑い日でもこんこんと湧き出している井戸水は、ホッとするような冷たさだ。
水の都らしい大垣の夏の風物詩と言えば、「水まんじゅう」。
街を歩いていると、そこかしこの和菓子屋の店頭に水を湛えた水槽を見かける。
豊富な井戸水を流し入れる水槽の中を見せてもらうと、何やら陶器に入った羊羹のようなものらしい。
実はこれ、葛粉を使った水まんじゅうを陶器のお猪口に入れたまま、水の中に漬けてあるのだ。
注文すると水に浸かっていたお猪口を取りだし、竹串でくるりと縁をなぞってガラスの器に盛ってくれた。器には冷たい水も入っており、水ごと頂くのが大垣流。
店によって種類は違うが、こし餡、抹茶餡、季節のフルーツを使ったフルーツの餡など、中央に入っている餡がうっすらと見えて可愛らしい。
清らかな水に浮かぶ透明な水まんじゅう。見た目にも涼やかで、ほどよい甘さが心を落ち着かせてくれた。
街のシンボルである大垣城は、関ヶ原の合戦で重要な舞台となった、白さの際立つ美しくコンパクトな城。
松尾芭蕉が「奥の細道」を終えた場所も、この大垣だった。
「蛤のふたみに別れ行く秋と」
元禄2(1689)年の8月21日に、ここ大垣を最後に長い旅を終えた松尾芭蕉。俳句好きな方にも、ぜひ訪れて欲しい水の都である。
(田原昌)
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