この40年で時代は何が変わったのか。仮面ライダーフォーゼ。
インフォシーク / 2012年5月25日 14時0分
1971年から始まった仮面ライダーシリーズは、ライダーマン、アマゾン、クウガ、電王などなど数え切れないライダーを輩出して、とうとう40周年に到達している。その記念すべき現代のライダー、それが仮面ライダーフォーゼだ(2011年9月放映スタート)。
仮面ライダー1号時はバッタをモチーフにして、人間が改造人間になるという悲哀、それでも闘う宿命の重さ!ライダーキックは悲しみの威力!といった暗いイメージがあった。V3はトンボ、ストロンガーはカブトムシ…常に昆虫がモチーフで「人間のオレが、こんなものになって…」というコンプレックスを背負いつつ突き進んでいった。
が、40年も経つと全く関係無い。今回のモチーフは「宇宙」。今、ビックリして入れ歯が飛び出したおじいちゃんがいたかもしれない。底抜けに明るい高校生たちが、ワイワイと仮面ライダー部という部活を運営、部活動の一環として悪と闘うのだ。
時代は確実に軽くなっている。
宇宙モチーフの仮面ライダーには、暗さも妙な生命力もいらない。米粒のように尖った頭(ロケット)、真っ白な全身つなぎ(宇宙服かロケット)、黒いサイドライン(もはやわからない)。元気はつらつ過ぎて、ときどき白ジャージの体操のお兄さんにも見えてくる。
口癖は「タイマン張らせてもらうぜ!」。い、いいのか、それで…?!
仮面ライダーフォーゼは、バージョンアップをするたびに色を変える。金色、赤色、銀色…銀色のときは肩に大砲をのせて、もはやガンキャノンだ。あまりカッコ良くない。
バージョンアップの最終形は青色。こいつはめちゃくちゃに強い。そしてあくまで個人的な見解だが…歌舞伎のようなメイク顔、やたらに平面な胸板、ロケット型のこん棒…大丈夫だろうか。
こんなヒーローが街の中で闘っていたら、いくら正義の味方でも、ちょっと変態に思ってしまう。
柔らかめの全身つなぎに装飾を付けているのか、ライダーが動くと股間あたりにシワが寄って物悲しい。特に金色のときが一番物悲しい。ここが宇宙モチーフの悲哀かもしれない。
仮面ライダーフォーゼには、もう一人のライダーが登場する。仮面ライダーメテオだ。モチーフは流れ星と思われるのだが、頭に大きな寝グセがひとつある。バージョンアップするときは、弥七(水戸黄門)のかざぐるまみたいなものを腰に指しグルリと回す。すると大きな風が起こり、頭の寝グセが2つに増えるのだ。
メテオは、タチバナさんという謎の男からパワーをもらっている。はっきり言いますが、このタチバナさんが一番スゴイ。24時間無重力の宇宙に住み、いつもユルユル浮かんでいる。顔はアルミ鍋と湯たんぽを溶接したような金属で覆われ、目だけ飛び出している。かなりの変態だ。コインを食べる貯金箱にも見える。
1971年から比べると、仮面ライダーはずいぶんと変化している。なんとなく感じるのは、40年前も現代も仮面ライダーはどこか変態だが、それを深刻に捉えるか捉えないかは大きな違いかもしれない。
見たことがなかったら、ちょっと仮面ライダーフォーゼを見てみるのもいいのかもしれない。もしかしたら、次世代の未来が見えるかも。
いや、見えないか。
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作をしている。
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