香川、ゴール!…ハノーファーとの試合で感じた香川の存在。

インフォシーク / 2012年8月14日 1時30分

香川、ゴール!

オランダからデュッセルドルフを経由して、ハノーファーへ。緑に包まれたスタジアムはとても穏やかな雰囲気だ。案内役を担ってくれたyoshi曰く「デュッセルドリュフのスタジアムより、空気が心地良いね」。スタジアム手前のオープンパブでは案の定「シンジ・カガワ!」と声をかけられ、隣の芝生で子供たちがサッカーに興じている。サッカーが国民の活力になっているヨーロッパの 象徴的なシーンなのだろう。

マンチェスター・ユナイテッドvs.地元ハノーファーのプレシーズンマッチ。客席の9割を占めるハノーファーのサポーターは想像以上に熱狂的で、常にうねるような声を出している。我々が座ったマンチェスター側の客席は空きもあって、やや心もとないか。とはいえ、ポーランドやアムステルダムから来たであろう熱狂的サポーターの応援は驚異的で、その威圧感はやや殺人的でもある。

とうとう試合が始まった。

試合序盤、マンチェスター・ユナイテッドがチョコチョコと小刻みにボールを回している。本気度60%といったところか。支配率は高いが、大きく動くこともない。香川もところどころでボールに絡み、ショートパスに励んでいた。

最初に試合が動いたのは、ハノーファーが先制点を決めたときだ。熱狂するハノーファーのサポーターと、「やべっ、しまった!」といった雰囲気のマンチェスター・ユナイテッドの選手たち。そこから数人の動きが突然良くなった。クイックが早い。と思いきや、早くも同点にしてしまった。「本気を出せばこんなもんさ」またしても本気度60%に戻っていくマンチェスター・ユナイテッドの選手の雰囲気に、そんな思いを感じたのは、私だけか。

しかしハノーファーは本気で金星を狙っていた。サポーターの素晴らしく絶大な応援も後押しし、気がつけばハノーファー3点、マンチェスター・ユナイテッド1点。どうすんだよ、マンチェスター!

センターラインで試合再開を待つマンチェスター・ユナイテッドの選手たち。焦りが見える。

「うわぁ、マンチェスター・ユナイテッド、なんかカッコ悪ぃ!」これがそのときの私の感想だ。

しかし、その感想はあっという間に砕け散る。

ショートパスばかりが目立ち、強いプレスをかけているようにも思えなかったマンチェスター・ユナイテッドだったが、特に攻撃面においては突如イメージが溢れだす。圧倒的な個人技がどんどん繰り出され、さっきまでの小さなサッカーはどこへいったのか、あっという間にゴール前に顔を出す。「これが本気のマンチェスターかよ!」。私も思考が止まった。ただただ、驚きだった。

そして正直、大胆なイメージが動くとき、圧倒的な個人技が繰り出されるとき、香川の存在がふと、小さく消えてしまうことも多かったように思う。

とはいえおそらく今、最も運を引き寄せているのは、やはり香川なのである。試合を決めた4点目、試合終了5分前に決まったそのゴールは、まさしく香川が決めたのである。

ルーニーからのショートアシストを、決してスピード感ある技ではなかったが、落ち着いてしっかりとゴールに入れた。スタジアムが大きくどよめき、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターがその日一番盛り上がりを見せた。

そのとき、香川がどんな表情をしていたのか、私は一切見ていない。恥ずかしながら私は、椅子の上に立ち、「どうだ!日本人ってスゲェだろ!」と360度のサポーターに向かって、喜びをぶつけていたのだ。

試合が終わって今振り返っても、私の中に残る香川の残像は、やはりショートパスを出している。何度も何度も出している。ルーニーが試合後のインタビューで「香川は頭がいい」というコメントを出したと聞いたが、それがどのような意味を持つのか、私にはわからない。私の中で動いている香川は、的確な位置どりと的確なパスを出す存在ということだ。ルーニーはそのコメントの後に「このチームには僕を含めて数人の、ボールをキープしてつなげる選手がいる」と続けているらしい。もしかしたらそれは「オレたちが香川を生かすから安心しな」という意味なのかもしれない、いや、やはりこれはイヤラシイ勘ぐりなのかもしれない。

日本人の誇り、香川。点が決まった瞬間に、世界中に日本人であることを誇りたくなった、香川。 大きな何かを引き寄せているであろう、香川。

ルーニーにはなれないが、この流れの中で決めるところ(それはゴールという意味ではなく)を決めていけば、マンチェスターの香川として世界が 認識するのだろう。

香川、がんばれ! そして、ありがとう、興奮を本当にありがとう。

マンチェスター・ユナイテッドの開幕戦が、とうとう始まる。

ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作をしている。

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