リアル・マイケルジャクソン [Vol.1] _マイケルの死を乗り越えるために、ロスの追悼式へ飛ぶ。~おっかけOL3人組とマイケルの18年の交友実話~
インフォシーク / 2012年8月30日 14時0分
2009年7月7日。抜けるような青空の下、わたしたち3人は、ロスのステイプルス・センターにいた。
全世界に中継され、10億人が視聴したとされるマイケルジャクソンの追悼式に参列するために。
ファンになって22年。マイケルは、「人生そのもの」だった。
ふつうの日本人として、日本に生まれたわたしたち。
特別なコネもなく、家がお金持ちだったわけでもない。
ただただマイケルが大好きで、夢中で世界中を追いかけていたら、いつのまにか本人に覚えられ、どこでも会えるようになったのだ。
貸し切りのリゾートホテルにいっしょに泊めてもらったり、TV取材中のプレスルームに特別に呼んでくれたこともある。
長年かけて築いた信頼は、永遠に揺るがないものと信じていた。
そんな中、12年ぶりのステージ復帰として大きな話題を集めた「THIS IS IT」 ロンドン公演を目前に、マイケルが急死。
その日から、わたしたちの時間は止まってしまった。
マイケルがこの世にいない。
世界のどこまでいっても、もう二度と会えることはない。
いくら泣いても涙は止まらず、眠ることも、食べることも満足にできず、あまりの喪失感に目の前からすべての色が消えてしまった。
このままだと、わたしたちは一生立ち直ることができない。
マイケルの死を受け入れて、もう一度前に進むには、ロスで行われる追悼式に行くしかない。世界中から参列希望者が殺到し、チケットの入手は不可能と騒がれたけれど迷いはなかった。
「ぼくは、彼女たちとは世界中どこでも会えるんだよ」
と、いつも周囲に話してくれていたマイケル。
チケットも持たず、どこにでもすっ飛んでいくわたしたちに、「ショウのチケットはもっているの?」といつも心配してくれたマイケル。
大丈夫。今回も、空の上からマイケルが見守ってくれるに違いない。
追悼式当日は、まるでマイケルに導かれているような、不思議な時間が流れた。
ちょうど3席用意された席は、マイケルの柩から本当に近くて、いままでの想いがあふれる中、声が枯れるまでマイケルの名前を叫んで泣いた。
親族や友人、親交のあったアーティスト、そして会場の内外を埋め尽くす何万人ものファン。
マイケルを愛するたくさんの人たちと悲しみを共有し、現実と正面から向き合うことで、わたしたちは、ようやく止まっていた時間を進めることができたのだ。
あれから世間のマイケルへの評価は一変し、アーティストとしての偉大な功績を手放しで讃えるものが大半となった。
映画が公開され、本が出版され、アルバムがリリースされ、いまこの瞬間にも、たくさんのファンが増え続けている。
でも、わたしたちが知っていた、リアルな存在としてのマイケルは、もうどこにもいない。
追悼式から3年。ずっと心の奥深くにしまいこんでいた宝物のようなマイケルとの想い出を、これからひとつずつ話していこうと思う。
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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