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嘘のチカラ。

インフォシーク / 2012年10月10日 17時0分

「ついつい、ホンネを隠してしまうこともある。」

もう、少し前のことだが、新聞を見ていてある就職活動サイトの広告のキャッチコピーが目にとまった。

「就職活動で、嘘がうまくなった。」というものだ。

思わず、うなずいてしまった。就職や転職の面接で嘘ついたこと、あるある。質問されたことに対して素直に思ったことを答えればいいのに、どう答えたら有利なんだろう?何て言ったら印象いいんだろう?と考えてしまい、つい取り繕ってしまうのだ。

「志望の理由は、一番給料が高かったからです。」なんてやっぱり言えないし、「ほんとは人と話すの苦手なんです。」なんて、自ら弱みを晒すわけにもいかない。

「早く仕事を覚えたいので、残業も苦になりません」など、ときには自分自身に嘘をつくことさえある。

面接では相手との関係がその場で終わることも多いので、つい嘘が出やすいのかもしれない。

でもそれは、企業にとっても求職者にとってもよくないことだ。お互いにありのままを知った方が、その後のギャップがなくなり、長い目で見るといい結果になる。

就職活動ではなるべく嘘をつかないようにしたいものだ。

しかし、様々な人が共に生きるこの社会。もし嘘がなかったら、なかなか大変なことになりそうだ。

少し意識してみると、日常の中には多くの嘘が見つかる。人は1日に平均200回の嘘をつくという調査結果もあるらしい。

「この髪型、ちょっと失敗だったかな?」
「新しいカレ、イケメンでしょ?」
「ねえ、私がつくった肉じゃが、美味しい?」
などなど、ちょっとホンネを言いにくい場面は数多くある。

ビジネスにおいても、取引先や上司とのやり取りを全部をホンネで行っていたら、すぐにトラブルになってしまいそうだ。

また、映画や小説などの物語は、嘘があることで、泣いたり笑ったり、ハラハラドキドキできることが多い。

また、最近気になっているのが「行けたら行く」という言葉。

本当は行くつもりがないときに、使われることが多いように思う。予定が空いているかどうかは今すぐにわかるだろ、と突っ込みたくもなるが、日本人の奥ゆかしさから生まれた表現なのかもしれない。

人をだますこと、嘘をつくことはよくないことだ。

でも、ときに社会の潤滑油として、ときに娯楽のスパイスとして、嘘というものは私たちの毎日に深みを与えているのかもしれない。

石井 良
Ryo Ishii 1980年・東京都生まれ。コピーライター。制作プロダクションを経て独立し、良案工房を設立。広告・冊子・WEBなどのコピーや記事を書いている。真心を込めた文章で、多くの人の課題解決や夢実現の力になれるよう日々奮闘中。ロックバンドのドラマーでもあり作詞も手掛ける。憧れの甲本ヒロトに自分の書いた歌詞を歌ってもらうことが夢。MAIL:ishii@ryoankoubou.com

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