リアル・マイケルジャクソン [Vol.8]_1995年、一夜限りのイベントのためニューヨークへ飛ぶ。 ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2012年10月18日 17時30分
激動の1993年、そして、プレスリーの娘と「電撃結婚」という衝撃の1994年が瞬く間に過ぎ、1995年6月、ついに4年ぶりの2枚組アルバム「HIStory(本タイトル省略)」がリリースされた。
ひさびさのマイケルの本格稼動に世界中のファンが期待を寄せる中、米国のケーブルTV局HBOが主催するイベント「ONE NIGHT ONLY」が12月9日ニューヨークで開催されることになった。
このイベントは、タイトルどおり「一夜限り」のステージで、パントマイムの神といわれたマルセル・マルソーとの競演が大きな話題となっていた。
チケットの販売は行わず、抽選のみで配布されるシートはわずか2000席。一般のファンには手も足も出ない超プレミアイベントだった。
そのときの自分が何をどう思っていたのか忘れてしまったが、無謀にも、わたしはこのイベントめがけてニューヨークに飛んだのである。
驚くべきことに、飛んでみたら、わたしのチケットは用意されていた。
「あなたの分も、ちゃんとあったのよ」と、ヨーロッパのファンクラブの会長さんからわたしがそう聞かされたのは、マイケルが入院する病院の前だった。
そう、マイケルはリハーサル中に倒れて救急車で運ばれ、そのまま緊急入院し、「ONE NIGHT ONLY」はまさかのキャンセルになってしまったのだ。
チケット入手のあまりの困難さと、TV放映が予定されていたことから、当時、日本から現地に飛んだファンは殆どいなかった。初の海外イベントの心細さもあって、日本を発つ前から連絡を取り合っていたわたしたち3人は、なんとか病院の前で落ち合った。
そして、マイナス13度(!)という極寒のニューヨークで、朝から晩まで外に立ち尽くし、ひたすらマイケルの無事を祈ることになった。だんだんと鼻毛が凍り、目の粘膜が凍り、耳と足先がちぎれそうにジンジン痛み、ほとんど我慢大会のような日々を過ごしたあと、わたしたちは、退院するマイケルの姿をみることなく帰国の途についた。
はたからみれば、初の海外おっかけは「惨敗」である。でも、このときの経験が、その後のわたしたちの行動を大きく変えたのだ。
ニューヨークには、世界中から熱狂的なファンが集まっていた。そして、そこにはマイケル側に「強力なコネ」をもつファンが何人もいた。
なぜ、彼女は人の分までチケットを用意することが出来たのだろう?病院の前でファンから贈り物を回収し、まとめてマイケル側のスタッフに渡している、あの女性はいったい何者なんだろう?
報道陣に対して、臆することなく自分の意見を述べるファン。(当然英語)
世界各国のファンが寄り集まって激しく討論。(もちろん英語)
マイケルの関係者に親しげに話しかけるみんな。(全部英語)
グローバルなファンの現実に、ただただ圧倒されたのである。
わたしたちは、日本の中ではそれなりにマイケルに近づけている「自負」があった。
でも、世界は広かった。自分たちは、井の中の蛙でしかなかったのだ。
現実を思い知ったのは、1988年の初おっかけに続く2度目だった。でも、同じ想いをもつ「仲間」に出会えたことで、以前のように悲観にくれることはなかった。
それに、ニューヨークで再会したマイケルのセキュリティー(後に、とってもエラくなる)が、思いのほかわたしたちを覚えていてくれたのも、大きな励みになった。
彼は、まっすぐこちらに来て、病床のマイケルに宛てた手紙を受け取ってくれたのだ。
(世界は広いなら、上には上がいるのなら、自分たちもその場所を目指してみよう!)
意気投合したわたしたちは、おっかけの舞台を海外に広げることを決意した。そして、1996年の「HISTORYツアー」で、ともにそれを実現していくのである。
【バックナンバー】
リアル・マイケルジャクソン [Vol.7]_1993年、悪夢の疑惑報道の中、福岡に再来日!
リアル・マイケルジャクソン [Vol.6]_1992年、はじめて触ったマイケルの手に号泣する。
リアル・マイケルジャクソン [Vol.5]_1992年、はじめて目の前で等身大マイケルをみる。
リアル・マイケルジャクソン [Vol.4]_1992年、4年ぶりのマイケル来日で空港へ駆けつける。
リアル・マイケルジャクソン [Vol.3] _ファンになった頃、マイケルとの距離は1番近くて遠かった。<後編>
リアル・マイケルジャクソン [Vol.2] _ファンになった頃、マイケルとの距離は1番近くて遠かった。<前編>
リアル・マイケルジャクソン [Vol.1] _マイケルの死を乗り越えるために、ロスの追悼式へ飛ぶ。
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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