リアル・マイケルジャクソン [Vol.12]_1996年HISTORYツアーinソウル_チルドレンズパークでの再会。 ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2012年11月15日 17時30分
その日、チルドレンズパークに先回りしていたわたしは、のどかな園内をぐるりと歩きながら、マイケルがどこから入って、どこを見てまわるのか偵察をはじめていた。ポツリ、ポツリと報道陣らしき姿がみえるものの、園内に緊迫感はない。
(ほんとに、こんな閑散としたところに、マイケルが来るんだろうか…)だんだん不安になってきたわたしは、近くにいた報道陣の一人に声をかけてみた。
「あの~、マイケルって、何時頃ここに来るんですかねえ?」
すると彼は、携帯で誰かと連絡を取り合い、「もうすぐホテルを出るようですよ」と、親切に教えてくれた。
名刺をもらうと、韓国の「MUSIC LIFE誌」のライターさんだった。
わたしが日本から来ていることや、これまでの追っかけの遍歴を話すと、彼は「すごい!すごい!」と感激してくれ、ぜひ雑誌に載せたいのでインタビューを!という流れになった。
実は、この日の朝も、わたしたちは地元のTV局の取材を受けたばかりだった。当時は、「外国から来ている追っかけファン」というだけで、ネタになるほどめずらしかったのだ。
マイケルを待つ間、わたしはインタビューに応えつつ、雑誌に載せるための写真撮影に応じた。(律儀な彼は、後日、掲載誌を日本まで送ってくれた)
「マイケルは、正門から入ってくるそうです!」
ライターさんが最新の状況を電話で確認し、一緒に正門に向かうと、そこは大勢の警備員や報道陣、地元ファン、やじ馬でごった返しの状態だった。
(うわわ、ほんとにマイケル、きちゃうんだ!)
どこにポジションをとるか、急いでまわりを見渡す。とにかく警備員の数が多いものの、ここは屋外。自由に走り回るスペースもとれるし、なんとなくマイケルに近づける予感があった。
正門のむこうが慌ただしくなり、警備員や報道陣が一斉に動き出す。
歓声や悲鳴がわきおこり、そして、黒山の集団が大勢の警備員に囲まれながら園内に入ってきた!
その集団の中央に黒い傘が見え、その下には……「マイコー!!!!」
ぎゃあ、ぎゃあ、ぎゃあー!
わたしは涙が出るほど久々に、等身大のマイケルを見た。93年以来、実に3年ぶりのマイケルは、相変わらずキラキラして、全身の輪郭がくっきり鮮やかで、大きな口がにっこり笑っていた。
ああ、こんなに近くで、真昼間からマイケルを見れるなんて……もったいなさすぎるっ!!
大勢の警備員が手をつなぎ、マイケル一行を取り囲むようにガードしながら前に進む。
その一団と並走しながら、わたしは持っていたぬいぐるみをブンブン振りまわし、「マイコー!」「アイシテマース!」と、ちょっと日本をアピールしつつ、叫んでみる。
するとマイケルは、突然こちらをむいて(あー!)と驚いた表情をし、こちらを指差したのだ。
(え!?誰がいるの?)思わず自分の後ろを振り返るが、誰もいない。
もう一度マイケルを見ると、満面の笑顔でこちらに向かって手を振っている。マイケルの真似をして、わたしも指を差し返してみると、もう一度、マイケルは笑いながらこちらを指差してくれた。
(えええー!!!)わたしはびっくりして心臓が飛び出しそうになった。
正直、この時点では、マイケルに認識されている自信など、まるでなかったのだ。あんな風に親しげなマイケルのリアクションは、想像もしていなかった。
その瞬間、始まったばかりの「ワールド追っかけ」の成功を、わたしは確信してしまったのだ。
そのあと、噴水広場や動物園など、園内を見学してまわるマイケル一行を、わたしは胸いっぱいの喜びと幸せで、ほとんどスキップしながらついて回った。
突進する気配のないわたしに安心したのか、警備員のガードもそれほど固くはなく、気分的には「いっしょに散策♪」というくらい、マイケルとの距離は近かった。
マイケルは、「ゴリラはいないの?」とスタッフに聞いてみたりしつつ(好きなのか?)、園内の散策を満喫し、ふたたびバンに乗り込んでホテルへと戻っていった。
途中、園内でEちゃん、Yちゃんと合流し、並んで走りながらパーク内の報告、バンでの報告などをお互いにしつつ、それぞれの成果を喜びあった。
そして、マイケル側の対応のおかげか、周囲のわたしたちに対する認識が徐々に変わり、その後のわたしたちのワールド追っかけは、劇的に進化していくのである。
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
[Vol.11]_1996年HISTORYツアーinソウル_マイケルのバンに入る!
[Vol.10]_1996年HISTORYツアーinソウル_セキュリティとの再会!
[Vol.9]_1996年、運命のHISTORYツアー序章編。
[Vol.8]_1995年、一夜限りのイベントのためニューヨークへ飛ぶ。
[Vol.7]_1993年、悪夢の疑惑報道の中、福岡に再来日!
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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