河野太郎氏・インタビューテキスト版 「新しい自由民主党をつくる」
インフォシーク / 2012年11月26日 16時0分
民主党政権の間に、自民党を変えると意気込み、2009年の総裁選に名乗りを上げた河野太郎氏。自民の中では異端扱いされることも多いが、『政策通』としても名高い。
最近は、脱原発について、ブログ等で発言していることも多いが、自民党自体は脱原発を高らかに掲げてはいないし、安倍晋三総裁は脱原発に批判的な立場を取っている。
もし政権が再び自民党に戻ったら、また古い体制に戻るのではないか。異端の彼は、有権者に何をどう伝えながら戦うのか…「今回の選挙の論点とすべきことは何だと思うか」という質問とあわせてインタビューを行った。
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みなさんこんにちは。河野太郎です。
私の選挙区は、神奈川第15区。神奈川県茅ヶ崎市、平塚市、大磯町、二宮町。この2市2町が、私の選挙区です。
自由民主党は、3年半前、2009年の総選挙で敗れて下野いたしました。私たちが今やらなければいけないのは、新しい自由民主党をつくり上げる、つまり、自由民主党の長期政権でいろんな澱(おり)のようにたまったものを、3年前の敗北と一緒に投げ捨てて、新しい自由民主党をつくっていかなければいかんと思ってます。
かつての自由民主党、1955年に結党された自由民主党は、当時のソ連の脅威から、つまり、共産主義・社会主義から、この国を守る、日本を自由主義、民主主義、資本主義の国にする、そういう大勢の人の思いで、自由民主党が結党されました。
自民党は高度成長を成し遂げ、あるいは、沖縄返還を実現し、この、今の日本の基礎を築いてまいりました。
しかし、1989年、ベルリンの壁が崩壊をし、ソ連が、消えてなくなって、共産主義の脅威というものはなくなりました。
今、現実的に、日本がこれからも、自由主義・民主主義・資本主義の国でいくんだということに異論を唱える方は、もうほとんどいらっしゃらないと思います。
今ある政党の中で、まあ若干、共産党・社民党は別かもしれませんが、自由主義・民主主義・資本主義ということを前提とした中で、どういう国をつくるのか、あるいは何を目指すのか、そういう時代になってまいりました。自由民主党も自分たちを再定義しなければなりません。
私が目指す自由民主党の姿は、日本の経済を成長させる、今日よりも明日、我々よりも我々の子供、あるいは孫の時代がより豊かになっていく、そういう日本を実現するのが、新しい自由民主党の目指すところだと思います。
中道左派の民主党が、3年間政権を担いました。民主党は、労働組合をバックに、大きな政府をつくり、そこへ税金を集め、政府がそれを配りなおす、つまり、パイの大きさが、ひとりひとりのパイの大きさがバラバラだから、政府が包丁を持ってパイの大きさが同じになるように、切り直してあげましょうというのが、いわば民主党政権です。
われわれが目指す新しい自民党政権は、多少パイの大きさが違うかもしれない。しかし、私たちはパイの大きさそのものをどんどん大きなものにしていく、そして誰もが今日よりも明日、豊かになれる、それを実現するのが新しい自由民主党だと思っております。
そういう自由民主党と一緒に、この国の経済をもう一度発展させて、豊かな社会、豊かな国をつくっていく、それを一緒に目指してくださる方に、是非自由民主党を支持いただいて、一緒に新しい日本という国をつくってまいりたいと思います。
かつての古い自由民主党は、いくつか間違いを犯しました。
たとえば、エネルギー政策。原子力一本かぶりで、やろうとしていた。これは福島の原発事故で間違いを大勢の方が認識してくださるようになりました。
安全の問題だけではないんです。今、日本にある50基の原子力発電所。ウラン燃料を燃やしたときに出てくる、使用済み核燃料をプールの中に入れて冷やしています。
しかし、もし原発を再稼動すれば、ほとんどすべての原子炉が10年以内にプールがいっぱいになって、原子炉を止めなきゃいけない、そういう状況になります。
政府は2030年にどうしましょうかと言っていましたけれども、2030年まで動かせる原子炉が、今一体全体、何基あるのでしょうか。
もうひとつ、日本は、使用済み核燃料を再処理して、つまり、溶かして、プルトニウムを取り出して、そのプルトニウムを高速増殖炉で増やしていく、そういう核燃料サイクルと呼ばれる政策を追い求めてきました。
しかし、50年の歳月と、何兆円ものお金を注ぎ込んだ高速増殖炉、未だに目処が立っていません。
「もんじゅ」は、1995年の事故以来、ずっと止まったままです。止まった「もんじゅ」を止めておくために、年間二百数十億ものお金がかかっています。そろそろこの核燃料サイクル、できないならできないと、けじめをつけなきゃいかんと思います。
そして、今、日本が持っているプルトニウム。国内に10トン、国外に35トン、あわせて45トンのプルトニウムを日本は持っています。これはアメリカの核兵器に積んであるプルトニウムの量よりも実は多いんです。しかし、高速増殖炉の開発もできず、このプルトニウムの処理をすることができません。そして何より問題なのは、使用済み核燃料にしろ、あるいは、そこからプルトニウムを取り出した残りの高レベル放射性廃棄物にしろ、核のごみ、つまり、数万年から10万年、処理に時間がかかる、この核のごみをどうするか、全く目処が立っていません。
ですから、私たちは、これから、現実的に脱原発を目指さざるを得ない、ほかの選択肢は、残念ながらきわめて非現実的だと言わざるを得ません。
きちんと、新しい原子力規制委員会のもとで新しい安全基準をつくって、それに適合している原子炉のうち、必要な台数をどれだけ動かすか、そういう国民的議論が必要です。
原子炉が動けば、核のごみが増えてきます。それを一体全体どうするのか。核のごみはこれ以上増やさない、そういう上限をあらかじめ決めて、その範囲内でとりあえず一時つなぐために、原子炉を再稼動させるという選択はあると思います。
しかし、私たちは、省エネルギーと、あるいは再生可能エネルギーの進展によって、なるべく早く、この脱原発を実現する、そういう政策を目指すのは、一度原子力政策で失敗をした自由民主党が、きちんとした現実的な代替策を出さなければならないと思っています。
もうひとつ私たちが過ちを認め、やり直さなくてはいけないのは、年金の議論です。
年金というと、今いくらもらっている、あるいは、なくなった年金記録の問題、こういう、見えるものがクローズアップされていますが、実は年金制度そのものが極めて厳しい状況にあります。
たとえば、国民年金。今、月々15,000円の年金保険料をお支払いをいただいているのは、15,000円の年金保険料を払わなければいけない人の、わずか5人のうち2人だけが、年金保険料をきちんと納めていただいている、そういう状況になってしまいました。
年金保険料は、15,000円、およそ15,000円を40年きちんと収めていただいてはじめて66,000円の満額の基礎年金をお支払いをすることになっています。年金保険料が未納の方は、将来、低年金、あるいは、無年金ということになってしまいます。
おそらく、このままいけば、低年金、無年金のかたが爆発的に増えるでしょう。
国民年金は半額だけ税金を入れています。残り半分はみなさんの保険料が財源です。しかし、無年金のかたは、生活保護で、将来暮らさざるを得なくなります。
生活保護は、全額税金です。つまり、年金保険料の未納が増えて、年金では暮らせないから、生活保護をくださいという方が増えれば、国と自治体の財政は急速に悪化することになります。
なぜこういうことになるかといえば、年金保険料を皆さんからいただいて、それに応じて年金をお支払いをする、こういう制度になっているからです。
年金保険料をいただいて、といいますが、払い忘れてしまう人、払いたいけど払えない人、最初から払おうと思っていないよ、そういうかたがいらっしゃいます。
年金保険料をいただいて、それに応じて、年金に応じて年金を支払うというやりかたを続ける以上、必ず未納問題が出てまいります。
私は、国民年金基礎年金の保険料をいただくのをやめて、消費税でやらせていただきたいと思っています。消費税を財源に基礎年金をお支払いをする、この年金制度なら、みなさん買い物をするたびに、必ず消費税はお支払いいただくわけですから、消費税を財源とする年金には未納問題は起こりません。
すべての日本人が65歳になったとき、最低限の基礎年金は満額受け取ることができるようになります。
消費税を上げる、そういう議論をするならば、何に使うのか、その議論をしなければいけません。消費税で、社会保障をやります。そんな漫然とした議論ではなく、消費税を上げるけれども、それで基礎年金をきちんとやる、消費税を財源とする基礎年金をつくる、そしてすべての日本人が65歳になったときに、満額の基礎年金がまず受け取れる、そういう風に私はすべきだと思います。
新しい自由民主党は、エネルギー政策、年金制度の抜本改革、これをやらなければいけません。3年半前に間違えた自由民主党、今度は間違いなく、この国をきちんと背負って前へ歩いてゆきたいと思います。是非皆様と一緒に、この日本の経済をきちんと成長させる、新しい自由民主党をつくって参りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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