リアル・マイケルジャクソン [Vol.15]_1996年HISTORYツアーin台北_コンサート初日でのハプニング! ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2012年12月6日 17時30分
10月14日に台北に到着して以来、プライベートでマイケルとの交流を深めていたわたしたちは、同時に、18日のコンサート初日に向けて準備を進めていた。
わたしたちが日本で手配していたチケットは、残念ながら良い席ではなかった。それはアリーナの「スタンディングエリア」の指定で、その前には、関係者や招待客が座るような「座席指定エリア」がどかんと配置されていたのだ。
ソウルのコンサートで苦い経験をしていたわたしたちは、今度こそ、少しでも前で、思う存分マイケルのステージを堪能したかった。
そこで、初日から好意的に話しかけてくれた現地のプロモーターの責任者に、思い切ってチケットについて頼んでみたのだ。
「OK!やってみましょう」
彼は、快く引き受けてくれた。そのあと、まだ設営中のスタジアム内の見学にも連れていってくれた。
(よかった…今度こそ、前の方でステージが見れる…!)
わたしたちは、コンサートが始まる直前まで、それを信じて疑わなかった。
そしてコンサート当日。わたしたちは、朝からホテルでプロモーターの責任者を探していた。
ところが、何がどうなったのか、開演時間が刻々と近づいても、彼に会うことができない。
わたしたちには掴まえる手段もなく、そのうちタイムアップとなり、結局自分たちの「スタンディングエリア」のチケットを握り締め、絶望の中で会場に走ることになったのだ。
思いっきり期待させられていただけに、わたしたちのテンションはドン底だった。
会場内に入ると、案の定、自分たちのエリアはステージから遠い。
(もう、今回のコンサートはあきらめよう…)
わたしたちは、アリーナの右端をぐるりとまわり、ステージから遠く離れた「最前列」の柵へと向かった。
その位置からは、距離も角度もありすぎて、ステージはまったく見えない。
ステージ脇の巨大スクリーンが、かろうじて見える程度だ。
それでも、スタンディングエリアに行くよりは、ここにいるほうを選んだ。
警備員が、チラチラとこちらを見ている。ここは正規の「鑑賞エリア」ではないのだ。(ここから離れたくない)誰か知っているクルーはいないかと柵の向こうを探すと、オフの間に顔見知りになっていたスタッフがバックステージから出てきた。
「君たち、ここで何してるの?」
わたしたちは、自分のシートが悪すぎるため、せめてここに居たいことを話すと、彼は事情を察してくれ、「じゃあここで待ってて。バックステージから食べ物をもってくるよ」「飲み物もいる?」といいながら、わたしたちがその場にいられるよう協力してくれた。
途中、ビデオカメラを抱えたハミードも近づいてきて、「君たちはどうしてここにいるの?」と話しかけてきた。
みんなが不思議に思うくらい、ステージはまるっきり見えない場所なのだ。遥か遠くのステージ上に戻っていくハミードが、わたしたちには眩しいほど羨ましく思えた。
そのうち会場内の照明が落ちて、ついにコンサートが始まった。地響きのように湧き上がる歓声!
…と、そのとき、わたしたちが想像もしていないことが起きた。
シートに座っている人たちが一斉に立ち上がり、「うおー!」とステージ中央に向かって詰めかけたのだ。
(はい?はい?はいー!??)警備員も、止めるどころか知らん顔。なんという無法地帯……これはもしかして、わたしたちも、行けちゃうのでは!?
一緒にうおー!となだれ込み、気がつくとわたしたちは、ステージ前の最前列で柵をにぎっていた。
さすがにド真ん中とはいかないが、ものすごい至近距離で、ばっちりステージが見える!
この状況を怒るどころか笑顔の台北のみなさん、ブラボー!!(泣)
隣をみると、Yちゃんはすでに号泣している!ステージからハミードがこちらを映している。
完全にあきらめていた最前列。ああ、神様、ありがとうございます!!!(泣)
わたしたちは、ソウルでの欲求不満を一気に爆発させるかのように踊って騒ぎまくった。
熱気、スモーク、火薬のにおい、飛び散る汗、身体を突き抜けるような重低音!
マイケルの「息づかい」さえもリアルに体感できるのが、この最前列という場所なのだ。
会場のノリも素晴らしく、そしてステージは、多くの女性ファンにとって特別な一曲、「YOU ARE NOT ALONE」に差し掛かった。この曲の演出で、毎回1人のラッキーガールが会場から選ばれ、ステージ上でマイケルとハグできるのだ。
(台北では、どんな子がステージに上がるんだろう)
わたしたちは、思いがけず最前列に来てしまったため、それを間近で直視することになった。Yちゃんなどは、曲が始まったとたん柵に顔をうずめ、まったくステージを見れないくらいだった。
マイケルが歌い始めてまもなく、強力なライトが目の前で灯った。
ハミードがビデオカメラをまわしていて、隣には腕に刺青のあるスタッフがいる。カメラは顔をふせるYちゃんを真正面から映す。次の瞬間ハミードは大声で叫んだ。
「ステージに上がるか!?」
「―― イエス!!!!」
柵を飛び越えたYちゃんは、刺青のスタッフに抱えられてステージへと走った!
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
[Vol.14]_1996年HISTORYツアーin台北_マイケルへのビデオレター。
[Vol.13]_1996年HISTORYツアーinソウル_深まる交流、そして新たな目標へ。
[Vol.12]_1996年HISTORYツアーinソウル_チルドレンズパークでの再会。
[Vol.11]_1996年HISTORYツアーinソウル_マイケルのバンに入る!
[Vol.10]_1996年HISTORYツアーinソウル_セキュリティとの再会!
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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