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東京のおばさんが怖い ~1分でわかる大阪人の言い分~

インフォシーク / 2012年12月19日 17時30分

足を踏んだらゴメン、じゃないの?

大阪のオバチャンに、足を踏まれた。

大阪の繁華街、心斎橋筋商店街でのこと。

冬の週末。厚着のコートを羽織るたくさんの人でごった返し、ベルトコンベアのようにしか動けない商店街の端から端までを人々が流動的に流れていた(大阪人なので全員の足は速いのだが)。

私のうしろにいた、パンチパーマみたいなパーマの浪花感漂うオバチャンは、一定のスピードで進んでいる状況に苛立ったのか一人急いで歩き始めた瞬間、私のかかとを踏んづけた。

オバチャンは
「兄ちゃんゴメンやでえ、もうほら、ギュウギュウやろ?ちょっとな、行くとこあんねん。あと5分で着かなあかんねんけどこのままゆっくりゆっくり歩いてたら遅れてまうから早よ行こ思たら兄ちゃん踏んづけてもうたんやわゴメンやで~。せやかて兄ちゃん男前やなあ。あの芸人さんに似てるやん。ホラ、あれ、なんていうんやったかなあ。もうここ(首)まで出かかってるんやけど出てこうへんわ。せやけど(人が歩く)スピードおっそいなあ。もう、オバチャンな、辛抱できひんわ。すんませーん」
とまあ、これを10秒くらいの早口で、人の波をかきわけて進んで喋るだけ喋って進んでいった。まるで鮭のように。

なんやったんやろう、あのオバハン。そんな風にしか思わなかった。足を踏まれたことなぞ、もうどうでもよくなっていた。

オバハン恐るべし。

東京でも、足を踏まれた。渋谷、人通りの途絶えないスクランブル交差点。

タテヨコナナメ一斉に人が突き進むちょうど真ん中あたりだったと思う。前から歩いて来たブルドーザーみたいなおばさんに思いっきりつま先から半分ほどを踏まれた。

面積が大きかったせいかさすがに痛く、ついパッとおばさんの顔を伺うと、顔は下を向き、右手に手刀をつくって
「失礼。」
とポツリ。

上京したてだった23、4の「あなた関西の人でしょ?柄のついた服好きよね?」と散々言われてきた青臭さの残るクソガキの足だったとはいえ、失礼の一言で済ます会話に驚いた。大阪のオバチャンと天秤にかけはしないが、なんだこのドライなコミュニケーションは、と。

江東区に住んでいた頃、近くにあった郵便局で用を済まし、スライド式の手動ドアを開け外へ出ようとした。

そのとき、うしろにおばさんらしき人が居ることに気付き、ドアを開けたまま「どうぞ」と言わんばかりに待ち構えるや、手刀つきの「失礼」。

でた。

また「失礼。」だ。

東京人ってなにかにつけ「失礼」で済ましてるんとちゃうんか?プライドか?照れか?そこに愛はあるのかい?ところで失礼って、そんな意味やったっけ?とにかく「失礼」 に失礼やぞ!

「チョーウケるぅ」は「ウケるやろぅ」と返せた。

「あんた、“馬鹿”じゃないの?」には「はいすみません」と返せた。

大阪人にとって抵抗があるといわれる言葉は、意外に大したこと無い。

だが「失礼」に何と返せばいいのかわからない。

そんなことを東京の友人に話したところ、「特に会話したくないときに失礼。って言うおばさん、よくいるよ」だそうな。

無視すると角が立つ、謝ったり感謝したりすると時間がかかりそうで面倒くさいといったところか。

だから一方的に「失礼おばさん」を責めてはダメなんだ。失礼おばさんは「シツレー シツレー」と鳴く霊長類ヒト化の生き物なのだから。

一度、大阪のオバチャンと東京のおばさんが会話しているところを足の踏まれない距離で見てみたいものだ。

鹿タカシ
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。

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