リアル・マイケルジャクソン [Vol.17]_1996年HISTORYツアーin高雄_最前列でコンサート!そしてひと時の別れ ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2012年12月20日 17時30分
オンステージの余韻も冷めやらぬ10月19日、マイケル一行は、次のコンサートの開催地、「高雄(カオシュン)」へと移動した。
ツアー中のマイケルは、基本的に専用ジェット機で移動する。でも今回は、台湾国内での短距離移動のためか、現地の国内線を利用することがわかった。
わたしたちも荷物をまとめ、マイケルを追いかけて別の国内線に乗り込む。
高雄の空港に到着すると、ちょうどマイケル一行が飛行機から降り、空港内を移動して迎えのバンに乗り込むタイミングだった。
「マイコー!」
わたしたちは、自分の荷物もそっちのけで、通路を歩くマイケルを追いかける!こちらに気づいたマイケルは、「ウンウン」とうなずき、手を伸ばして握手してくれた。
幸先のいいスタートを切りつつ、マイケルの宿泊先である「グランド・ハイライ・ホテル」に到着したわたしたちは、明日のコンサートに向けて、ある行動を起こした。
プライベートの追っかけを全てあきらめて、これから開演時間までの丸一日半、会場の外に並ぶことにしたのだ。
ここ高雄の会場は、嬉しいことに、アリーナに座席指定エリアがない「オールスタンディング」だった。
つまるところ、一番最初に並びさえすれば、一番前でコンサートが見られるのだ!
ホテルにチェックインしたあと、わたしたちは、直ちにコンサート会場へと向かった。
なにしろ日本では、20日以上も路上生活を続けたわたしたちである。ここは海外だとか、治安はどうなんだとか、今晩の天候はとか、何一つ気にならなかった。
(もう行列が出来ていたらどうしよう・・・)それだけを不安に思いつつ会場に到着すると、前日の昼過ぎのこの時刻、まだファンらしき人は誰も並んでいない。会場のスタッフに並ぶ場所を確認し、ゲートの柵に「一番!」と漢字で書いた紙を貼り、新聞を敷いた上に座り込んだところで、ようやくわたしたちは一息ついたのだ。
ポツンと座っているわたしたちに、通りがかりのおじさんたちが大量の食料を差し入れてくれ、会場のスタッフも何度か様子を見に来てくれた。夜になると、地元のファンがようやくポツポツ並び始め、一番に並んでいた熱狂的日本人ファンに対し、驚きと敬意をもって接してくれた。
現地のマスコミも取材に訪れ、「日本のファンが一番死守!」といった記事が、わたしたちの写真とともに新聞に掲載されたり、その場でラジオの生放送に出演したりした。(台湾では、本当によく新聞TVに取り上げられた!)
いよいよゲートがオープンする時刻となり、順番に整列させられたわたしたちは、「ヨーイドン!」の合図とともに、ステージめがけて全速力で走った!
大勢のファンと瞬足(?)を競い合い、見事、最前列ど真ん中の柵を握りしめたのである。
この日のコンサートは、おとといの台北以上に素晴らしいものだった。だって、あまりにもマイケルが近いのだ(涙)!ベストポジションで見るコンサートは、まさに、「ショウに参加する」という表現がピッタリだった。
ちなみに、「YOU ARE NOT ALONE」のステージは、今度こそ台湾の女の子が上がったが、これについては(そうなるだろう)と予測できたため、変に緊張せず、リラックスして見ることができた。
そしてステージ後半、マイケルは、おもむろにわたしたちの存在に気がついた。
「HEAL THE WORLD」の曲で会場全体が明るくなったとき、わたしたちの持っている「応援グッズ」を見て、パフォーマンス中にも関わらず、目が釘付けになってしまったのだ!
こちらを指差して、「それが欲しい」「こっちにくれる?」とジェスチャーを送ってくるマイケル。
オーケイ!オーケイ!と浮かれてジェスチャーを送り返すわたしたち。
そのあとも、余程気になるのかマイケルは、近くのスタッフに「あれだよ、あれ!」と何度も指示を出していた。
(マイケルにあげるなら、絶対に手渡しで!)と思ったわたしたちは、コンサート後にチャンスを伺っていたが、結局その日はタイムアップで渡すことができなかった。
でも、その出来事をキッカケに、マイケルが喜ぶものや、欲しがるものの傾向がばっちり掴めた。
やっぱり、マイケルって、「自分が好きなんだ!」(その応援グッズは、モロにマイケル一色だった)
その夜のビデオレターで、わたしたちは、コンサートの感想や、高雄のあと一度日本に帰ること、これまでの感謝の気持ちなどをマイケルに向けて語った。
すっかり仲良くなっていたハミードは、わたしたちの帰国を聞いて、とても残念がってくれた。「12月の日本で、また会おうね!」と固く握手をし、しばしの別れを告げた。
翌日、高雄から再び台北へと戻るマイケルを追いかけて、わたしたちは空港へとタクシーを走らせた。
なぜかバンといっしょにゲートを通され、滑走路まで入れてもらえたわたしたちは、マイケルが乗り込む飛行機のすぐそばで、タラップを登っていくマイケルを見守った。
わたしたちに気づいて振り返るマイケル。こちらを指差し、大きく手を振るマイケル。
飛行機に乗り込んだあとも、マイケルはガラス張りのコックピットに姿をみせ、いつまでも手を振ってくれた。
このときわたしたちは、いままでにないほど、マイケルとの「心のつながり」を感じていた。ソウル、台北、高雄をまわった13日間は、過去のどんな追っかけよりも幸せで、密度の濃い日々だった。
予想をはるかに上回る収穫を胸に、「ワールドおっかけ第一弾」を終えたわたしたちは、日本へと戻った。
そして、それからわずか2週間後の11月2日、わたしたちは急遽、次のおっかけの地「バンコク」へと飛ぶことになるのだ。
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
[Vol.16]_1996年HISTORYツアーin台北_Yちゃん、夢のオンステージ!
[Vol.15]_1996年HISTORYツアーin台北_コンサート初日でのハプニング!
[Vol.14]_1996年HISTORYツアーin台北_マイケルへのビデオレター。
[Vol.13]_1996年HISTORYツアーinソウル_深まる交流、そして新たな目標へ。
[Vol.12]_1996年HISTORYツアーinソウル_チルドレンズパークでの再会。
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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