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西低東高な接客マナー ~1分でわかる大阪人の言い分~

インフォシーク / 2013年1月16日 17時30分

見慣れないキレイなビルが何棟建とうが、たこ焼きと吉本芸人ばかりの景色は不滅のようだ。

年末年始の休暇を利用して大阪へ帰ると歳末商戦からお正月セールまですべてが重なる。

そのせいか、いかなる手段を用いても賑やかな店にぶつかる。休みくらいゆっくりしたいが、多くの店員は物腰が柔らかく、まじめで、客である私と「会話」をしてくれるのでイヤな気はしない。

「大阪の店員さんはオラオラして怖いかも」と勘違いされる人は東京に多い。

しかしながら大阪人から言わせてもらうと、東京都心でしばしば出会う店員のほうがしんどい。そんなに必要か?と思しき殺伐とした雰囲気で接客というか「処理」してくる、上から目線の店員が(二度と行かないが)。

大阪の某百貨店で勤務していた知人から聞いた、2005年の出来事を思い出す。その年は阪神タイガースがリーグ優勝を果たし関西中は活気に溢れていた。

優勝決定後はあらゆる店で記念セールが催され、知人が勤めていた某百貨店も御多分に洩れず多くの買い物客でごった返していたのだそうだ。

そんなある日、知人が担当する婦人靴コーナーに60代くらいの女性客が現れた。

「『タイガース優勝セール』やいうから来たのに、全っ然安なってへんやないの!」

(うわっ!コッテコテのオバチャンが来た!)と内心そわそわしていると、「ええもんやったら多少高うてもしゃあないけど、コレなんかどこでもあるような黒の靴やん?」と続けた。そしてオバチャンは片足を前に出し「この靴『日本一セール』の時に買うたん、まだ履いてますねん。偉いやろ?3千円やったわ。」

つまり買った靴はずっと履くから、セール価格5千円からさらに2千円オマケしてほしい、という交渉。

前文はオバチャンなりのいい客アピールなのだろう。ちなみに阪神タイガースが日本一になったのは1985年の一度しかない。

「いや、すみません無理です。」などの素っ気ない受け答えをする知人ではない。

「20年も履いてはったんですか!お客様の歩き方見てみたいです!でもこれは5千円が限界です。」と返すと、「んー、ほな貰うて帰りますわぁ」と気持ちよく買っていったのだそうな。

オバチャンはオマケしてほしい気持ちと同じくらい、コミュニケーションを取りたかったのだろう。

このような客が多いとは考えられないが珍しいともいえない。

いかなるパンチの効いたお客様にもできる限り気の利いた返答で和ませ、その場を濁すテクニックを用いなければならず、したがって店員は対処術を通じて鍛えられていく。

たとえば、全部が全部ではないが、駅員の乗客に対する姿勢は大阪と東京でちょっと違う。

行き慣れない大阪北部の駅へ行く乗り方を尋ねると乗り換えに適した車両まで丁寧に教えてくれる駅員がいた。まだ小さかった頃に家族で東京へ向かう際、新幹線の切符を見せると手を振ってくれた駅員がいた。

数年前の割とおっさんになって実家へ帰った頃、残金50円程しかなく大きな鞄をもって右往左往していると「明日返してくれたらいいですよ。ネコババせんといてや」と駆け寄ってくれた駅員もいた。すべてに愛がある。

東京ではどうなるか。

先日地元の友人が東京へ遊びに来た時のこと。同じ場所なのに駅名が違う乗り換え(たとえば東京駅から大手町駅への徒歩移動)は、今の私でも自信がないが、友人は私以上に混乱したのだろう。駅員に道を尋ねると「そこ右です。あとは案内板見てください」と面倒臭そうに言われた。友人は不安なまま右へ折れ、言われた色のマークがついた案内板を辿って進んでいくとさっき尋ねた駅員の元に戻っていたらしい。

溢れる人の波と交差しまくる路線図を見ていると、東京は日本で一番ハードな駅員なのかもしれない。

いちいち田舎者にかまってられるかとでも言いたいのだろうが、大阪人が苛立ち始めたほうが後々面倒臭いことになるから気をつけてほしい。

鹿タカシ
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。

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