なんで東京人は通勤ラッシュに疑問がないのか ~1分でわかる大阪人の言い分~
インフォシーク / 2013年2月6日 17時30分
どこへ行っても人が多い。何時であっても基本人だかり。
テレビで人気の飲食店を紹介していて「ランチタイムを外した15時がおすすめ!」なんて言われてもそれランチじゃない。
けれどどうしても行きたい店だったので腹を空かして15時に行ってみると人だかり。よく見りゃキョロキョロ見回す客ばかり。そうか、同じテレビを見て来たんだ、と気付く。大人の社会を信じた私は馬鹿を見た。
大阪だって人は多い。
梅田のデパート街の交差点なんかは大概人で埋まる。群れの中で待つことに申し訳なさを感じるのかせっかちな大阪人に気を配ってか60秒から始まるカウントダウンタイマーが付いている。
しかしながら東京で長年暮らしていると、たまに地元へ帰り人で溢れていた場所や新しくできた施設へ足を運んでも「なんや、こんなに歩けたんや」と空いているとさえ感じてしまうようになった。
東京は人の多さが桁違いであることを電車に乗ると明確になる。
通勤や終電の類いで使われる「ラッシュ」は大阪にもある。だが、大阪時代に思っていたラッシュは「ようさん混むから気ぃつけや」くらいの啓蒙感覚にとらえていた。
東京のラッシュに乗り、辞書に書いてある「ラッシュ【rush】/突進すること。突撃すること。」を描いたような状況を知ると呆れかえるしかなかった。
山手線のドアが開き人の塊が微動だにしない目の前は、足の踏み場がないどころか小指の隙間すらなく、ちょっと浮いている人だっている。
俺の居場所はここじゃないとなぜかセンチメンタルに陥りその場を離れたことだってある。
社会に出たことで毎日の苦行ともなると、なんで超満員電車は緩和されないのだと疑問に思うことが馬鹿げているとさえ麻痺してしまう。
と、そんなふうに諦めていたのだが、去年、複線が通る駅に引っ越しラッシュの度合いが増してから疑問に変わった。
東京なのだから電車がアホみたいに混むことくらい想定できるはずなのになんでラッシュに泣き寝入りを決め込んでいるんだ?
乗客全員がもっと気持ち良く乗れる方法を各々考えるべきなんじゃないか、と。
人の隙間に潜り込むパズル状態の乗客に目を向ける。
カンナムスタイルを意図的ともとれる爆音を漏らすドヤ顔馬鹿。
カップルどうし向かい合い人混みで自然とハグしてましたみたいな馬と鹿。
肩ぶつかっただの因縁をつけて謝れとおっちゃんに怒る金髪馬鹿野郎。
ぶつけてないですと両手を微妙に挙げたはいいが人混みで身動きが取れず炭素冷凍されたハン・ソロ状態のおっちゃん。
あっちでシャカシャカ、こっちでイチャイチャ、ほとんどイライラ。
そんな俺たちの共通点は一つ。向かう方向は同じということ。
だから歯を食いしばれ。じゃ、ないやろ。
今度は電鉄側に目を向ける。
大混雑が予想される駅では各ドアの前に揃いのビブスを着た「押す要員」が配備される。それじゃただ人混みのおかわりだ。改善じゃない。
「時間をずらしてオフピーク通勤にご協力ください」と啓蒙。
それも一案だ。でも避けているだけでラッシュ時の混み具合は変わらない。
座席が持ち上がる山手線。スペースは空くだろう。でも空いた分人が入ったら意味がない。
ネットなどで転がった改善の意見に目を向ける。
路線を増やす。2階建・3階建てにする。すべての線路をベルトコンベヤーにする、とか。
じゃあその金出せるのか?と疑う絵空事甚だしい。
最後に私なりに考えた。
電車に乗せてもらっていることに感謝する。そんな単純なことで変わる。
通勤ラッシュに“揺られて”通勤しているとか終電に乗らないと“帰れない”とかじゃなく、「電車があって、走ってくれてありがとう」「俺たちは電車で行動する共同体だ」と思え。
東京はなんでもあるとか思い込んで調子に乗っているから、感謝の心を失ってしまったのだ。
みんながキチッと乗らせてもらっている精神を持てばスペースを譲り合う真心も生まれるんじゃないか。
一番まじめな人がまじめにやると世界はまじめになる。その一番が乗客すべてでいいじゃないか。東京って一番の都市なんやろ?
TwitterやFacebookが好きな人は「あいつの乗り方が汚い」「あの子の乗り方、はしたない」などとどんどん発信すればいいのだと思いながら通勤ラッシュに埋もれていると「痴漢行為を発見された方はお気軽に駅係員までお申し付けください」とアナウンス。
おい、行為事態が異常やぞ。電鉄の野放しぶりったら。
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。
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