東京は薄いコミュニケーションで成立するらしい。 ~1分でわかる大阪人の言い分~
インフォシーク / 2013年3月13日 13時30分
「おいしいパスタを食べている」と今日も誰かが投稿している。
「かわいいカフェラテを飲んでいる」と今日も誰かが投稿している。
そして「わあ。おいしそう」「すごーい!飲みたーい!」と誰かがコメントを寄せる。
だからどうした。薄く切った毎日を電波に載せては作るオアシス。そんなもののなにが面白いのかわからない。なぜ東京人は面白くない会話を面白くないと知っていながら見て見ぬ振りをするのだろう。
見ぬ振りならまだしも、投稿者を傷つけないためなのか誰かに見られることを意識してなのか、敢えて無個性で当たり障りの無いリアクションで済ませようとするのは必要なのだろうか。
本当になんの面白さもない薄っぺらなコミューンだったら謝るが「はい」か「いいえ」に動詞が混ざっただけの返答なんているか?お洒落自慢の集いと化した感情を持たないソーシャルな交流において大阪人にもそういった会話を重ねる人がいるとは思う。しかしながら普段からギャグやボケを重ねて会話を楽しむ大阪人は、なんでも無い会話からどんどん面白い方向へ転換させていくことをやめない。
友人関係で私はあなたの動向を知っていますよ、私はここにいますよ程度の生存確認に似た、冷たいコミュニケーションが成立するのか?との疑問を東京の友人に聞いてみたが、「別に仲良いってほどでもないから適当に返しあってるだけ」なのだという。
そして「前に私の投稿に返してくれたからお返ししなきゃならない」と続けた。
淡白な関係ならやりとりなどしなければ良いのにと思っていたのだが、互いの貸しと借りが構築されたもっと無意味な会話なのだと知った。
それはまるで中元や歳暮にとりあえずハムかビールか洗剤を贈るような心ない義務感だけの、贈答の楽しさを知らない人と同じ。あるいは他人の誕生日にも近い。居酒屋で飲んでいると突然照明が消え、何かと思えばロウソクの灯りとともにホールケーキが登場。ドリカムかなにか景気のいいバースデーソングが流れては手拍子が高まり、大勢のグループの一人が立ち上がり、友人に、そして他の客に向けて笑顔ながら会釈を振りまくサプライズパーティの類いだ。
私は、一緒に手拍子したり歌ったりしなければ非国民のような扱いをされる状況が嫌いだ。なぜ見ず知らずの人の誕生日を祝ってあげなければならないのだろうか。なぜ当事者は見ず知らずの拍手に喜んでいるのだろうか。私のテーブルでもし大事な話をしていたらそこですっ飛んでしまう。
「ここは誰かを喜ばせる場所だから大事な話など居酒屋でするな」とでも思っているのだろうか。
この一連が「パスタおいしい」「おいしそう」の関係と重なる。
パーティをすることは構わない。友人知人から「ウン十年前に生まれて来ておめでとう色んな嫌な部分はありますが今日は褒めてやるよ、生き長らえて」と集まってくれることは私だって嬉しいことだ。けれどそこで何人から手を叩いてもらったかとか、誰からおめでとうを言われ誰から言われてないかなど数えることは無意味だ。
大阪人は単純なコミュニケーションを嫌い、当たり障りのない交流は自分のことを嫌いなのか?と不安視する。すべてにボケとツッコミなど要らないが愛はないと成立しない。
こんな話がある。
オカンが仕事をしていることもあり、大阪の実家で暮らしていた頃の夕食はデパートの地下食品売場の総菜が多かった。梅田の阪神百貨店がお気に入りらしく、色々な店の品を試すように日毎に違った物が食卓に並んでいたことが不思議に思い、いつもなに基準で店を選んでいるのか聞いたことがあった。
するとオカンは、同じ店の前に立つ人に「これ、おいしいん?」と聞き「これはも一つやったなあ。こっちのほうがイケたで」と言われたから、と言う。
相手は見ず知らずの他人。しかしオカンは口にしたことのある経験者と見抜き、その人に聞いたほうが早いと行動に出たのだ。そして聞かれた側もたじろいだりせず意見まで返してくる。
驚いたのはこのやり方がオカンのオリジナルではなく、逆にオカンが「これ、どやった?」と聞かれることもあるらしい。
コテコテなコミュニケーションって、いいね!
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。
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