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私たちは日々誰のために闘っているのか。仮面ライダーウィザード。

インフォシーク / 2013年4月16日 17時30分

キラキラしすぎて、描きづらい! 新たに登場、仮面ライダーウィザード インフィニティスタイル。ミラーボールのような、宇宙船のような、マジンガーZのようなビジュアルだ。

「魔力が消えて、初めてわかった。オレには魔法以外にできることが、何も無ぇって…」

これは魔法を操って闘うヒーロー・仮面ライダーウィザードがこぼした言葉だ。

4月14日に放映された仮面ライダーウィザード(第31話)で、ウィザードは敵にこっぴどくやられて、魔力を失った。そんな失意の中でつぶやいたこのセリフの意味は、深いように思う。

セリフの「魔力」「魔法」の部分を、自分の生活に置き換えればわかりやすいのかもしれない。

「会社が消えて、初めてわかった。オレには仕事以外にできることが、何も無ぇって…」

「思い出が消えて、初めてわかった。オレには思い出以外に生きがいが、何も無ぇって…」

「ネットが消えて、初めてわかった。オレにはネット以外にやることが、何も無ぇって…」

人は誰もが依存して生きている。しかし自ら掴んだものならともかく、与えられたものに依存しすぎると、大事なものを見失う可能性もあるのではないだろうか。

ヒーローである仮面ライダーウィザードも、いつの間にか自身に与えられた魔力に依存しすぎて、根こそぎ失って初めて気がついたのだ。

仮面ライダーはとても人間らしいヒーローだと思う。心が決して強くない。人間と同じように悩む。思い返せば仮面ライダー1号もそうであった。自分の意志とは関係なく化物に改造されてしまった藤岡弘は、常に陰を背負って闘っていた。

ライダーキックは悲しみのキックだったのだ。

魔力を失って力なくベンチに腰掛けるウィザードに、以前、病気の妹と一緒に魔法を見せてもらった少年が話しかける。

「(あのとき)オレが嬉しかったのは、もちろん魔法もすごかったけど、それより妹を喜ばせようと思った心がうれしかったんだよ」

子供はときどき、大人がドキッとするようなことを簡単に告げる。この少年も、ウィザードよりもはるかに本質を見抜いている。

しかし、私はここで異議を唱えたい。私から見るに少年の妹に魔法を見せていたウィザードは、どこか鼻持ちならないものがあった。特別な力を見せているという優越感があるように見えたのだ。

はたして魔力を持っていなかったら、ウィザードは妹を喜ばしただろうか。否。そんな気がしてならない。

失意のウィザードに、ヒロインのコヨミも言葉をかける。

「魔法なんて無くたって、(あなたは)みんなの希望になれる」

ウィザードの才能の話をしたわけではないだろう。彼女は、自らを犠牲にしてまで他人のために闘おうと決めた、ウィザードのそもそもの純粋な心のことを言ったように思う。

「自分のような悲しい事情を背負う人を、これ以上出してはいけない」このウィザードのそもそもの決意には、純粋な“心”が結晶として存在しており、やはり魔力の強さなどは二の次なのだ。

(ちなみにウィザードが本当に闘う決意をした理由は、実はコヨミへの愛かもしれない。だが、これはまだ私やファンの憶測でしかない)

コヨミを抱きしめたウィザードは、直後、怪人に襲われる。魔法が使えないためボコボコにやられて地べたに這いつくばるが、それでも敵を睨みつけながら、ウィザードはこう言うのだった。

「あきらめない…命ある限り」

同じく倒れて、もはや命を失おうとしているコヨミを見つめ、涙を流しながら…

第31話は、とにかく考えさせられる回だった。自分は依存しすぎて大事なものが見えなくなっていないか。日々誰のために何のために闘っているのか。

そして自分の行動には、どこまで純粋な“心”の結晶が含まれているのか。

魔力を取り戻したウィザードはエンディングで、手を使わずにピンポン玉を浮かせて、また少年の妹を喜ばせている。

「これは手品? 魔法?」

以前の魔法よりもチープな芸に、喜びながらも思わずそんな問いが出るが、ウィザードは「どちらでしょう?」と誤魔化す。

あれは魔法ではなかったように思う。しかしどちらにせよ、あのチープな喜ばせ方こそが、純粋な“心”の結晶にもう一度目を向けた結果なのだと思う。

なかなかどうして、バカにできない仮面ライダーウィザード。ときどき感動で少し泣きそうにもなる仮面ライダーウィザード。

見たことない方は、日曜の朝、たまには早く起きて見てみるのもいいのかもしれない。意外と考えさせられるときがある。

【バックナンバー】仮面ライダー徒然草はこちら

ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作をしている。

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