リアル・マイケルジャクソン [Vol.33]_1996年HISTORYツアーin福岡_ホテルでの夜のお散歩。 ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~

インフォシーク / 2013年4月18日 17時30分

中央はキャピを出発するときのマイケル。他は福岡歓迎セレモニーと福岡ドーム前にて。

その夜、シーホークホテルのロビーは、大勢のマイケルファンで賑わっていた。

なにしろここは、マイケルが宿泊している上に、コンサート会場の「福岡ドーム」にも隣接している。全国から集まったファンにとって、シーホークに宿泊するのはベストでマストな選択なのだ!

わたしたちも、顔見知りのファンとしばらく雑談をしたあと、壁沿いのソファに座り込む。

はー、疲れた~~。マイケルがいる間は、確実に時間の感覚がおかしくなる。さっきまでキャピにいて、マイケルを見送って、飛行機で福岡に来て、みんなでまたマイケルを出迎えて…。

これって全部、今日一日の出来事だよね??

Eちゃんがふいに立ち上がり、「警備のSAさんが見えたから、ちょっとお礼を言ってくる」と歩いていく。わたしとYちゃんは、すっかり和んでのんびりモードだ。

すると、猛スピードで引き返してきたEちゃん。突然小声でマイケル、マイケル、と言い出した。わたしとYちゃんは、まるでピンと来ない。うん。マイケルがどうしたって?

「マイケルがいる!早く!」

言い残して、Eちゃんはまたしても足早に歩き去った。

マイケルがいる?マイケルがいるって……まさか、いま「ここ」にいるの~!?

急いでEちゃんの後を追うと、本当にマイケルがいた!(ひゃ~)

ひっそりと、数人の警備だけで、ロビーの巨大アトリウムにある「熱帯植物園」を見学していたのだ。

「しーっ」

騒ぐなよ、と、日本の警備責任者に言われ、わたしたちは無言でうなずく。他にも気づいたファンが数人いたが、みんな大人しくマイケルの様子を見守った。

静かな静かな、夜のお散歩。静かな静かな、夜の追っかけ。

マイケルは、わたしたちに気づいて「ハーイ」と声をかけてくれる。ウェインが、いまはダメだよ、とわたしたちにジェスチャーを送ってくる。

はい、大丈夫、わかってます。何も要求しないし、写真も撮らないし、声も出しません。

マイケルは、そのままシャッターの下りたショッピングエリアへと歩いていく。閑散とした人気のないショップがどこまでも続く、昼間とは別世界のような、物寂しい店内。エスカレーターで別フロアーに移動したマイケルは、ポツンと置かれたプリクラに歩み寄り、関係者に囲まれながら撮影して遊んでいる。もちろん周囲に一般客は一人もいない。

ああ、これがマイケルの見る、日常の光景なんだ。

普通の人が普通に送っている生活を、マイケルは体験できない。いろんな意味で、「特別」にならざるを得ない。反対に、普通の人間も、ぜったいにマイケルのような体験はできない。

果たしてどっちが幸せなんだろう?そもそも幸せって、なんだろう?

マイケルは、お忍びの散歩を楽しんだあと、部屋に戻るためエレベーターに乗り込んだ。

そこで、はじめてわたしたちは、一言マイケルに話しかけた。

「マイコー、おやすみなさい」

マイケルも、エレベーターの中から「おやすみ~」と優しい声で返してくれた。

さっき、あのタイミングでEちゃんが歩いていかなければ、わたしたちは、この「夜の散歩」に気づくことはなかっただろう。

ふと思い立ち、マイケルが乗っていったエレベーターの昇降ボタンを押す。ゆっくりとエレベーターが降りてきて、到着音とともに扉が開く。誰もいない空っぽのエレベーターは、マイケルの香水のにおいでいっぱいだった。

そのにおいをかいだ瞬間、マイケルがいまここにいる幸せと、さっき見た光景の切なさが込み上げてきて、ちょっと泣きそうになった。

そして翌日のクリスマス、サンタさんはわたしたちに、小さな奇跡をプレゼントしてくれた。

【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話

パリス川口
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。

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