仮面ライダーウィザードが街にやってきた。

仮面ライダーウィザードは、地域活性化の最後の希望だ?!

4月28日放映の仮面ライダーウィザードを見て、思わず「うぉぉぉぉおお?!」と声を出してしまった。実は、珍しく一緒に見ていた妻も「おぉ?!」と声をだし、子供も「おぉぉぉおお？！」と声を出した。家族全員で驚いたのである。

何があったのかというと、なんてことはない。ただロケ地が、わが家から徒歩数分の場所であっただけである。とはいえ我が家の近所は数シーンにまたがって使われていて、しっかりとメインどころのキャストも街に来ていた。とてもうれしかった。そうして私は思わず、翌日子どもと一緒にそのロケ場所に出掛けて、「あのシーンはここでこう撮影していたな」「あそこはこういうシーンだったっけ」などと語り合ったのである。

まぁ、とぼけた家族ではあるのだが、その後マッサージ屋さんに行ったらやっぱり仮面ライダーウィザードの話で盛り上がっていた。たかだか仮面ライダー、されど仮面ライダー。地元民はみんな、うれしかったのだ。

ここでふと思った。仮面ライダーはもっと地域と密着しながら作ってもいいんじゃないか、ということだ。

先日、米沢市に取材に行ったときに、街中に大河ドラマ「天地人」のポスターが貼ってあった。要するに「大河ドラマにも取り上げられた直江兼続の地！」と謳って観光アピールをしているわけだが、よく考えれば天地人が放映されていたのは2009年である。4年前からみなさん、ずっとポスターを貼り続けていることになる。

私は地元のタクシーに乗って、運転手に「米沢って直江兼続が有名なんですねぇ」と聞いてみた。するとその運転手はハニカミながら「いやぁ、その前は上杉謙信だ！って言ってたんだよね。でも天地人が放映されたらみんなで、直江兼続だ！って。現金なもんでコロッと変えちゃってねぇ。まぁでも、とにかくいい土地だから、観光に来てほしいのさ、オレたちは」と快活に笑った。

私はこの答はとても正しいと思っている。単純明快。これでいいのである。とにかく観光客が楽しんで、土地を好きになって、それだけのお金を落とすことでみんながハッピーになる経済なのである。実際、今、私は米沢が大好きだ。

仮面ライダーもそのようにして、何年もポスターを貼られる存在になればいいのに、と思うのだ。近所で仮面ライダーウィザードが撮影されただけでもあんなに興奮できたわけだし、地域活性化に悩んでいる街は山ほどあるだろう。そこに一定期間の仮面ライダー撮影を計画して、地域の協力を全面的に得つつ、仮面ライダーの撮影があることも前もって広報しちゃって観光客を呼んで、場合によってはエキストラになってもらったり、場合によってはストーリー内でも地域アピール。

「○○市どこどこ町のサンサンファミリー商店街に怪人が現れたぞ！」
「肉屋のスマイルエブリディが襲われた！」
「スナック桃色吐息に立てこもり中だ！」

とかセリフで言っちゃって。

あわよくば地域の行政がお金を出してくれたら撮影費も多少まかなえるし、地元民は経済効果で大喝采。みんな仮面ライダーが好きになるだろう。

ダメかなぁ。映画ならどうだ。「男はつらいよ」作戦で、毎回地域を回るのである。今の仮面ライダー映画はめったやたらに今までの全仮面ライダーが集結し、全戦隊も集結し、もっと場合によっては宇宙刑事のギャバンやシャリバンなども集結して、ストーリーを作っている。ヒーローがいっぱい集まれば映画にパワーが生まれるぞという幕の内弁当的発想だが、何回も重ねていくとおかずが多すぎて、人によっては胃もたれもある。そろそろその手法はやめて、「男はつらいよ」のように映画撮影で街を回って、とにかく色んな地域で愛されて、安定的にファンも獲得して、もっともっとスゴイ日本のヒーローになっちゃうというのは。

場合によっては特別に、ご当地ヒーローと対戦してもいいじゃないか…ダメかなぁ。

仮面ライダーで日本を元気に。そして地域と子どもに大きな夢を。東映の方々、いかがでしょうか？ …読んでないか。

【バックナンバー】仮面ライダー徒然草はこちら

ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターＴＶ」（インターネット）の製作をしている。