リアル・マイケルジャクソン [Vol.35]_1996年HISTORYツアーin福岡_VIP席でコンサート! ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2013年5月2日 17時30分
年の瀬も迫る12月26日、DANGEROUSツアー以来、3年ぶりとなる「福岡ドーム」でのコンサートが初日を迎えた。
いよいよ日本でのコンサートもあと2回。約3週間におよぶマイケルの滞在も、残りわずかだ!
このあとは、年末のブルネイと年明けのハワイでコンサートが予定されていたが、わたしたちは、今回の旅を一度日本で締めくくることに決めていた。
どんなに辛くても、夢のようなおっかけの日々から、どこかで現実に戻らなくてはならない!
福岡で有終の美?を飾るためにも、気合を入れてコンサートに臨みたいところであるが、わたしたちは26日、28日の2日間ともチケットを持っていなかった。
ちょうど発売時期にワールドおっかけで海外に飛び出したため、そのまま手配ができなかったのだ。
26日の朝、わたしたちは、コンサートチケットをどうやって入手するか考えていた。
実は、師走の地方公演ということもあり、座席にさえこだわらなければ当日券が売られていた。出来るだけ前で観たいのがファン心理ではあるものの、さすがにダフ屋などから高額なチケットを買う余裕はない。当日券で、最悪スタンドの後ろの席だとしても、マイケルのステージが観られれば、もう充分としよう!
とりあえずドームのチケット売り場へ行こうとすると、意外な人物にロビーで声をかけられた。HISTORYツアーでずっとマイケルに同行していたチャールズ・ボビット氏だった。
わたしたちは、当時、彼がジェームズ・ブラウンのマネージャー(友人)だとは知らなかった。やや年配の落ち着いた雰囲気で、いつもマイケルのそばに寄り添う姿が、昔のビル・ブレイのような存在なのかな?と漠然と思っていた。(事実、マイケルにとって、信頼のおける親戚のような存在だった)
ワールドおっかけで何度か顔を合わせるうちに、ボビットさんとも挨拶を交わすようになっていたのだが、彼は滅多にロビーに姿をみせないため、踏み込んだ話しをする機会がなかったのだ。
ボビットさんは、わたしたちをみて真っ直ぐこちらに歩み寄ると、「あなたたちはコンサートのチケットを持っていますか?」と問いかけてきた。東京では一度も聞かれなかったのに、まるで福岡のチケットがないことを知っているかのようなタイミングだ!
持っていないと答えると、ボビットさんは大きくうなずいて、隣にいた小柄な黒人の関係者に、「チケットを用意して彼女たちに渡すように」と指示をした。
(初めて見かけるけど、誰だろう?)
ボビットさんから「ニッキー」と呼ばれた彼は、短めのドレッドヘアにロングコートをはおり、見るからにセレブ感漂う出で立ちだった。そして、怪訝そうな顔でわたしたち3人をみた。
なぜボビットさんが日本のファンを気にかけるのか、理解できない様子だった。
「あとでチケットを渡すから」といって別れたきり、その日はニッキーにもボビットさんにも会うことはできなかった。
でも、わたしたちは、特に落胆はしなかった。意外な人からの申し出に、あまり現実感がなかったのだ。
結局、日本側の関係者からチケットを譲ってもらい、わたしたちは26日のコンサートを無事観ることができた。(偶然ロビーで話しかけられ、アリーナBブロックのチケットをその場で手渡してくれたのだ!)
困ったときは、必ずといっていいほど誰かしらに、何かしらの方法で助けられている。
目に見えない不思議な力に、わたしたちは、ただただ感謝した。
翌朝ホテルのロビーに居ると、ニッキーがわたしたちを見て足早に近づいてきた。
「あなたたち、昨日のコンサートは観れた!?」イエスと答えると、彼はホッとしたような表情で、おもむろに胸ポケットからVIPパス(!)を3枚取り出した。
「渡そうと思ってずっと持っていたんだけど、忙しくて会えなかったんだ。本当にごめん!」
そう言って何度も平謝りしてくれた。なんだ、ファンには冷たい感じなのかと思ったけど、全然いい人じゃないか!
明日は必ず渡すから!と約束してくれ、わたしたちは、28日のコンサートをHISTORYツアー初の「VIP席」に座って観ることになった!
日本では、アリーナ中央の前寄りに、ステージと同じ高さの「VIPエリア」が用意されている。音響も照明もここを基準に調整されるため、もっとも完成度の高いステージを真正面から観られるスペシャルな場所なのだ!かぶりつきの最前列に比べると、微妙に遠い席ではあるものの、旅の締めくくりにVIPを用意してくれるなんて、素敵な計らいではないか。
ボビットさんとニッキーに感謝しつつ、わたしたちは、日本での最後のコンサートを思う存分楽しんだ!
オンステージのプレッシャーからも解放され、はじめてゆっくりとコンサートを観た気分だった。
ニッキーもVIP席に座っており、小型のハンディカムで優雅にステージを撮っていた。(ついでに、VIPにいながら立ち上がって踊りまくるわたしたちのことも、珍しそうに撮影していた!)
ステージの上のマイケルは、世界のどこで観るよりも、楽しげでリラックスしているように見えた。
「アイシテマス!」
その国の言葉を、これほど何度も連発してくれるのは、日本だけではないだろうか。
マイケルは、本当に日本が好きなんだ。マイケルにとって、日本という国は本当に特別なんだ。世界各地をまわったからこそ、わたしたちは心の底からそのことを実感し、誇らしく思った。
そして12月29日、いよいよマイケルが日本を飛び立つ日がやってきた!
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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