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東京人はディズニーに馴れ馴れしい ~1分でわかる大阪人の言い分~

インフォシーク / 2013年5月15日 17時30分

京葉線・東京駅ホームに貼られた路線図

大阪で暮らす大阪人にとって東京ディズニーランド(またはシー)とは特別な場所だが、東京人にとってはカジュアルな場所だった。

「4月15日、東京ディズニーランドが30周年」
「スター・ツアーズが3Dにリニューアル」

そんなディズニー最新情報を無意識にキャッチしてしまう自分。幼少期「あ、ミッキーや!」とテレビに映ると騒ぎ、貴重なニュースと扱ってきた免疫が「おいしい情報」と未だに受信してしまう。さっきも毒にも薬にもならない最新情報を無意識に拾って口がちょっと弛んだ。

この妙な免疫がついているのは私のオカンがとてつもないディズニー狂で、家族旅行と称して東京ディズニーランドへ何度も訪れていた経験が大きい。

遠方からディズニーへ行くには相当な時間と労力がかかる。そのぶん期待値は高まり、特別な場所になっていくのだろう。

大阪人も例外ではない。今やユニバーサル・スタジオ・ジャパンというどでかい競合が根付いたが、私が小さかった頃はエキスポランドかひらかたパークくらい。

東京へ行く価値は大きかった。

家族旅行から離れ思春期になった私は、初めてのライブ、初めてのクラブ、初めてのキスと初めてのファックを経験して以降興味がなくなったまま上京。近くにあるんやからいつか行くんやろう程度だったが、大阪人をはじめ地方出身者の友人達と「もし行くとしたら、彼女としか行かない」といかつい見かけによらずこだわりを持っていた。

初めて彼女と行ったのは東京に来てすぐに付き合った人とだった。目標が早々に達成するのかと内心浮かれたが「関東で生まれ育った人はデートスポット以外の使い方を日常からしている」との彼女の一言に一気に夢から覚めた。

人でごった返す日にわざわざ行く必要はないから、暇な大学時代は友人と授業のない平日を合わせて行ったりもしたのだという。

東京人はディズニーに馴れ馴れしい、という疑惑とともに、家族旅行からアホ面を下げて戯れる場所へと変わる憧れは完全に消えた。

「ひらかたパークとか花やしきみたいな使い方してええの?」と応戦した自分が情けなかった(ひらかたパークは実はかなり面白い。花やしきは今も行ったことがない)。

「彼女が出来るまでは行かへんのや」ある芸人が言った。私は素直に頷けたが観覧席からは爆笑が起きていた。

またある芸人は「ディズニー通の後輩と男だらけで行ってん」と笑った。「男だらけで行く」というのがボケであったに違いないが東京人には微笑ましかったかもしれない。

そして現在。

京葉線・新木場駅にある某打合せ先に向かう際は、東京駅から乗り換えている。京葉線は東京駅からディズニーの最寄り、舞浜駅へと続く路線。夕方頃山手線から京葉線ホームへ続く長い通路を歩くと、新幹線に乗って地元へと帰る家族連れとすれ違う。動く歩道に並ぶ疲れ顔は、かつての私や家族が重なり勝手にセンチになっている。

夜、打合せが終わると、八丁堀駅で降り、東京メトロ日比谷線・八丁堀駅に乗り換え帰宅する。恵比寿・六本木・銀座~上野・北千住へと延びる都心を走る地下鉄。そのせいか、22時以降の地下鉄ホームで電車を待っていると現れるのは、ディズニー帰りの東京人だ。平日だからか、家族連れではなく、ほぼカップル。燃え上がった熱は余熱のまま、人目憚らず抱き合ったりなんかは茶飯事。そんな東京人が郊外に乱立する巨大なドン・キホーテ、ラブホテル、パチンコ屋の帰り客と同じに見えてくる。

東京で暮らして10年目になる。

彼女とだけでなく友人から誘われても何度か行った。DCPRGやプチ鹿島などのライブが重なったら断った。

「彼女と」の願望が、だらしない東京人のせいで斜に構える対象に変わっていた。

ディズニーをカジュアルにしやがって、と腹を立てながらドン・キホーテに寄り道すると、スティッチ、スティッチ、スティッチ、ミッキー、ミニー、スティッチ、プーさん、プーさん……。

ディズニーって、こんなにカジュアルやったっけ?

鹿タカシ
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。

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