大阪人のファッションイメージとは? ~1分でわかる大阪人の言い分~
インフォシーク / 2013年6月26日 17時30分
ファッション雑誌が東京の情報ばかりなのはおかしい。
シブヤ系だ裏原だ、銀座はトラッドだとコピーが踊り、全国のテーンエイジャーに東京の街を案内している。なんだろう。憧れを持て、とでも言いたいのだろうか。
生まれて大学までを大阪で暮らした。モテたくてしょうがなかった中二から高校生の頃、ファッション誌を立ち読みする度に「なんで東京ばっかりやねん」と疑問だった。
そのため京阪神に特化したファッション誌『カジカジ』が貴重な存在として参考にさせていただいたが、今思えば、エリアに特化した雑誌を重宝がる市場がおかしい。
それが10年以上経た今も表現が変わっていない誌面を目にすることが多く、日本中に“東京=新しくて美しい、地元じゃダメ”といった認識をさせているようような気がして未だに疑問が残る。
東京に華々しい憧れを持つ人が大阪中、延いては日本中に溢れているのかと思うと怖さすら感じる。
東京だけがすべてなのだろうか。偏った表現が、ベストなのだろうか。
とはいえ影響されることが一概に悪いとは思わない。オシャレな都市に背を向けるほうが偏屈なので、服買うな、東京信じるなと言うつもりはない。
ただ、過剰に影響を受けるといわゆる信者となり、載っている情報がすべてと決めつける危険性が高まる。
「東京にあるモノはなんでもオシャレの先端」と思い込み、まっさらな状態で上京。「オシャレだね」と言われたいがため、「お前ダサくね?」と言われたくないがために汗水垂らして手にしたお金を服にばかりドーンと使う。
そんなスパイラルが起きているとしたら。
ファッション業界に潤いをもたらすカモにはなれても、本人の個性を引き出すなにかを手にする資金が失われ、東京が見た目重視のミーハーばっかりなイメージが消えない。
さらに、もっと恐ろしい、というか腹が立つ影響力が雑誌にはある。
それは、「東京人はファッション誌を通じて大阪人のファッションに間違ったイメージを持ちがち」なことだ。道行くファッショニスタを呼び止めてはパチリと撮る『スナップ特集』がその理由として大きい。東京と大阪から様々な人種を撮り集めて『東西にて撮影決行!』みたいな大企画で、「えっ!?嘘やろ?」と疑うことがある。
まず場所。オシャレさんを撮り集めて来た場所を指す目次が『表参道!』『原宿!』『中目黒!』『高円寺!』『六本木のイベント会場!』『大阪!』となぜか大阪だけが全土で1分類になっていた。ひどい扱いだ。表参道や原宿、中目黒まではわかっても、大阪人にほぼ耳馴染みのない高円寺や暗がりで映えるクラバーにページを割いて大阪は「大阪!」だけかい!とツッコミたくなる。
「東京で流行ってから、どれくらいのタイミングで大阪で流行るの?」と東京人から真顔で聞かれたことがあり、このような構図によって「大阪は東京の傘下」みたいな立ち位置に思われかねないと知った。あー怖い。
そして、選定。ある雑誌の制作者は大阪に対するイメージに偏りがあるのか、『大阪!』のページに写る人々がどえらい柄モノ好きか、もしくはイカツめなオニーチャンしか載っていなかったのだ。
大阪に与えられたポジションが「奇抜担当」か「ゴツめ担当」という個性派枠。東京に居てもおかしくない大阪人には声をかけなかったのだろうと安易に推測できるプロレスだ。
珍しい、濃い、賑やかなイメージを探して散策し、普段見慣れない人を…ってナニ観光気分で仕事しとんねん。その1泊2日だかの撮影業務によって、全国民に大阪人のファッションイメージを植え付けるというのに。
「TOKYOがアツイ」みたいな雑誌で紹介されている東京の系統に属されたジャンルであっても、胸に[TOKYO]とは縫い付けていない。
先日大阪へ戻って街を歩いたが、東京も大阪も着ている物はさほど変わらなかった。
「大阪人って柄モノ着てる人多いよね」な話を東京人からよく受ける。大阪人はその度に、雑誌の影響力ってほんまに大きいと思い知るのだ。
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。
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