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『あまちゃん』が大阪でウケない理由 ~1分でわかる大阪人の言い分~

インフォシーク / 2013年7月3日 17時30分

大阪・日本橋

NHK連続テレビ小説『あまちゃん』をご覧になられているだろうか。

東京で生まれ育った高校生・アキがひょんなことから母の実家である東北・北三陸の小さな田舎町へ移住。引っ込み思案だった少女が祖母・ナツら海女軍団との交流を通じて「おら、ウニが獲りてぇ!」と海女さんへの夢を抱く。そしてアイドルを夢見るユイと出会い、二人はご当地アイドルとなって全国区で注目を集めていく。

母・春子(小泉今日子!)はかつてアキと同じ高校時代にアイドルを夢見た。そして敗れた過去がある。賭けに挑むため上京を果たした母の当時の記憶と、アイドルを目指す夢のレールに乗った娘の現在。母の時代と現代とのアイドル路線を、ときに対照的に織り交ぜながら第2部・東京編へ進んだばかりだ。

これまで朝ドラを見る習慣が無かった私が『あまちゃん』にハマった一番のきっかけは見やすさだ。

朝ドラや大河ドラマにはどこかで堅苦しさや重さを感じていた。だが、私世代をくすぐるネタ(YouTubeを模したサイト、サマーソニックを引用したフェス『アマーソニック』など)が使われ、次はどんなモチーフが出てくるのやらと楽しんでいる。私より上の世代は松田聖子やYMOといった80年代歌謡曲の多用にキュンキュンしている。

「かつてない朝ドラ人気」といわれているあまちゃん。

しかし平均視聴率は関東で20%台なのに対し、関西では15%台と差が開き、大阪では低い。

最近ではその理由についてコメンテーターや雑学王(なんで?)など各方面の論客が意見を述べている。そのなかで度々目にするのが「東京の笑いだから大阪ではウケないのでは」といった憶測だ。

確かにコッテリとした笑いを求める大阪人は、東京発信の笑いに対して「細かい笑いとか、ほんまにおもろいん?」と疑うことはある。

ただ、ドラマはドラマ。笑いが欲しければ他の番組があるし、笑いなど街に出て石を投げれば当たる。

とはいえ“笑いのズレ”という部分の追求は間違っていないと思う。しかし今回の件について「大阪はわかっていない」とでも言いたげな意見ではなんの解決策も見出せていない。

私の見解を書こう。ズバリ、“脚本家・宮藤官九郎ブランド”だ。東京が本拠地の劇団『大人計画』に所属し、作家・演出家・俳優としてその名を馳せ、ブラックジョークやシュールなネタを連発する超売れっ子。演劇における東京の笑いを牛耳る男といえよう。

そんな宮藤官九郎、略してクドカンが発する笑いに対して馴れていない大阪人は、東京人と比べて多いはず。氏のバンド、グループ魂が2005年の第56回NHK紅白歌合戦に出場する運びとなった際、某関西ローカル番組でやしきたかじんが出場曲『君にジュースを買ってあげる・』の歌詞(「月給10万以下だけど 君にジュースを買ってあげる・」など)に「なにがおもろいんじゃ!」と声を荒げたシーンは多くの関西人を「せやせや」と頷かせただろう。

私自身も、これまでクドカン作品を「東京のギャグわけわからん。ええ格好しいや」と偏見の眼差しでちゃんと見たことがなかった。

だが、あまちゃんはただただ面白い。

朝ドラとしての姿勢を保っているためシュールさは感じないし、東西で比べるような笑いのズレはない。むしろ「好きなことを追い続けるサクセスストーリー」という熱いコンセプトのもとで展開されているので、笑いではなくシナリオの巧さを褒めるべきだ。

なので「クドカンとか抜きで普通におもろいで」と東京嫌いやクドカン嫌いな大阪人にストレートに、ポジティブに伝え、「よっしゃほんなら見たろやないか!」と参加意欲を掻き立てるべき。「笑いが違う」と悲観した甘ちゃん回答で大阪人は振り向かない。

鹿タカシ
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。

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