リアル・マイケルジャクソン [Vol.45]_1997年in韓国_マイケルとの再会へ！＜茂朱リゾート偏＞ ～おっかけOL3人組とマイケルの交流実話～

茂朱リゾートの様子とスキッパーとの記念写真。マイケルの写真は1996年来韓時のもの。

真夜中の３時すぎ、わたしたちは、茂朱リゾートのホテル周辺を散策しに出かけた。今朝からの一連の出来事でアドレナリンが大放出し、とてもじゃないが眠ることが出来なかったのだ！

冷たい夜風が心地いい。ヨーロッパ調のかわいい街並みを歩きながら、3人とも頬がゆるみっぱなしだ！ただただ会いたくて、夢中で追いかけてきた結果、マイケルとごく少数の関係者のみが滞在する貸切ホテルに泊まれることになったのだ！さすがにこの状況は、ツアー中やオフィシャルなイベントではあり得ない。極秘のビジネスだからこそ実現した、夢のようなシチュエーションだ！

部屋に案内される前、わたしたちは、ウェインやチョイさんと少しの間話をした。その中で、ドイツのイベントをキャンセルした理由を聞くと、「マイケルの頭痛が原因だ」とウェインは言った。思わず心配になり、今回は大丈夫なのか聞くと、「問題ない、マイケルは元気だよ！」と答えてくれる。

マイケルにプレゼントを持ってきたことを伝えると、ウェインはPHOTOアルバムを手にとって１ページずつ内容をチェックしている。そして、すべて見終わると、「明日マイケルに渡す時間をつくるから、昼の12時にロビーで待っていなさい」と言ってくれたのだ！「今日はもう寝てるから、マイケルの部屋には行かないように」とウェイン。ハイ！もちろん、行きませんとも！（いま思い返せば、あまりに簡単に直撃できる状況だった）そのあと自分たちの部屋にチェックインし、ホテルの外を散策しに出かけたのだ！

さっきまでの、真っ暗闇を手探りで進んでいるかのような不安が、まるで嘘のようだ。明日（いや、もう今日か！）、マイケルに会えるんだ！小さな新聞記事を信じて飛んできて、本当に本当によかった！

ホテルに戻って一息つくと、突然部屋の電話が鳴る。こんな真夜中に、一体誰だろう？おそるおそる出てみると、電話の主は「ニッキー」と名乗った。ニッキーってどっかで…あ、思い出した！去年福岡で会った、ちょっとセレブな関係者だ！彼は、「いますぐチョイさんに電話をして！」とチョイさんの部屋番号をわたしたちに言う。ニッキーはどこにいるのか聞くと、いま東京にいるという。「??」さっぱり状況がわからないわたしたちに、「必ず電話して！」と念を押してニッキーは電話を切った。

（こんな時間に大丈夫なのか）と思いつつ、チョイさんに電話をすると、ワンコールで出てくれた！そして、チョイさんはわたしたちを朝食に誘ってくれ、「明日の朝8時半にロビーで」と約束して電話を切った。

ニッキーにチョイさんにウェイン、そしてマイケル…一日でいろんなことがありすぎて、頭がパンクしそうだ！とにかく明日のマイケルとの対面に備えて、少しでも寝よう！

翌朝、朝食の前にホテルの外を散歩しに出かける。明るい中で見る茂朱リゾートは格別のかわいさで、まるでハウステンボスみたいだ！ホテルに戻ろうとすると、巡回中の警備員が駆け寄ってきて、あっという間に捕獲される！「わたしたち、宿泊者です！」と言っても信じてもらえず焦っていると、ホテルから関係者が出てきて「こちらはゲストだから」と説明してくれた。ひえ～、敷地内は厳戒態勢なのをすっかり忘れてた（汗）

その後、2階のレストランで、チョイさんをはじめとする韓国側の関係者と朝食をとる。昨日のマイケルの様子について聞いたり、むこうの質問に答えたりしているうちに、レストランの入り口にウェインにそっくりな人が現れた。

「え!?ウェイン？」いや、でも肌のハリがまったく違う！一晩寝たら、急に若返ったのか？（失礼）

彼は満面の笑顔でわたしたちのテーブルにやってくる。そして、自分はウェインの弟で、名前をスキッパーだと名乗った。「スキッパー！」1988年公開のマイケルの主演映画、「MOON WALKER」に出てくる犬の名前は「スキッパー」だ。あの名前は、もしかして、彼からとっていたのか？と一瞬思ってしまった！

スキッパーも一緒のテーブルについて、コーヒーをオーダーする。そして、「ウェインも朝食に来る予定だったけど、まだ部屋で寝ている」と教えてくれた。あのあとウェインはマイケルの部屋に行き、わたしたちの到着を知らせると、そのまま2人で一晩中話していたというのだ。ニコニコと嬉しそうに話すスキッパーをみて、わたしたちはホッとしてしまった。

朝食のあと、1階のロビーに移動してひたすらマイケルを待つ。その間に続々と警備員や現地関係者が現れ、今朝までの静かなホテルとは一変した緊迫感だ！そんな中で、どう考えても場違いなわたしたち。

「彼女たちは誰？」と関係者の間で次々話が広まったようで、いろんな人がわたしたちの元にやってきては、名刺を渡していった。

そして、いよいよウェインと約束した時間が近づいてきた！わたしたちは、PHOTOアルバムとタレ幕をにぎりしめ、緊張しながらエレベーターを見つめる。

正午すぎ、ウェインが一人でエレベーターを下りてきた。関係者と言葉を交わしたあと、わたしたちに向かって手招きをする。駆け寄ると、「ここでマイケルを待つように」と、エレベーターのそばを指し示し、現地の警備員に「彼女たちはここにいてOKだから」と説明してくれる。

ウェインは再びエレベーターに乗り、マイケルを迎えにいく。スタンバイOK！いよいよ、久しぶりに、マイケルに会えるんだ！！（涙）

すぐにエレベーターは下降してくる。……4階……3階……2階……心拍数がはねあがり、胸がギュっと苦しくなる！ついに扉が開き、中からウェインが出てくる。後ろを振り返りながら、「彼女たちはあそこにいるよ！」とわたしたちの方向を指し示す。そしてついに、マイケルがゆっくりとエレベータから下りてきた！

～追記：2012年、スキッパーは56歳の若さで天に召されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。D.P～

【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ～おっかけOL3人組とマイケルの交流実話

パリス川口
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」（ファミリーの意）と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。