男はつらいよ! 仮面ライダーウィザード!

インフォシーク / 2013年8月13日 17時30分

ボスに裏切られ、ひび割れ滅びていく悪役幹部のメデューサ。

先日、夜の11時に眠らない街・池袋を歩いていると、若い女性が小学1年生くらいの息子を連れてゲームセンターから出てきた。子供は母親を見上げながら、「お母さん、ボク、ゲームセンター好きじゃない、家で絵本読みたい」と懇願しているのだが、母親はスマホをいじり無視して歩いていた。

駅に近づくと、今度はベビーカーに子供を乗せた若い女性が、友だちとの待ち合わせでやけに楽しそうに騒いでいた。ベビーカーに座っている子供は2歳くらい、夜の11時に、まだギンギンに起きていた。

めちゃくちゃな時代である。不自然なことが当たり前のように街に溢れていて、自分がおかしいのかと疑ってしまうことが多い。

「モンスターペアレント」という言葉もある。ウチの子が主役になれないなら学芸会欠席! と宣言した親が複数名いたから、桃太郎が16名になっただとか、子供が恋愛告白に失敗して不登校になったときに、フッたのはイジメのようなものだからフッた相手を退学させよ! だとか、そんな事例も聞いたことがある。

なぜにこうなっているのか。8月11日に放映された仮面ライダーウィザード第47話でも、これはおかしいぞ…という親の愛があった。

少し詳細な説明が必要だ。そもそも仮面ライダーウィザードは、

○ある条件を満たした人間が人生に絶望すると、「怪人」になる

○しかし、その人間が強い意志で絶望に打ち勝つと、「仮面ライダー」になる

という設定であって、

○悪玉のボスは、条件を満たした人間を見つけては、片っぱしから絶望に追いやる

○善玉のボス(?)は、悪玉の絶望者増産運動を横目でチラチラ見て、絶望に打ち勝って「仮面ライダー」になれる人間が現れたら、そいつを横取りして仮面ライダーへの英才教育を施す

という、わりとカオスな状況だったのだ。そして、第47話で明かされた秘密がこれ。

○実は、悪玉のボスと善玉のボスは同一人物!

…ということは。ボスは仮面ライダーを生み出すために、次々と人間たちを絶望に追いやっていたことになる。

猟期的人物だ。めちゃくちゃである。

では、なぜ彼は、次々と人間を絶望させてまで「仮面ライダー」を増やしたいのか。理由がこれのようなのである。

○そうすると、自分の娘の命を救えるから

…モ、モンスターペアレント?!

まだ謎に包まれているところも多々あるが、現時点では迷惑きわまりない愛情ゆえの暴挙でもある。しかし…親というのはこういうものか。いや、私もモンスターになりかけているのか。

9月末で放映が終了する仮面ライダーウィザードは、意外な展開を交えて盛りあがっている。矛盾の世界にいる仮面ライダーたち、そして悪役たちは、このあとモンスターペアレント疑惑(?)のボスに対して、どう行動していくのか。ドラマとしては楽しみだ。

しかし、この記事の本質は解決されていない。なぜ、世の中はこういうめちゃくちゃな人間が増えてしまったのか。

先日、たまたま山田洋次映画監督の話を、ほんのほんの少しだけ聞く機会があった。そこで語った監督の言葉に、「『男はつらいよ』の良いところの一つに、ダメな寅のために、みんなが本気で話し合ってることがある。喧嘩もするが本気でやっつけようとは思っていない」というようなものがあった。

なるほど。確かに「男はつらいよ」では、おいちゃんやおばちゃん、さくら、さくらの旦那、場合によってはマドンナやタコ社長や満男までが、寅さんの行く末を案じたり、寅さんが持ち込んだ課題を解決するために、お茶の間で話し合っている。

一方的に命令して動かす、欲望のままラクな方へ向かう、皆がやってるから皆と一緒だから同じことをする…そういう世界ではないのだ

仮面ライダーウィザードでも、ウィザード周辺は面影堂という店でなんだかんだと言ってはみんなが輪になって話し合うのだが、モンスターペアレント疑惑のボスの周辺には、そのような関係は一切無い。

意外と思うかもしれないが、このあたりに本質があるように思える。決してこじつけとは思わないが、いかがだろうか。

【バックナンバー】仮面ライダー徒然草はこちら

ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作をしている。

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