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リアル・マイケルジャクソン [Vol.57]_1998年 in 東京_ファンの想い。 ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~

インフォシーク / 2013年10月10日 17時30分

1998年、渋谷の街に現れたマイケル一行。

ホテルオークラでの記者会見を終えたマイケルは、その足で六本木の「青山ブックセンター」を訪問した。

ガラス張りの入り口はクローズされ、外には多くのファンが集まっている。中をのぞき込むと、奥の方にチラチラとマイケルの姿が見え、店内を大勢の関係者が忙しく動き回っている。

短いショッピングを終えたあと、次にマイケルが向かったのは、渋谷にある家電量販店だ。平日とはいえ、大勢の人で賑わう渋谷のド真ん中に大型のバンや関係車両が乗りつけ、物々しい警備が現れたのだからタイヘンだ!

「なんだなんだ?」と一般の人が足をとめ、「マイケルジャクソンだってよ!」「えー!!うそ~!!」と連鎖的に人が集まり、人が人を呼んで周囲は大変な騒ぎとなった!

そんな中、マイケル一行は、このあと訪れる隣のタワーレコードまで「歩いて」移動するという。(ひえ~~大丈夫なの??)わたしたちは、少し考えたあと、タワーレコードに先回りすることにした。この群衆の中ではマイケルに近づくのも難しいし、何より危険だ!

タワーレコードの店内から渋谷の街を見下ろすと、ものすごい人混みの中を突破して、マイケル一行がこちらに向かってくるのが見えた!大きなどよめきと、押し寄せる人!人!人!(ちゃんとマイケルを守ってよ~~泣)ハラハラしながら見守るうちに、なんとか無事マイケル一行はタワーレコードに到着した。

ここでは、買い物をするマイケルを、少し離れた場所からファンが見守った。関係者がガッチリ警備をする中で、ビジネス関係者の子どもをはじめ、数人の子どもたちがマイケルのそばで一緒にCDなどを見てまわる。これまでに、何度も何度も世界各地で見てきた光景。

そのとき、突如わたしたちの中に、一言では表現できない複雑な想いが湧き上がってきた。(自分たちが求めていることって、なんなんだろう?)あるときは、とても近づけたような気がするのに、次の瞬間には「ファンはここまで!」と見えない規制線の外に追いやられる。関係者や子どもたちがたやすく超えられる一線を、結局ファンは超えることができないのではないか?

来日から4日目で、残された時間はほとんどない。何も話せないまま、タイムリミットが近づいていく。ナーバスな心境でキャピトル東急ホテルに戻り、ロビーにいると、入り口から日本側の責任者Eさんが関係者とともに入ってきた。まっすぐこちらに歩いてきて、「マイケルに会えましたか?」と優しい声で聞いてくる。その瞬間、わたしたちは、ブワっと涙があふれて号泣してしまった!

「どうしたの?!」と驚いているEさん。自分でも説明がつかない想いを、ビジネスの関係者であるEさんにぶつけるのは筋違いだ。しかし、「何がしたいのか言ってみなさい」と何度も言われ、わたしたちは答えた。「人として・・・ふつうにマイケルと話したい」「ただ、話したいんです」HISTORYツアーを経験し、自然に湧き上がってきた想い。それを聞いて、一瞬言葉に詰まるEさん。その、「ふつう」のことが、一番難しいのだ。

「このあと関係者とマイケルの写真撮影があるから、君たちも写真を撮りますか?」とEさん。わたしたちは首を横に振った。とにかくこのときは、もどかしさと悲しさでいっぱいだったのだ。

Eさんは、ポンポンとわたしたちの肩をたたくと、関係者とともに去っていった。わたしたちは、トイレでひとしきり泣いたあと、ふたたびロビーへと戻った。しょうがない。こればかりは、マイケルにその意思がなければ、実現しようがないのだ。

夕方から、ホテルオークラで空手関係のパーティーが行われ、わたしたちは沈んだ気持ちのまま再び会場へと向かった。事前に「パーティー券」が販売されていたようだが、それを知らなかったわたしたちは、ますますナーバスになって会場の外に立っていた。

しばらくすると、ジョンがやってきて、「OKが出たから行こう!」と言いながら、わたしたちを会場の中へと促す。「さあ、笑って!君たちはマイケルのところに行かなくちゃ!」と明るい調子でエスコートしてくれる。

中に入ると、広い宴会場に丸テーブルがいくつもセッティングされ、奥の方にステージが見える。マイケルが座っているテーブルは、入り口から遠いうえに、立ち上がっている人が多くてよく見えない。わたしたちは、手近なテーブルに着席し、遠くからパーティーの進行を眺めていた。・・・橋幸夫さんが壇上にいる。嬉しそうだなあ。空手の話が続き、時折り拍手が起こる。・・・それにしても、こんなオープンな会場で、マイケルはどうしているのだろう?ちゃんと守られているだろうか?

わたしたちは、パーティーの醸し出す雰囲気にどうしても馴染めず、早々に退出することにした。その前に、マイケルの様子だけ確認して帰ろうと、ステージの方向に向かって歩いていく。

唐突に、大きな丸テーブルのひとつにマイケルが着席しているのが目に入った。周囲には、関係者やセキュリティが大勢いたはずなのだが、記憶に残っているのは、パーティーも終盤に差し掛かり、所在無げにそこに座っていたマイケルだ。

(あ!)わたしたちを見て、マイケルはホっとしたような笑顔で手を振ってくれた。あとから見たニュース映像を思えば、わたしたちは、そのときマイケルのもとに行くべきだったかもしれない。(マスコミが至近距離から取材をし、かつてない無法地帯となっていた)でも、遅れて入ったわたしたちは、その状況を知らない上、いろんな想いでいっぱいいっぱいだった。丸テーブルの反対側からそっとマイケルに手を振り、わたしたちは、そのままパーティー会場をあとにした。

【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話

パリス川口
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。

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