リアル・マイケルジャクソン [Vol.59]_1998年 in 東京_プレスルームでのエピソード。 ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2013年10月24日 17時30分
わたしたちは、Eさんのあとに続いてプレスルームの中に入った。(ホントに行っていいの…?)おそるおそる一歩を踏み出すと、ちょうど入り口のそばに待機しているウェインと目があった。
「ノー」とウェインは言い、首を横に振る。はいはい、やっぱりそうですよね。わかってます。わたしたちは、くるりと踵を返し、部屋から出ていこうとする。するとEさんは、「ウェインが決めることじゃない!」と言い、逆にウェインを制すると、「この場は私が責任者だから。ここで待っていなさい」と、わたしたちをプレスルームの中の控室に誘導したのだ。
パタン、と扉が閉められ、3人で控室に取り残される。ちらりと見たプレスルームは大勢の関係者が行き来をし、マイケルと筑紫哲也さんのインタビュー収録の真っ最中のようだった。
それにしても…。さっきのEさんの対応に、わたしたちは衝撃を受けていた!世界中のさまざまな関係者の中で、真っ向からウェインに反対するのを見たのはEさんが初めてだった。「ウェインの言うこと=マイケルの意思」という図式が暗黙の了解としてある中で、Eさんにとって、あくまでウェインは「セキュリティー」なのだ。ボスのマイケルが会うと言っているのだから、その意思が最優先!というスタンスのようだった。
どうにも慣れない状況に、落ち着かない思いでじっと待つ。程なくして控室の扉が開き、見知らぬ関係者から「そろそろ来てください」と声をかけられた。ヘンな緊張で、右手と右足が一緒に出る勢いだ!広い室内を見渡すと、一角に布が張られた簡易セットが設けられ、撮影用ライトが強烈に灯る中、マイケルと筑紫哲也さんが座っていた。
インタビューは終盤で、筑紫さんのキャラクターと報道番組(TBSのNEWS23)という性質のためか、とても淡々と進んでいるように見えた。そして、収録が終わり、傍らにたたずむわたしたちに気づいたマイケル。
「ああ、来たの!」と立ち上がるマイケルの笑顔を見て、わたしたちは、ようやくこの場にいてもいいのだと思った。
マイケルのそばに駆け寄り、持っていたプレゼントを渡そうとするわたしたち。とにかく時間が押している!このあとすぐ、マイケルはホテルを出発して帰国してしまうのだ。すると、「ちょっと待って」と関係者からストップが入る。まだ、何人かのビジネス関係者との対面が残っていたのだ。マイケルは数人の関係者と順番に写真を撮る。最後に女性の関係者がマイケルとハグをし、そのままマイケルの顔を覗き込むとこう言った。「ねえ、あなたの目が見たいの。サングラスをはずしてくれる?」
それを聞いて、わたしたちはぎょっとした!大勢の人が周囲を取り囲むこの状況で、サングラスをはずすように求められるなんて!(だ、誰もマイケルをガードしないの?)わたしたちがアタフタしていると、マイケルは、「ごめんね、それは出来ないんだ」と自ら丁重に断った。相手を傷つけないように、あくまでもソフトに、でもきっぱりと応対しているマイケル。(マイケルも、ダメなことはちゃんと断るんだ…)それは、人として当たり前のことかもしれない。でも、わたしたちは、そんなマイケルの姿を初めてみたのだ。
そのあと、ようやくわたしたちの番になった。持ってきたプレゼントをマイケルに手渡す。「オオ!」と言いながら嬉しそうに受け取ってくれるマイケル。今回用意したのは、MUJUリゾートで一緒に撮った写真をはじめ、マイケルへのメッセージや写真をコラージュした、大型のアクリルのフォトスタンドだ!
それを眺めて「オー!ワンダフォー」と感心しているマイケル。これは韓国でしょ?こっちの写真は?と、一枚一枚わたしたちに確認をする。傍らで、ウェインがその様子を笑顔で見守っている。(よかった!)
そして、おもむろにマイケルは、わたしたち3人を見回して、「ねえ、Children's Holidayって知ってる?」と質問をした。それはマイケルが作詞作曲をした曲で、このあとわたしたちは、マイケルといっしょにこの歌を歌ったのだ!(※このエピソードの詳細はリアル・マイケルジャクソン特別編にて記載)
最後に、わたしたちもマイケルと写真を撮ることになった。カメラマンに誘導され、ツーショット写真をそれぞれ2枚ずつ、集合写真を2枚、計8枚の撮影となった。一緒に歌った直後のせいか、マイケルはとてもハイテンションで、写真を撮る間ずっと嬉しそうだった。次にマイケルに会うときは、きっとまた、このときの写真をコラージュしてプレゼントするのだろう。
そのあとマイケルは筑紫さんと写真を撮り、もう一度わたしたちと握手をしたあと、フォトスタンドを手にプレスルームをあとにした。わたしたちは、この機会を設けてくれたEさんに、そして誰よりもマイケルに感謝した。
この短い対面で、マイケルと思う存分会話ができたのかといえば、答えはノーだ。でも、わたしたちは、抱えていたモヤモヤからほとんど解放されていた。マイケルは、ファンであるわたしたちとの交流を、確かに喜んでくれている。ときに照れたり、はしゃいだり、大笑いしながら。「僕は彼女たちとは世界中どこでも会えるんだよ!」と周囲に語ってくれたマイケル。それで十分じゃないか。
きっと、これから先もわたしたちは、天にも上るような気持ちを味わったり、ガックリ落ち込むような経験を何度もするだろう。誰かに助けられたり、阻まれることもあるだろう。それでも、そこにマイケルがいる限り、わたしたちは走り続けるのだ。「経験」という、何物にも代えがたい宝物を得るために。
そして7月28日午後1時すぎ、マイケルは5日間の日程を終えてキャピトル東急ホテルをあとにした。この来日が、マイケルにとって、長年慣れ親しんだキャピでの最後の滞在になるとは、当時のわたしたちはまだ知るよしもなかった。
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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