もしも仮面ライダー鎧武／ガイムが、仮面ライダーでなかったら！

ブドウで変身中の仮面ライダー龍玄！ もはやこれくらいの変身シーンでは驚かなくなったのだ。

10月から放映が開始された新・仮面ライダーの「仮面ライダー鎧武」！

仮面ライダー鎧武は、天から大きなフルーツが降ってきて、そいつを頭にかぶって変身する！ …ということは、今までに何度も記事にしてきた！

第1話では、オレンジを頭にかぶって、変身！

第2話では、パイナップルを頭にかぶって、変身！

第3話では、バナナを頭にかぶって、変身！

そしてもちろん！ 10月27日に放映された第4話では…

ブドウを頭にかぶって、変身！

ええい！ もうこうなったら店ごと降ってこい！…と、書きたくなるのだが、第４話のブドウ変身については、おそらく全国のほとんどの視聴者が、実はこう思ったのではないか？

「あれれっ、ブドウの変身シーンってさ…けっこー… 普通じゃん！」

そこのあなた！ 感覚がマヒしてますよ！

そうなのである。私たちはどうやら、突飛なフルーツライダーを見過ぎて、何かがマヒしてしまっているのである。

だって、ブドウが降ってくるって…やっぱりおかしいではないか！

恐るべし、鎧武。放映1ヶ月にしてここまで視聴者をマヒさせたのだから、大成功だ。あと数話見たら、まな板や包丁が降ってきても、まるで驚かないだろう。

そんな仮面ライダー鎧武、第4話まできて、ストーリーも厚みが出てきている。少し紹介したい。

まず、この1ヶ月に出てきたライダーをまとめると、

○オレンジ＆パイナップルライダー ＝ 鎧武

○バナナライダー　＝バロン

○メロンライダー ＝ 斬月

○ブドウライダー ＝ 龍玄

この4名を踏まえてストーリーを説明する。

もっと強い自分に変身したいと願う主人公は、たまたま拾った変身ベルトによって、強い仮面ライダーになることができた。調子に乗った主人公は、ダンスチーム同士の勢力争いの場で、オレンジライダーに変身して相手を撃破していく。周囲にもてはやされ、さらに調子に乗ってしまった主人公は、とうとうアルバイトを辞めて、オレンジライダーで金を稼ぐようになる…

と、ここでストーリーの半分だ。読んでわかるとおり人間の情けなさが描かれていて、どことなく主人公に共感してしまう。

…と！

突然だが…この説明文から「ライダー」という言葉を削ってみていいだろうか？

私が何を言っているのかさっぱりわからないだろうから、続きのストーリーを「ライダー」という言葉を抜きにして読んでいただきたい！

…そんなオレンジの前に突如現れたバナナ！ 驚きつつバナナと喧嘩をしているうちに、オレンジは森で迷子になってしまった。そこへ喧嘩が強いメロンが登場！ メロンにボコボコにされたオレンジは、もうオレンジにはならない…と、ひきこもりになってしまう。その頃オレンジの後輩が、ブドウに変身していた！

…バ、バカっぽい！ 出来そこないの童話のようになってしまったのである！

そう、「ライダー」という言葉を抜いた瞬間に、まるで共感できないのだ。

これが仮面ライダー鎧武のスゴさではないだろうか…

つまり、仮面ライダーは「ライダー ＝ 心は人間であること」という設定こそが、視聴者にとっての大事な共感ポイントなのである。その設定への背景がしっかりと設計構築されていたならば、きっと、フルーツだの戦国武将だのまな板だの包丁だのと感性に身を任せて驚くほどに自由にやってしまっても大丈夫！ むしろストーリーが面白くなる！ そして視聴者も喜ぶ！ という図式なのではないか。

鎧武はそれに成功していると言える！ 恐るべし、鎧武のスタッフたち！

人生においても同じである。本質を捉えようとしていれば、どうでもいい噂話や与太話に左右されず、真実を見つめながら、ズシリズシリと歩めるのではないか。自分だけの自由な発想を発信できるのではないか。簡単ではないことは重々承知だが、最低でも与太話を発する者やそれを聞いて喜んだり影響を受けたりする者たちではなく、真実を見つめズシリズシリと歩もうとする者たちといつまでも友達でいたい、とつくづく思う。

日曜日の朝、仮面ライダー鎧武を見て、ちょっとだけ頭を柔らかくするのもよいかもしれない！

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ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。MC。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターＴＶ」（インターネット）の製作、映画の宣伝などをしている。