イーグルス、球団創設9年めで悲願の日本一!ジャイアンツを倒し、見せたぞ東北の底力!
インフォシーク / 2013年11月3日 23時30分
ついに…ついにイーグルスが悲願の日本一を成し遂げた!3勝3敗のタイで迎えた第7戦、前年度覇者で日本プロ野球界で最も長い歴史を誇るジャイアンツから、球団創設9年目の、最も若い球団であるイーグルスが勝利して初の日本一を決めた。
イーグルスの先発は美馬。169cmと小柄な体だが筋肉質の体から繰り出される140キロ台のストレートと、多彩な変化球でジャイアンツ打線を翻弄する。嶋とのコンビで四球になっても構わないくらいの覚悟で外角、内外と徹底して際どいところを攻め、ほとんど真ん中に入る球がない。その結果4四死球は出したものの、安打はロペスの1本のみと完璧な投球。6イニングで責任を全うしマウンドを降りたものの、そのままいっても完投出来たのでは?と思わせる、見事な内容で第3戦に続き無失点に抑え、シリーズMVPの座を手にした。「もう何針縫ったかわからない」というほど度重なる肘の怪我で、未だに右肘にはチタン製ボルトが埋まったまま。今季も抹消と登録を繰り返したが、クライマックスシリーズ直前に選手登録されると、10月19日のクライマックスファイナル・マリーンズとの第3戦でプロ初完封の快投を見せた。「ファームで結果を残してないのに上に挙げてくれたり、感謝の言葉しかない」と星野監督の期待に答えたMVPだった。
打線は初回からジャイアンツ杉内を攻略。銀次の死球をきっかけにジョーンズ、マギーと連続ヒットで先制する。さらに2回にも岡島のタイムリーで追加点を奪うと、杉内は第3戦に続き2回を持たずKOされた。
ジャイアンツの投手が澤村に交代してからも4回、この日先発に起用されていたベテラン牧田明久がレフトスタンドに突き刺さるホームランを放つ。春先までジョーンズとマギーの間の5番を打って序盤のチームを支えてきたが、怪我で登録抹消。復帰後も低迷し再度抹消され、美馬同様にクライマックス直前に再登録された。日本シリーズでは不振の桝田に代わり起用されると、勝利を決定づけるホームラン。選手層が薄いと言われているイーグルスの中で、長年イーグルスを支え続けて来た男が大仕事をやってのけた。
7回からは則本が登場。今年、エース田中を差し置いて開幕投手の座を務め、シーズン15勝をあげた新人投手に、星野監督は絶大な信頼をおいていた。日本シリーズ第1戦で起用されるも味方の貧打に泣き敗戦投手になるが、第5戦では辛島の後を継いでリリーフ登板。最終回に痛打を浴び同点にされるも、延長戦を投げ抜いて勝利投手になった。
この試合でも2イニングを投げ、150キロを超える速球でジャイアンツ打線を手球にとり、完璧な形でお膳立てすると、最終回、星野監督の告げた投手の名前に超満員のKスタが震えた。
マウンドには前日9回160球を投げ抜いた田中将大が登板。2安打は打たれるものの、最後は140キロ台のスプリットを連投。前日はこのスプリットを打たれ動揺し崩れたが、今回こそは何がなんでもこの球で決める!という決意の見える投球で最後の打者を三振にとり、日本一を決めた。
歓喜に揺れるKスタ、星野監督の体が9度、宙を舞う。これまで3度、リーグを制しながら一度も日本一になったことがない。それまでは本人曰く、リーグ戦を制した時点で満足感してしまい日本シリーズで勝てなかったそうなのだが、今回は自身が終生のライバル・ジャイアンツを相手にすることではっきりと「ジャイアンツを倒して日本一に」という思いが強くなった。それは今シリーズの投手リレーにも見て取れた。
もともと、選手層、特に投手陣には不安のあったイーグルス。その不安はクライマックスシリーズや日本シリーズの序盤でリリーフ陣が打ち込まれたことで大きくなった結果、星野監督は賭けに出る。マリーンズとのクライマックスファイナル最終戦では則本・田中をリリーフとして投入。そして日本シリーズでも実現した。則本と前日、9回を投げ抜いた田中のリレー。「考えられないような継投」と苦笑いしつつも、田中の希望があったとはいえ、やはり彼らなしでは日本一はありえない、という思いから出た継投ではなかっただろうか。
「震災で苦労なさってる皆さんをみると、日本一になって癒してあげるしかないと思っていた」と語った星野監督。2011年の大震災から復興を目指す人々にとって、イーグルスは象徴的な存在になっていた。
震災後に本拠地のKスタで、ファンの前で語った嶋のスピーチ。「何のために僕たちは闘うのか、ハッキリしました。この1カ月半で分かった事があります。それは、『誰かのために闘う人間は強い』と言う事です。
東北の皆さん、絶対に乗り越えましょう。今、この時を。
絶対に勝ち抜きましょう、この時を。
今、この時を乗り越えた向こう側には強くなった自分と明るい未来が待っているはずです。
絶対に見せましょう、東北の底力を!」
確かに、イーグルスはこの日本シリーズでも、今も震災と戦う東北のファンのために戦っていた。絶対的な選手層では圧倒的な差のあるジャイアンツ相手に、終始僅差で戦いを挑み、不安視された投手陣も2本柱以外の美馬、辛島といった選手がシーズン時の実力以上の力を発揮した。打線も貧打と言われながらも尻上がりに調子を上げていった。先に王手をかけたものの、第6戦でエース田中で負けた時には日本一の座も遠くなりかけた。幾多の困難を乗り越え、ファンのために戦ったイーグルスが、底力を発揮した日本シリーズだった。
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