SNSがヒーロー像を変えるのか?! 仮面ライダー1号2号から仮面ライダー鎧武/ガイムへ!
インフォシーク / 2013年11月5日 17時30分
以前、牛丼屋で店員があやまって、若者にお茶をこぼした。
かなり熱そうで、若者は飛び跳ねていた。まだ若気の至り真っ盛りの年齢だ、これは怒るかな…と思いきや、彼はおもむろにスマホを取り出したのである。
そう、なんと、彼はつぶやき始めたのだ…
「お茶、ひっかけられたなう」(←予想)
店員が謝罪しているのに無視してスマホ。な、何なのだ! そのリアル感の無さは! そりゃ怒らない方がいいけれど…何かがおかしくないだろうか?!
最近はバイトテロというのも問題になっていて、いまさら説明するまでも無いが、ピザ屋のバイトがピザ生地で顔面を覆ったり、ネズミの死骸をアップしたりして大騒ぎになっている。バイトテロという言葉自体がゲーム感覚のようで好きになれないが、バイトテロに遭って閉店に追い込まれた店もあるというから、決して軽々しい話ではないのだ。
これら一連の行動に見える、リアル感の無さ、想像力の無さ。これは一体何なのか! このあたりは目下のところ、私が知りたいテーマである。お笑いの世界と現実の世界の境目がわからないのだろうか、メシウマ(他人の不幸で飯が美味い、という意味)なんて言葉があるようなので、他人や店を不幸にして笑うのが今の若者のスタンダードなのか…?!
SNSは、犯罪的行為への抑止力にもなっていると信じているのだが、こう見ていくと、人を軽はずみにしている可能性もかなり高い。
緊張感。これがどうも感じられないのだ。
緊張感といえば戦国時代なわけだが(強引ですか?)、あの時代にSNSがあったならば、歴史は確実に変わってしまっているだろう。
例えば、織田信長が10分の1の戦力で今川義元を討ちとった桶狭間の戦い!
あのとき…もしも織田軍のひとりが…つぶやいていたら…どうなっていたのか!
「桶狭間で待ってるなうwwwww 今川討ちとったるがやwwwww」
台無しである! きっとこの一言は早々に今川軍にキャッチされ、今川義元ではなくて織田信長が桶狭間で命をおとしていたかもしれない。
変わっていたのは歴史だけでなく、ドラマの世界も同じかもしれない。
先日、映画「仮面ライダー FIRST」を観た(2005年に公開された映画なので、今観るならDVDしかないようだ)。大人向けに作られている仮面ライダー1号誕生の話で、1971年に等身大のヒーロー・仮面ライダーを生んだ石ノ森章太郎の本来の意思を受け継ぐような形で作られているとのこと、改造人間になった主人公の心の葛藤や、ショッカーは闇の組織ゆえ常に隠れていなくてはいけない、よってショッカーの怪人を見た人間は皆殺しだ! というような、ややリアルな表現を目指しているように思えた。
映画の中で、怪人を目撃した者は次々と殺されていく。
このシーンを観ながら、私は、仮面ライダーが生まれた時代にSNSが無くて良かったなぁ…とつくづく思ったのである。
その方がリアル感があるからだ。だってもしもSNSがあったら、怪人を見た者は皆殺し…! とか息巻いたって、目撃者はとっくにつぶやいてしまっているのだ!
「怪人見たwwwwwワロス!」
これに対しは反応も多いだろう!
「テラワロス」
「パネェ」
「kwsk」
「うp、まだか」
「これ、誰得?」
「…萌え」
皆殺しどころではない! ショッカーはSNSの拡散を押さえるだけで手一杯になってしまうのである!
仮面ライダーの命を懸けた闘いだって、きっとこうつぶやかれてしまうのだ!
「バッタ男マジギレなう…」
「怪人、フルボッコwwwワロス」
バイクでショッカーを追跡していても!
「仮面ライダーのスピード違反、パネェwww」
もはや社会の闇や心の闇は到底表現できない…。
時代は変わる。SNSはヒーローを軽くしてしまうのか?!
現在放映されている仮面ライダー鎧武/ガイムは、そういえば戦闘がネットで中継されている設定だ。街のみんなはその中継を見て、仮面ライダーを応援したり、相手を応援したり、ファンになったりするのだ。
そうか…すでに仮面ライダーも変わってきていたのだ。
はっきり言うが、仮面ライダー鎧武/ガイムは(今まで何度も記事にしてきたとおり)、本当に面白い! そしてこれからがストーリーの本番だ!
緊張感の無いヒーローに変わっていくことだけは避けてほしい! よろしくお願いします!
そしてなぜだか、仮面ライダーの原点である1号2号は、アナログだった昭和時代に生まれて良かったなぁ、とおじさんは少しホッとするのである。
※ツイッターはSNSではないという意見がありますが、今回はあえてひっくるめて記事にしています
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。MC。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作、映画の宣伝などをしている。
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