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仮面ライダー鎧武/ガイムは、青春ライダーである。

インフォシーク / 2014年1月7日 17時30分

若者たちに現実の厳しさを突きつけようとする仮面ライダーも登場し始めた! モチーフは…夕張メロン?!

人生において、運命がパキーンと決まった瞬間というのは、どうもあるようである。

私の場合、中学生のときに喧嘩で引き分けたことだった。あのとき勝っていたら、もっと横暴な人生を歩んでいたように思う。

あなたは、仮面ライダー鎧武/ガイムを見ているだろうか?

2013年10月から放映されている、まさかのフルーツと武将を掛け合わせたモチーフの、新感覚・仮面ライダーだ。変身シーンが斬新で、ベルトを装着すると天に穴が現れて、そこからオレンジやバナナやメロンなどの大きな果物が降ってくる…! そいつを頭にかぶると、若干の果汁が飛び散らせながら果物が割れ、体に装着! ここに、フルーツ型の仮面ライダーが完成するのである!

ジュ…ジューシー! なんだかジューシー! そんなライダーなのである!

放映当初は、この斬新な変身シーンばかりに目が奪われたが、第12話(1月5日放映)まで来ると、さすがに大きなテーマが見えてきた。

街でストリートダンスを踊る若者たちの何人かは、ひょんなことから仮面ライダーに変身できるようになり、その力を使って街の中で勢力争いを始める! …しかし次第に、街を支配する大きな権力に踊らされていることに気づくのだ。

と同時に、若さゆえの覚悟の無い思いの中で、安易に仮面ライダーになることを選んだ彼らは、すでに自分の運命を定めてしまっていた…という設定なのである。

第12話に、こんなシーンがある。

幼い頃、街を支配する権力に家を乗っ取られた、主人公のライバルであるカイトは、昔遊んだ神社跡で、当時に思いを馳せながら思い出について語る。

「思い出なんてものは、ただの記憶の残骸。この空き地と同じ、空っぽの廃墟だ」

なぜ、それなのに彼は思いを馳せているのか。それは、自分から全てを奪った奴らへの憎しみを再確認するためなのである。かたや主人公の仲間であり、ヒロインのマイは、この言葉を受けて、こう応える。

「形は変わっても、気持ちだけは残ってる。思い出は残骸なんかじゃないよ。私にとっては宝箱だよ」

カイトは「くだらんな」と、シャア・アズナブル並のクールさで立ち去るのだった。

思い出というのは、良くも悪くもやっかいだ。思い出しているときの時空を越えた感覚は、何物にも代えがたい居心地の良さがある。だからこそ、思い出へのこだわりが強まってしまったときに、現在の自分の選択肢を縛りつけてしまうこともあるのだ。

カイトが去ったあと、マイは、自分は思い出を大事にするためにこの街でダンスを続けよう、と決意する。すると、マイに姿形がそっくりの、未来から来たような服を着た女性が現れて、マイにこう告げるのだった。

「本当にそれでいいの? 今のあなたには、他に選べる運命がいくらでもある。この街を出て、まったく違う人生を歩むこともできるはず。そうすることで手に入る新しい未来が、今はまだ、いくらでも選べる」

この意見…私はわりと賛成なのである…。

人生は思ったよりも短いが、思ったよりも長い。そして、歩んで初めてわかるのだが、人生は意外に多くの選択肢を用意している。しかし私のような思いのみで生きてきた凡人は、その選択肢を歩んだのちに初めて気づく。もしかしたら思いに捉われたことで、見逃したことがあったのかもしれない。気持ちは、それがどうした! なのであるが。

「あなたの思いがもたらすものは、ただひとつの必然の結末。それが何なのかわかったときには、もうあなたは運命を選べない」

これも未来から来たような女性が告げた言葉である。ややキツイと言える。

思いがあるから青春なのである! しかし、彼女がズレたことを言っているとも思えないのが人生だ。

おそらく仮面ライダー鎧武/ガイムは、「子供が大人になる姿」の物語であり、青春群像である。青春版・仮面ライダー…悪くない。大人になった人こそ、見てみるのも良いのかもしれない。

【バックナンバー】仮面ライダー徒然草はこちら

ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。MC。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作、映画の宣伝などをしている。

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