リアル・マイケルジャクソン [Vol.71]_2000年inモナコ_マイケルからのプレゼント。 ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2014年1月30日 17時30分
ホテルド・パリのロビーで日本人カメラマンのYさんと合流したわたしたちは、明日の授賞式のチケットについて相談をした。Yさん自身はプレス用のパスを持っており、そちらのルートから入手できるかもしれない、と言ってくれていたからだ。
「すごいねえ~。ほんとにマイケルに会ってきたの?」
さっきの対面の様子を伝えると、しみじみ感心しているYさん。あまりに面白いから、自分が契約している某女性週刊誌にわたしたち3人のことを話すという。「あとで取材の電話が入るかもしれないから、よろしく!」と言われて了解しつつも、いまはとにかくチケットだ!
わたしたちは知らなかったのだが、ホテルド・パリの中には「モナコ・ワールドミュージックアワード2000」のプレスルームが設置されており、各国のメディア対応を行っていた。Yさんいわく、そこで会場内に入れるチケットかパスが調達できるかもしれないとのことだ。
次々に人が出入りするプレスルームに行き、何やら手続きをしているYさん。はー、こういう方向から攻める、という手もあるのかあ。わたしたちの発想では、いままで思いつかなかった方法だ。
(この感じなら、なんとかなりそう)やや安心しつつ、わたしたちはホテルのロビーでその後の時間を過ごした。途中で夕食を買いに、セレブ感漂うお洒落なスーパー(モナコではきっと普通のスーパー)に行き、量り売りのお惣菜を何種類か購入する。そのどれもが美味しくて、中でもシーフードがたっぷり入ったライスサラダは絶品だ!ブラボー・モナコ!わたしたちの、ヨーロッパに対する「アウェイ」な感覚は、徐々に薄れてきていた。これで、明日の授賞式に参加することができたら、わたしたちの苦手意識は完全に払拭されるに違いない。
明けて5月10日、いよいよ今日は授賞式当日だ!リゾート感あふれるテラスで優雅な朝食をとったあと、いつものようにロビーへと向かう。するとそこに、某セレブ姉妹の妹さんがコーディネーターの女性といっしょに座っていた。そういえばカメラマンのYさんは、もともとは彼女たちの取材でモナコ入りしているのだった!テレビで見るよりも華奢な印象で、背筋をピンと伸ばしてソファに腰かける姿は一分の隙も無い。
少し離れた場所にわたしたちが座っていると、セレブ姉妹の妹さんがふいに立ち上がり、真っ直ぐこちらに向かって歩いてきた。そして、「マイケルジャクソンのファンの方ですか?」と笑顔で話しかけてきたのだ。今朝の新聞にわたしたちの記事が載り、それを読んで興味を持ってくれたようだった。(こんな風に、自分から気さくに話しかけてくれるんだなあ~)妹さんは、美しい上に好意的で感じがよく、しばらくの間わたしたちは、今回の滞在やマイケルについて話しあった。
「今日の授賞式には行かれるんですか?」と聞くと、「はい、姉といっしょに」と答える。ああ、やっぱりチケットがあるのは当然なのだ。「皆さんも行かれるんですよね?」と聞かれ、もちろんですと言いながらも、果たしてわたしたちのチケットはどうなるんだろう?「会場でいっしょに写真を撮りましょう!」と約束して別れ、わたしたちは再びYさんが現れるのを待った。
ちなみに、このとき集結していた各国の熱狂的ファンは、ファンクラブなど一部をのぞき、授賞式のチケットは持っていないようだった。(みんな、どうするのかなあ~)わたしたちと同じように、チケット入手のために奔走しているのだろうか?それとも最初からあきらめているのだろうか?
ようやくYさんが現れ、さっきセレブ姉妹さんと話したことを報告しつつ(えー!と仰天していた)、チケットについて確認すると、結果は「申し訳ない!考えていた以上に厳しかった」とのことだった。各国の取材や招待客が殺到し、とてもじゃないが今からシートの確保などできない状況だというのだ。えー!まさかこのタイミングでダメだったなんて!
(ああ、やっぱり昨日、無理にでもマイケルにお願いすればよかったのか…)と思ったところで後悔先に立たず。とにかくいまから出来ることをするしかない!ウェインやスキッパーの姿を探すと、しばらくしてスーツケースを持ったウェインがロビーに現れる。傍らには、ディーターやMJJプロダクションの副社長ボブ・ジョーンズの姿もみえる。たちまち数人のファンに囲まれるウェイン。わたしたちも駆け寄ると、いまからモナコを発つというではないか!(モナコのあとマイケルが向かう場所に、ウェインが先乗りするためだ)
ウェインはわたしたちに向かって、「彼に聞くように」とディーターを指し示すと、慌ただしくホテルを発った。ああ、行ってしまった…。改めてディーターに向きなおり、ダメもとでチケットのことを言う。すると意外にも「ノープロブレム!」という自信満々の答えが返ってきたではないか!「あとでロビーで」と言い残し、その場を立ち去るディーター。果たして彼に、そんな権限があるのだろうか?ウェインが彼に任せたのだから、どうにかなるのだろうか?
不安な思いでしばらく待っていると、ディーターと同じドイツ人関係者のウドが現れた。ウドは、わたしたち3人に向かって手招きをし、Yちゃんが代表でウドとともにロビーの奥へと向かう。(なぜ彼女だけが呼ばれるの?と、ヨーロピアンファンが騒然としていた!)その場でウドは、おもむろにVIPパスを6枚取り出し、わたしたち3人と、お馴染みのイギリス人、オランダ人、オーストリア人ファン3人の分だと説明した。そのパスには、「アーティスト・MICHAEL JACKSON」と書かれている。
「マイケルが君たちにパスを用意したから、これで授賞式に来てください」この6人は、いずれも昨日、部屋でマイケルに会ってきたメンバーだ!手に取ると、その価値の重さがジワジワと感じられる。マイケルが、わたしたちのために用意してくれたVIPパス。「明日会場で会おうね」と言ってくれた、その想いがこの1枚のパスから伝わってくる。
わたしたちは、込み上げる喜びや安堵感、そしてマイケルへの感謝の想いで胸がいっぱいになった。「追っかけ」という行為につきものの迷いや葛藤、不安な気持ちが、きれいに溶けて無くなっていく。
「さあ、時間がないから早く行って!」ウドの言葉に背中を押され、わたしたちは急いで会場へと向かった!
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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