リアル・マイケルジャクソン [Vol.77]_2000年代のエピソード~2~ ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2014年3月13日 17時30分
2001年9月5日、EちゃんYちゃんはニューヨークに到着した。9月7日、10日の2日間にわたって開催されるマイケルの「ソロデビュー30周年記念コンサート」に駆けつけたのだ!
このイベントは、発表と同時にさまざまな話題を巻き起こしていた。アッシャー、ブリトニー・スピアーズ、ディスティニー・チャイルド、ホイットニーヒューストン、レイ・チャールズ、ライザ・ミネリ…などなど、層々たる顔ぶれが「マイケルのヒット曲」をパフォーマンスし、その30年にわたるキャリアを讃えるというゴージャスな構成になっていた。
さらに、これまで何度も噂されてきた「ジャクソンズの再結成」が、ついにこのニューヨークで実現することになったのだ。マイケルが兄弟といっしょにステージにたつのは、1984年のVICTORYツアー以来、なんと17年ぶりだ!…といいながらも、EちゃんYちゃん、そしてわたしは「ジャクソンズ」にも「ジャクソン兄弟」にも特別な想い入れはない。わたしたちがファンになった1987年当時、すでにマイケルはソロ活動に専念していたからだ。それでも、「兄弟と共にステージにたつマイケルをもう一度見たい」と願っていた往年のファンにとっては、涙が出るような企画であったに違いない。
EちゃんYちゃんは、ニューヨークでマイケルが滞在している「パレスホテル」に宿泊し、世界各国の顔馴染みのファンや、マイケルのマネージャーに就任していたディーターに再会した。(ウェイン、スキッパー、アティーラは、このときすでに側近をリタイアしていた)2人はマディソンスクエアガーデンでリハーサルを行うマイケルを追いかけたり、パレスホテルに宿泊していたユリ・ゲラーに遭遇して記念写真を撮ったり、所属レコード会社の関係者であるMさんOさんと久々に再会した。EちゃんYちゃんは、今回の旅で、「何が何でもマイケルに会いたい!」とは思っていなかった。ただ、マイケルのキャリアの節目となるイベントに、日本から駆けつけてきたこと。それだけを伝えられれば十分だと思っていた。
ところが、ショウの前日、ホテルのロビーでディーターに呼び止められた2人は、そこで驚くことを言われた。「10日のショウがおわった翌日、マイケルがあなたたちに会います」と、ハッキリと伝えてくれたのだ!実は、11日の早朝に、2人はニューヨークを発つことになっていた。時間的に考えて、その日マイケルに会うのは難しいだろう。でも、マイケルがそう言ってくれただけで、充分幸せだった。
2日間のショウは素晴らしく煌びやかで、前半は、エンターテインメント界を代表するビッグスターたちの華麗なステージを、マイケルも観客席に座って鑑賞していた。後半、いよいよマイケルとジャクソンズが登場すると、客席は総立ちで、マディソンスクエアガーデンは大歓声と絶叫に包まれた!オープニングの「CAN YOU FEEL IT」で2人の涙腺はブチ切れ、初めて観る兄弟たちとのステージ、畳みかけるように続くマイケルのソロ・パートに、声が枯れるほど大泣きし、絶叫した!あとからニュースサイトやVTRをみて、初めて2人は当日マイケルが体調不良だったことを知った。リアルにその場の空気を体感した者にとっては、マイケルは、ただただ圧倒的な存在感で光り輝いてみえたからだ。
ニューヨークに来てよかった。この記念すべき夜に、現地で立ち会うことができてよかった。EちゃんYちゃんは、久々にみたマイケルのステージの余韻にどっぷり浸ったまま、9月11日の早朝、ニューアーク国際空港へと向かった。
そしてこの直後、史上最大級の大惨事となった「911・ニューヨーク同時多発テロ」が発生したのだ。
ニュースで事件を知ったわたしは、すぐにEちゃんYちゃんの家族と連絡を取り合い、2人の安否をどうにか確認しようと奔走した!いまテレビで流れている映像は、ハリウッド映画や手の込んだドラマではないのだ。こんなことが現実に起きるだなんて、一体誰が予想できただろうか?
なんとかEちゃんYちゃんと連絡がとれ、2人は当初の帰国予定から4日後に無事日本に到着した。持ち前の行動力でホテルから毎日空港に通い、運航が再開されたと同時に最初の便で帰って来たのだ。このあたりの話は、詳しく書くと、それだけで連載1回分のボリュームになる。日本にいたわたしですら、しばらくの間放心状態になるほど大きな衝撃を受けたのだ。ましてや現地でテロに遭遇した人々のショック、大切な人が事件に巻き込まれた人々の悲しみや憤り、口惜しさは、いかほどのものだったことか。
マイケルは、テロの直後にニューヨークを脱出し、無事であるとニュースサイトで報じられていた。そして、即座にマイケルは有志のアーティストに声をかけてチャリティーイベントを企画し、被災者の支援のためチャリティーソング「What more can I give」をレコーディングした。趣旨に賛同したミュージシャンは、セリーヌ・ディオン、マライア・キャリー、ビヨンセ、ジャスティン・ティンバーレイク、アッシャー、グロリア・エステファンなど豪華な顔ぶれで、胸に染み入るような美しいバラード曲だった。しかし、所属レコード会社でのトラブルにより、結局この曲が公式にリリースされることはなかったのだ。
そしてこのあとマイケルは、その輝かしいキャリアの中で、もっとも辛く困難な時期へと突入していくのだ。
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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