時事通信が選ぶ、海外10大ニュース

インフォシーク / 2015年12月28日 14時0分

パリ同時テロの現場となったレストランの前で、犠牲者を追悼する市民=11月16日【AFP=時事】

第1位 世界各地でイスラム過激派のテロ
 1月にパリで風刺週刊紙が国際テロ組織アルカイダに共鳴するイスラム過激派に襲撃されて以降、過激派組織「イスラム国」(IS)などによる大規模テロが各地で多発した。チュニスで3月に起きた博物館襲撃では、邦人3人も犠牲になった。10月にはアンカラで自爆テロがあり、エジプトではロシア旅客機が爆破された。11月もベイルートの自爆テロに続き、パリで同時テロが発生し、130人が死亡。いずれもISが犯行声明を出した。米国でも12月にカリフォルニア州で過激思想に染まった夫婦による銃乱射事件が起きた。

 パリ同時テロを受け、英仏がシリアのIS拠点への本格空爆に踏み切った。こうした米主導の有志連合に加え、ロシアもアサド政権を支援する立場からシリア空爆を9月に開始。ISに対する国際的包囲網が強まっている。

第2位 中東難民、欧州に殺到

欧州入りを目指し、トルコの幹線道路を歩き続ける難民の列=9月18日、トルコ北西部エディルネ【AFP=時事】

 シリアを中心に中東やアフリカの紛争や迫害を逃れ、欧州を目指す難民が急増した。粗末な船などに乗った難民が連日大量に押し寄せ、国境にフェンスを設けて流入を抑える国も。9月にトルコの海岸に打ち上げられた3歳男児の遺体写真が報じられると、世界的に受け入れの動きが広がり、欧州最大の受け入れ国ドイツのメルケル首相はノーベル平和賞候補になった。

 欧州連合(EU)は加盟国全体で16万人を分担して受け入れることを決めたが、既に100万人以上が欧州入りし、対策は追い付いていない。11月のパリ同時テロでは、一部の容疑者が難民に紛れて欧州入りしたことが判明し、テロリスト流入対策の不備が顕在化した。欧州各国は国境審査を相次いで強化しており、欧州統合の柱である「域内移動の自由」も揺らいでいる。

第3位 COP21でパリ協定採択

パリ協定を採択し、喜ぶ(手前右端から)フランスのオランド大統領とファビウスCOP21議長(フランス外相)、国連の潘基文事務総長ら=12月12日、フランス・パリ近郊【EPA=時事】

 パリ郊外で11月30日から開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は、2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を採択した。新枠組みの合意は現行の枠組みである京都議定書以来、18年ぶり。京都議定書が先進国だけに温室効果ガスの削減義務を課すのに対し、パリ協定は、途上国を含む196の全締約国に温室ガス削減目標の提出や5年ごとの見直しを義務付ける。

 COP21では、初日に安倍晋三首相、オバマ米大統領、習近平中国国家主席ら約150カ国の首脳が参加する会合を開き、温暖化対策への決意を確認。協定には、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることを目標とし、1.5度未満にするよう努力する方針なども盛り込んだ。

第4位 中国経済にブレーキ

証券会社で株価ボードを見守る中国の投資家=8月25日、北京【EPA=時事】

 高度成長が続いてきた中国経済に陰りが見え始め、世界の金融市場に動揺が広がった。2015年7~9月期の経済成長率は6.9%と、リーマン・ショックの直撃を受けた09年1~3月期以来、6年半ぶりの低さ。景気減速を背景とした上海株急落に加え、中国人民銀行(中央銀行)による突然の人民元切り下げもあり、東京やニューヨーク市場を巻き込んだ世界同時株安が起きた。

 中国は利下げや減税、公共投資拡大などを通じて景気下支えを図り、乗用車販売が急回復するなど、一定の効果は表れている。ただ、個人消費が経済全体を引っ張るほどの勢いはなく、製造業の低迷や不動産市場不振が重くのしかかる。習近平国家主席の指導部は高度成長を追求しない新時代を「新常態(ニューノーマル)」と呼び、急減速を回避しながら安定成長への移行を目指している。

第5位 ギリシャ金融危機

欧州連合(EU)が金融支援の条件として要求した財政緊縮策に、国民投票で反対意志を示すよう呼び掛けるギリシャのチプラス首相=7月1日、アテネ【AFP=時事】

 欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などから金融支援を受けているギリシャで1月、支援条件である緊縮財政の破棄を掲げた急進左派連合(SYRIZA)中心の連立政権が誕生し、ユーロ導入後初の参加国離脱が一気に現実味を帯びた。支援継続をめぐるEUとの交渉は難航を極め、世界の金融市場に激震が走った。

 ギリシャのチプラス首相はぎりぎりまで緊縮に抵抗したものの、国民投票を経てEUが交渉の最終期限とした7月に緊縮策の受け入れを決断。両者は新たな支援策で合意し、ギリシャの脱ユーロという最悪の事態は土壇場で回避された。ただギリシャはこれまでにも巨額支援を受けており、EUなどに債務負担の軽減を求めている。債権団はギリシャが改革を遅滞なく実行すれば、2016年にも軽減策の協議に応じる姿勢を示している。

第6位 米軍、南シナ海で「航行の自由作戦」

南シナ海で米空母セオドア・ルーズベルト(中央)に乗艦後、垂直離着陸輸送機オスプレイで艦を離れるカーター米国防長官=11月5日、米国防総省提供【AFP=時事】

 中国が人工島を造成し、軍事拠点化を進める南シナ海で10月、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が人工島から12カイリ(約22キロ)以内の海域を通過する「航行の自由作戦」を行った。これに対し、南シナ海の島々は固有の領土だと主張する中国は「強烈な不満と断固たる反対」を表明。米中のせめぎ合いに緊張が高まった。

 中国は南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島周辺を「領海」と主張している。しかし、米艦が今回接近した人工島は、埋め立て前は満潮時に水没する暗礁で、周辺海域は国際法上、領海と見なされない。米国は軍艦派遣により、中国の主張は認められないとの立場を内外に示した。米軍は艦船・航空機の派遣を繰り返す考えで、南シナ海問題をめぐり、米中の駆け引きが続きそうだ。

第7位 アジア投資銀と人民元SDR

アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立協定の署名式に出席した創設メンバー国の代表ら=6月29日、北京【AFP=時事】

 中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設が決まった。北京に本部を置き、初代総裁も中国人が就く。途上国のインフラ整備を資金面で支援する。米国を中心とする現在の国際金融秩序に対抗する狙いがあると言われ、日米は参加を見送った。英国、ドイツ、フランス、イタリアは加わり、先進7カ国(G7)内で対応が割れた。6月に開かれた設立協定署名式には、57カ国の代表が集まった。

 また、国際通貨基金(IMF)は11月、中国の人民元を「特別引き出し権(SDR)」と呼ぶ準備資産の算定基準通貨に2016年10月に加えると決定した。元はドル、ユーロ、日本円、英ポンドと並ぶ国際通貨に躍り出る。日米は、中国の台頭を警戒していたが、中国との経済関係強化を望む欧州諸国が支持に回り、押し切られる形となった。

第8位 VWが排ガス不正

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲンの自動車工場=9月30日、ドイツ・ウォルフスブルク【AFP=時事】

 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が排ガス検査をすり抜けるため、検査時のみ窒素酸化物(NOx)の排出量を少なくする不正なソフトウエアを一部ディーゼル車に搭載していたことが、米環境保護局(EPA)の調査で9月に発覚した。問題車両は世界で最大1100万台に達する。当時のウィンターコルン会長は引責辞任に追い込まれ、後任にVW傘下のポルシェ社長だったミュラー氏が就任した。

 VWへの非難の声が噴出し、震源地の米国をはじめ各国で賠償請求訴訟などが相次ぐ一方、独検察当局は本社の家宅捜索に着手、刑事責任追及の動きも進む。リコール(回収・無償修理)対策費の損失に加え、ブランド価値の失墜から販売面にも影響が出始め、VWの経営を揺るがす事態に発展した。

第9位 イラン核協議最終合意

ウィーンでのイラン核協議に参加した関係国外相ら。右端がケリー米国務長官、右から5人目がザリフ・イラン外相=7月14日【AFP=時事】

 欧米など主要6カ国とイランが7月、同国の核開発能力の制限と国際原子力機関(IAEA)による査察の受け入れ、欧米側による経済制裁の段階的解除に取り組む「包括的共同行動計画」で最終合意した。合意は10月に発効し、イランは遠心分離器の撤去に着手。IAEAは12月、過去のイラン核疑惑の解明に終止符を打つ決議を採択した。日本もイランとの関係強化へ動き始めている。

 核兵器開発疑惑は2002年に顕在化。イランは03年にウラン濃縮活動停止に同意したが、保守強硬派アハマディネジャド政権下の06年に再開し、欧米は経済制裁で応じた。13年に本格化した核協議も長期化した。最終合意は「核なき世界」を訴えるオバマ大統領にとって大きな実績。今後は対イラン制裁解除など合意内容の着実な履行に焦点が移る。

第10位 米・キューバ国交回復

握手するキューバのラウル・カストロ国家評議会議長(左)とオバマ米大統領=4月11日、パナマ市【AFP=時事】

 米国とキューバは7月、54年ぶりに国交を回復した。両国はキューバ革命後の1961年に断交したが、中南米での影響力再構築を目指す米国と、経済苦境からの脱却を急ぐキューバの思惑が一致。米ソ冷戦の遺物だった対立の歴史は、半世紀超を経て大きく転換した。

 オバマ大統領とカストロ国家評議会議長は4月、両国首脳として、59年ぶりに会談。米国は5月にキューバのテロ支援国家指定を解除したほか、8月にはハバナで米大使館の再開式典を開いた。ただ、米国が62年から科している経済制裁については、キューバの人権改善などの状況に応じて解除を検討する。これに対し、キューバ側は「(完全な)正常化は経済、商業、金融の封鎖が終わってのみ達成される」(カストロ議長)と反発している。

第10位 米、9年半ぶり利上げ

記者会見で利上げを発表する米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長=12月16日、ワシントン【EPA=時事】

 米連邦準備制度理事会(FRB)は12月、リーマン・ショック後の金融危機に対応して導入した事実上のゼロ金利を解除し、2006年6月以来9年半ぶりに利上げすることを決定した。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は、従来の0~0.25%から0.25~0.5%に引き上げられ、異例の緩和策に終止符が打たれた。

 米国で雇用の改善や景気回復が進んだほか、2%の物価目標を達成できる見通しが強まったことが利上げの背景。金融緩和を続ける日欧との違いが鮮明となった。ただ、これまでのゼロ金利政策と量的緩和策で金融市場に供給された大量の資金の流れが今後急激に変化し、各国に打撃を与える恐れもある。FRBは市場の動向や経済情勢を注視しながら、今後の追加利上げを緩やかに進める方針だ。

写真・記事協力:時事通信社

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