千葉にある棚田「大山千枚田」は、気高く沈殿する日本のランドスケープ

INLIFE~あなたと保険を繋げるメディア~ / 2017年11月20日 9時0分

写真

千葉にある棚田「大山千枚田」は、気高く沈殿する日本のランドスケープ

房総半島:望郷:孤高の成形



はるか昔、人々は狩猟採集によって日々の食料を調達していた。
やがて、大陸から渡来人がやってきて稲作を広めたことで、日本でも米が食べられるようになったのだ。

なお、最近のスタディによると稲作の伝来ルートは諸説あるようだが、古くからジャパンでライスがイートされてきたというのは紛れもないファクトで、ライスとジャパニーズは長らくデスティニーを共にしてきたと言える。

一方で近年は、テクノロジーの進歩により、田んぼはラージになり、マシーンによって田植えや稲刈りを行うことが多くなった。
しかし、昔はスモールな田んぼがメニーメニーで、ヒューマンのハンドで苗を植え、ヒューマンのフットで収穫していたのである。

まあ、それがグッドかバッドかはさておき、農業のマシーン化が進む今だからこそ、カルチャーの保全という面で、昔ながらの稲作がインポータントになってきている。

Do you copy?




おっとっと、こちとら、お米と横文字大好き人間なので多少の空回りが出てしまったかもしれないが、気を取り直してご紹介したいのは、そんな昔ながらの稲作を守り続けている千葉県房総半島の「大山千枚田(おおやませんまいだ)」。
そこは東京に最も近い棚田として有名で、斜面にいくつもの田んぼが集積しており、日本の原風景が見られると話題のスポット。
また、日本で唯一、雨水のみで耕作を行なっている天水田らしく、2002年に千葉県指定名勝に選ばれている。


ということで、古き良き日本の風景に触れに往く。


Hiho Hiho to オオヤマセンマイダ



大山千枚田へは、新宿から高速と下道で1時間30分程度。

まず、初台南料金所から首都高速中央環状線に入り、大井JCTを横浜・中環大井南出口方面へ。
横浜の標識に従って首都高速湾岸線に乗り換え、川崎浮島JCTを木更津方面へと進む。

東京湾アクアラインを法定速度遵守でぶっ飛ばし、木更津JCTの分岐点を右方向。
館山自動車道をしばらく直進し、富津館山道路に入り、鋸南保田ICから下道に出たら、右折して長狭街道を鴨川方面に。

あとは、すたこらさっさと県道34号線を走り、平塚入口交差点を右に曲がり、目的地まで右折左折の繰り返し。
高速を降りてからは田園風景が続き、特に目印もない緑に囲まれた道を進んでいくことになるので、なるべくカーナビに案内させるが吉。




そんでもって、いざ大山千枚田に到着したら、近くにキャパ20台分ほどの小さな無料駐車場があるので、そこに停めさせてもらおう。


無料駐車場


車を降りると、すでに棚田が目の前に。

秘境というのは、だいたい最寄りの駐車場から少し距離があって、テクテク歩かなければならないのが普通だが、今回は徒歩0分。





では、大山千枚田をご覧いただこう。


大山千枚田


あらま~。

田んぼが続くよ~。

どこまでも~。

滝とか洞窟とかみたいに~。

分かりやすくフォトジェニックな感じではないけれど~。

のどかだよ~。

わびしいよ~。

もう今年の役目を終えて~。

来年に向けて~。

コンディションを整えている真っ最中といったところだろうか~。




って、おーい、おいおい、おーい。
これだけなのかい?
わざわざ房総半島まで来て1ショットで終わりなのかい?




そう思ったのは、オイラだけではないはず。
だが、安心してほしい。
田んぼの淵に電飾が並んでいるのが見えると思うが、大山千枚田では、毎年10月下旬頃から1月初旬頃にかけて、田んぼが1万本のLEDキャンドルによってライトアップされる“棚田のあかり”というイベントが開催されるのだ。


ぎゃっはっは。


というわけで、ライトアップされる時間まで暇を潰すべく、ひとまず近くの飲食店へ。


チッコカタメターノと遭遇



希望に胸を膨らませ、ノリノリで尋ねたのは『古民家レストラン ごんべい』。

ごく普通の民家を移築したものらしく、見た目は本当にただの家。


古民家レストラン ごんべい

入ってみると、こじんまりした感じで、席数はわずか12席。
左側に券売機が置かれており、定食、丼物、ラーメンなどが食べられる模様。


その中から、即座のフィーリングで「嶺岡ちっこ丼(800円)」と「たんぽぽコーヒー(300円)」を選択。

丼の方の“ちっこ”とは、どうやら鴨川地方の郷土料理を指しているらしく、なんと、牛乳を温めて少量の酢を加え固形状にしたものであり、正式名称は“チッコカタメターノ”。


チッコ。
カタメ。
ターノ。
チ、チッコ、カタメ、ターノ?
カ、カタメ、ターノ?
ターノ?



おっと、いかんいかん。
名前のフックがスゴすぎて、抜け出せなくなるぞい、これは。


とにかく、ネーミングは安直すぎるが、要するにフレッシュチーズのようなものだ。
ちなみに、大山千枚田周辺は酪農発祥の地と言われるぐらいなので、古くから牛乳を使った料理に親しんでいたそうな。





脳内でヤツと戦いながら席で待っていると、たんぽぽコーヒーが先に到着。


たんぽぽコーヒー


これ、コーヒーと名が付いているが、実はコーヒーもどき。
たんぽぽの根を乾燥させ、焙煎してドリップするのだが、まるでコーヒーのような色と味がするらしい。
もちろん、コーヒー豆を使用していないので、ノンカフェインだ。



そして、実際飲んでみると、確かなるコーヒー感。
焙煎されているので、しっかり香りも立っているし、ノンシュガーでも甘みが感じられる。
ただ、あくまでも擬似コーヒーであって、純粋なコーヒーを期待して飲むと物足りない気はするが、身体には良さそうだし、これはこれでアリね。


ちっこ丼


続いて、ついにメインのヤツが来やがった。

チ、チ、チッコ、カ、カタメターノが入った煮物を載せた丼のようだが、正直、味の予想がつかない。

とりあえず、チ、チッコカタメターノだけ食べてみる。




味は、淡白。
食感は、硬く絞った豆腐。
ミルキー感は、ほぼない。
マズくはないが、インパクトが薄い。
だが、丼物はかき込んでいただくのがマナーなので、椀を片手に一心不乱に流し込む。




すると、旨い。
突出した何かがあるわけではないが、素材それぞれの良さが存分に発揮されているような。
田舎のお婆ちゃんが作る家庭料理のように、ほっこりする味わい。
ていうか、コメェがウメェ。
メーコーメーウー。
籾殻かまどで炊いたコシヒカリは、めちゃ絶品。


結局、これが家で食えたなら。
そんな風に思わずにはいられなかった。


インスピレーションの掛け合わせ



そうして、空腹を満たし外へ出たわけだが、時刻はまだ16時前。


大山千枚田のライトアップは日没前後から始まるらしく、腹ごなしがてら周囲を散歩。
が、何があるわけでもなく、すぐに撮影スポットを確保して、しばし休憩。


日が暮れるにつれて、だんだんと人が増えてくる。
新聞記者やテレビ関係者も数人いて、注目度はそこそこ高い様子。




そうこう人間観察をしているうちに、ついにライトアップが始まった。


大山千枚田のライトアップ

これ、LED“キャンドル”なので、ずっと点いているわけでなく、灯ったり消えたりしている。
火が揺れているようで、眺めていると癒し効果は絶大。
光源が少ないから、星も綺麗に見える。



いやぁ、原風景とテクノロジーのコラボレーション。
いやいやぁ、壮麗なるデジタイズド・ネイチャー。




都市部ではなかなか見られない、かくも美しき夜景なり。

ういっす。



あとがき



大山千枚田は、東京から車で1時間30分という距離感にありながら、日本の伝統文化を色濃く残す希少な場所。
アミューズメント的な楽しさはないが、田舎で暮らしたことのない人でもどこか懐かしいと感じる奥ゆかしさが光る。

他方、大山千枚田の周りには観光スポットが少ないため、近場に来たついでに見る、くらいがちょうどいいかもしれない。
声高々に、絶対に行くべき!行けよ!とは言わないが、行って損はなかった!と言える場所なので、興味のある人は房総ツアーでも組んでみてはいかがだろうか。




◇text:日下部貴士/A4studio





「大山千枚田」INFO



■住所
千葉県鴨川市平塚

■電話番号
04-7099-9050
(棚田倶楽部)

■料金
無料

■定休日
無休
※2017年度のライトアップは10月23日〜1月4日まで、点灯時間は16:30頃〜20:00頃

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング