“古き良き”が逆に新鮮!?『百英雄伝』は100人超えのフルボイスで送る王道JRPG―BGMが良すぎて、不満点も流れ去る【プレイレポ】
インサイド / 2024年5月25日 11時30分
505 Gamesは、2024年4月23日に『百英雄伝』を発売しました。本作は、かの名作と名高い『幻想水滸伝』シリーズのスタッフが送るRPG。前日譚にあたる『百英雄伝Rising』は2022年に発売されており、満を持しての新作登場となります。
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今回は「RPG大好き!名作と名高い『幻想水滸伝』もいつかプレイするぞ!」と意気込んでいたらそのままリマスター版が発表され、しかしリマスター版より先に精神的続編『百英雄伝』が発売したため、相変わらず『幻想水滸伝』知識は皆無のままな筆者による新鮮なプレイレポートをお届けしようと思います。
「『幻想水滸伝』は昔のゲームだから、新作『百英雄伝』は大幅に変わっているんだろうな。シリーズ初心者が新しいシステムを覚えるのは大変かも」と思って挑んだけれど、何らそんな必要もなく秒で入り込めた『百英雄伝』がどのようなものであったか、純粋ないちJRPGファンとしての感想をお伝えします!
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◆「古き良き」が相応しすぎる、新しいのに懐かしいRPG
まず物語を開始しての感想は一言、「面白い!面白すぎるぜ、このRPG!」でした。その理由は、実に“RPGらしいRPG”だから。
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フィールドを動く、キャラクターと話す、敵とバトル、この当たり前の行動がとってもRPGしているのです。文字に起こすとあまりにも当然のことを褒めているので意味不明なのですが、こればっかりは「RPGが好きな人はとりあえずちょっと触ってみてくれないか」と言わせてください。新作ゲームなのにそうとは思えない、どこかで経験したことがあるけど新たな体験をしているような感覚に陥ります。
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とはいえ、やはり新作ゲームであることは間違いないので、全く新しいゲームを遊ぶとなると飛び交う専門用語を覚えたり、独自の戦闘システムを把握したりと序盤は覚えることが多くて大変ですよね。
複雑化する昨今のゲームシステムに対しチュートリアルやTIPSが差し込まれるゲームも多く、とにかく慣れるまでは読みながら頭に、はたまた説明はガン無視でプレイしながら体に叩き込むゲーマーの方も多いのではないでしょうか。
しかし、新作『百英雄伝』に関しては強制チュートリアルなどはほぼ無し。一応戦闘では「英雄コンボ」という一定のペアで繰り出す大技のチュートリアルなどはキャラ同士の会話を交えて挟まれるのですが、1から10まで教えてくれることはありません。
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なのに、初めて起動してただマップを移動して、バトルをしているだけで大体のシステムが把握できるのです。それはもう、プレイレポを書くはずだったのに、基本システムを紹介する必要がないのでは……とそこそこに頭を抱えてから本稿の執筆に入ったほど。
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とくに戦闘面はRPGに限らずですが、コツをマスターするか否かでゲーム自体の面白さが左右されることもある重要な要素です。しかし、本作の戦闘は至って普通の“ターン制コマンドバトル”。
それ以上でもそれ以下でもなく、攻撃や防御、ときにはMP/SPを消費して発動する魔法系の技を繰り出して敵を倒すことに専念するのみとなっています。そのためいちから独自システムを覚える必要性がなく、RPG好きなら絶対に何かのタイトルで体験したバトル経験をそのまま活かせるのです。
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また、ストーリーの導入は主人公「ノア」が故郷の村を離れ、警備隊に入団して最初の任務に就くという流れ。さすが100人もの仲間が集まるゲームの主人公と言いますか、持ち前のコミュ力を活かし合流場所で待っていた「ガオウ」「リャン」「ミオ」と早速打ち解け、その後も実に主人公らしい王道な活躍を見せてくれます。
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道中でもノアの行動がきっかけで仲間入りを果たすキャラクターは数多く、見れば見るほど主人公を立派に務めていると思う存在です。ときにはゲームの枠を飛び越え、少年漫画のようなヒーロー像を感じることもありました。
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それぐらい、ストーリー面でもシステム面でもオーソドックスなRPGに仕上がっている『百英雄伝』。美麗な3Dモデリングで圧倒するゲームも多いなか、本作は時の流れに便乗せず、見た目でもどこか懐かしいグラフィックでゲームへの没入感を誘います。
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◆100人以上ものキャラクターはフルボイスだし、しかも全員プレイアブル
これまで本作が見せるレトロとモダンをご紹介してきましたが、忘れてはならないのが、他の作品を追従させない大きく異なる要素の“仲間が100人以上いるRPG”という点です。
キャラクターデザインは100人以上ものキャラが存在しているにも関わらず、決して記号的なものにはならず、全員に見た目と性格のキャラ付けができています。そのうえ全員ボイス付きで、フルボイス。さらに、その数がまるごと仲間に加わり、プレイアブルとなります。スゲェ……。
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それにしても、パーティメンバーとなると全員分のステータスや攻撃を設定する必要があるのに『幻想水滸伝』から受け継いだ要素を再び実現させていることについては、完全に他人事ながら「途方もないことを実現させていて、すごすぎる……」と感嘆するばかりでした。
また、当然ですが仲間の母数に対しパーティ最大数には制限があります。いつどこに誰を連れて行くかはプレイヤーによって千差万別になるのに、ちゃんとイベントになるとその連れて行ったパーティメンバーが誰であれボイス付きで喋り出す。
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もちろんノアほどは喋りませんが、選択肢によって変わるボイスも収録されているし、一体どれだけの差分ボイスを収録しているのか……。正真正銘のフルボイスを貫いた開発陣からひしひしと伝わってくる熱量にただただ驚くことしかできません。
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また、仲間は本編中に増えるのはもちろん、「○○を○個持って行く」ようなサブクエストをきっかけにパーティに加わってくれることも。
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RPGのサブクエストといえばクリア報酬としてアイテムがもらえるなど寄り道をした結果、少し本編の進展が楽になるものがもらえることが多いものですが、『百英雄伝』では報酬アイテム感覚で仲間が増えます。
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寄り道=仲間集めに直結するので、これは絶対にしておくべき! なのでなかなか本編が進まないのはご愛嬌。
◆発売直後よりバグが多くアプデ対応など……問題点もあるが、BGMはとにかく最高
さて、これまで『百英雄伝』の良いポイントをお伝えしてきましたが面白いからこそ惜しい表裏一体な問題点もいくつか抱えています。本作は残念ながら発売直後よりバグが多くアップデートパッチもすでに何度か配信されているので、本稿では筆者が個人的に気になった点をあげさせていただきます。
まず、何をやるにしても拠点またはセーブポイントにアクセスし、そこからバラバラに配置された施設で買い物やパーティ編成を済ませなくてはならないのが不便でした。「それだけ?」というような地味要素といえばそうなのですが、流石にこれだけ仲間が多いRPGとなると頻繁にパーティメンバーの入れ替え、装備の買い揃えなどを行うことになります。
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確かに古きRPGといえば施設へのアクセスが面倒だったり何ならファストトラベルもなかったりしますが、なにかと便利な移動手段が用意されている今の時代にこれは少しキツい……。
せっかくの目玉要素である仲間の多さ故に起こる移動のダルさが顕著に現れてしまい、中盤の少しアクセスが緩和される(かもしれない)新拠点誕生まで耐えられず脱落するプレイヤーもいそうです。
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上述したネガティブ要素があるのも事実ですが、筆者が『百英雄伝』でとくに気に入ったBGMについてお伝えし忘れていたので、最後にご紹介。本作の楽曲制作は桜庭統氏・なるけみちこ氏が手掛けています。
とくに戦闘BGMは『テイルズ オブ』シリーズや『バテンカイトス』などで有名なイントロからテンション爆上げの「桜庭節」で、ゲームを開始してすぐ無条件にはしゃいでしまいました。冒頭で述べた始めてすぐの手触りが良いという点は、BGMも含まれています。
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そんな素晴らしい、いつでも聴いていたいBGMをなぜ不満要素を挙げている項で語っているのか……。それは、フィールド移動中での雑魚戦終了後、マップBGMの再生位置が冒頭に戻ってしまうのが個人的に気になったためです。
それこそスーパーファミコンぐらいの時代であればBGMが切り替わる度に最初に戻ってしまうのは普通のことでしたが、さすがに現代でこの仕様な点はBGM推しからすると気になってしまいました。しかもランダムエンカウントのため、「BGMを長く聴きたいからエンカウントは避けよう」といった回避法もなし。
せっかく一度聞くと耳に残る完成度の高いBGMばかりなのに、普通にプレイしていてはなかなか最後まで聴けないだなんてあまりにももったいない。現状では解決策がないと思われるので、今後のアップデートで改善されると期待を寄せたいところです。
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荒削りな部分も目立ちますがRPG好きにおすすめなのは間違いない古き良きJRPG『百英雄伝』は、ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/ Xbox One/Xbox Series X|S/PC向けと実に多種多様なプラットフォーム向けに発売中。
正直ロード時間がハードによって結構異なるため、遊ぶプラットフォームは慎重に選びたいところですが、プレイしやすい環境で楽しんでもらうのが一番かなと思います。RPGファンの方は、遊んでおいて損はないですよ!
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