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若年層は理解不能?『ファミコン世界大会』の謎めくキャッチフレーズ─「親にACアダプターを隠された」「カセットに名前を書く派」

インサイド / 2024年7月28日 10時0分

ファミコンゲームの場面を切り取り、お題のクリアを目指す『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』(以下、ファミコン世界大会)。ルールは分かりやすく操作もシンプルなので、誰でも遊べる間口の広さを持ちつつ、タイムアタックを突き詰める奥深さも併せ持つ作品です。


そんな本作のゲーム性も話題ですが、興味深いのがプロフィールにつけられるキャッチフレーズです。「ファミコンど真ん中世代」「親がファミコン世代」「ファミコン初体験」といった分かりやすい肩書きから、「親にACアダプターを隠された」「カセットに名前を書く派」など、若手ゲーマーから見るとピンと来ないものまで、豊富に取り揃っています。


こうした謎めいたキャッチフレーズの多くは、ファミコン現役世代にとっての「あるある」。当時のファミコンキッズにとってはいずれも理解でき、中には実際に体験した人も少なくないでしょう。


『ファミコン世界大会』の登場で、懐かしい「あるある」に再び視線が集まりました。そんな、時代を超えて現れたキャッチフレーズがどんな意味なのか、いかなる背景があったのか、詳しく紹介します。


■「親にACアダプターを隠された」


当時、ファミコンは非常に刺激的なゲーム機でした。家庭用ゲーム機自体は、ファミコンより先にいくつも登場しましたが、秀でるほど鮮やかなゲーム画面、当時のアーケードゲームが遊べる衝撃など、特筆すべき点は数多くあります。


そのため、家にファミコンがやってきた家庭では、子供たちが遊び過ぎてしまう事態が発生しました。いくら注意してもファミコンに熱中し続ける我が子に対し、親が選んだ強制措置のひとつが、この「親にACアダプターを隠された」だったのです。


説明するまでもない話ですが、ファミコンは電化製品なので、ACアダプターを介してコンセントに接続しなければ遊べません。そのため、物理的にファミコンを禁止させる手段として、非常に効果的でした。


ファミコンを丸ごと隠す親もいましたが、本体はそれほど小さいわけではありません。しかも子供に見つからない場所となると、なかなか難しいところ。しかし、ACアダプターだけでも効果は同じですし、サイズはぐっと小さくなるので隠す場所にも困りません。


宿題もやらずに遊び続けるファミコンキッズ。業を煮やした親の物理的制裁。そのふたつが相まって、「親にACアダプターを隠された」という悲しい事件が勃発したのです。


ちなみに、親に内緒で予備のACアダプターを購入しておき、家に誰もいないタイミングを見計らって、予備のACアダプターでファミコンを楽しんでいた──という猛者も、当時いた模様です。ファミコンを挟んだ親と子の戦いは、なかなかに侮れません。





■「カセットに名前を書く派」


今は、光学ディスク(PS5など)やカード(ニンテンドースイッチなど)などが、パッケージゲームの主流になっています。ですが、ファミコンの場合は手に乗るサイズ程度のカセット型でゲームが流通していました。


形は違っても、ゲーム機のスロットに挿して遊ぶという点は、現代となんら変わりません。しかし当時は、そのカセットに自分の名前を書く、という人がいました。今現在、光学ディスクやカードに名前を書く例はほとんど見かけないので、若年層から見れば「なぜ?」と疑問に思うことでしょう。


ファミコンに熱中していた子供たちは、新しいゲームに興味が惹かれるものの、お小遣いを貯めるだけではなかなか買えません。そこで彼らが考えたのが、ゲームの貸し借りです。友達同士で違うゲームを貸し合えば、お金をかけることなく次に遊ぶゲームが手元にやってきます。


しかし貸し借りするゲームが増えると、自分のゲームが誰の家にあるのか、逆に自分の家にあるゲームは誰から借りたのか、分からなくなることもありました。中には又貸しする人もおり、状況は複雑さを増すばかりです。


こうした混乱を避けるため、カセットに名前を書き、所有者をはっきりさせる。そんな狙いで、カセットに名前を書く人が少なからず存在しました。


また当時は、自分の名前を明記した方がいい、という向きもありました。子供の所持品に名前を書いておくのはもちろんのこと、「胸に名札をつけて登下校する」といった習慣も根付いていたほどです。


そうした文化の中で育てば、ゲームのカセットに自分の名前を書くのも、さほど不思議な行為ではないと分かります。





■「パスワード間違えてメモした」


昨今「パスワード」といえば、スマホに設定したセキュリティの認証や、会員登録の本人確認、キャッシュカードやクレジットカードの暗唱番号をはじめ、日常の様々な場面で使われています。ですが、当時のファミコンキッズにとって「パスワード」といえば、「ゲームにおけるコンティニュー方法」とほぼ同じ意味でした。


黎明期のファミコンゲームには「セーブ」に該当する機能がなく、ディスクシステムやバッテリーバックアップが後に出るまで、ハイスコアやゲームの進行度は電源を切るたびにリセットされていたのです。


ただし、ゲーム側で「前回のプレイを引き継ぐコンティニュー機能」を備えた作品はあり、短時間ではクリアが難しいRPGなどを中心に、いくつものゲームソフトに導入されました。それが、パスワード入力によるコンティニューです。


ファミコンゲームのパスワードは、いわば暗号のようなもの。例えばRPGで、どこまでゲームが進み、レベルがいくつで、どんな武器や防具を持っているか、そうしたゲームデータの数値を変換し、文字列として表示されたものが「パスワード」になります。


次回プレイする際、前回メモしたパスワードを入力すれば、その文字列をゲーム側が数値に再変換し、レベルや進行状態などを出力。すると画面上には、前回プレイした状況が(ゲームによっては一部制限もありますが)そのまま再現されるので、引き続きゲームを楽しむことができたのです。


ただし、このパスワードには問題がひとつありました。それは、キャッチフレーズにある通り、「パスワード間違えてメモした」という事態が頻発したこと。パスワードは厳密なので、たったひと文字間違っただけでも受け付けてもらえません。


一生懸命パスワードをメモっても、小学生なら書き間違うことも当たり前。また、当時のTVはブラウン管で解像度も低めなので、文字がつぶれて表示されることも多く、例えば「ば」と「ぱ」、「め」と「ぬ」など、判別しにくいケースがありました。


スマホやデジカメのような手軽な撮影手段があれば、画像に残して保険として使えたことでしょう。もちろん当時はスマホなんてありませんし、カメラはフィルムが必須なのでお金がかかり、さらに現像の時間も必要なので現実的とは言えません。


パスワードを間違えてメモしてしまい、前回のプレイが幻となって消える。そんな悲劇が、かつて日本の至るところで起きていました。その悲しい記憶を今も抱えている人たちが、「パスワード間違えてメモした」をプロフィールに掲げているのです。




『ファミコン世界大会』には、このほかにも様々なキャッチフレーズが揃っています。思い出深いものや、自分の当てはまるものは、人によって異なるはず。自分らしさを表現できるキャッチフレーズを見つけ、自分の記録と共に世界へ発信しましょう!


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