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知ってる友達が1人もいなかった!『ファミコン世界大会』で設定できる“マイナー”なファミコンソフトたち、あなたは知ってる?

インサイド / 2024年8月17日 17時0分

ファミコンソフトの1場面を取り出し、お題に沿ったクリアタイムに挑む『ファミコン世界大会』は、誰でもチャレンジしやすい明確なルールと奥深い競技性が相まって、往年のゲーマーから完全新規の若年層まで、幅広いユーザーを魅了しました。


本作では、様々なキャッチフレーズや当時好きだったファミコンソフトを、プロフィールに設定することができます。この設定を行った人は、膨大なファミコンソフトのリストに驚いたことでしょう。


現役のユーザーでも知らないソフトが山のようにあったファミコンソフト。しかし、誰かにとって知らないゲームは、別の誰かの大事な思い出でもありました。


筆者も、みんなが知っているメジャー級のタイトルを楽しんだ一方で、周囲の友達に聞いても誰ひとり知らなかったゲームを何本も遊んだ経験を持っています。そんなマイナー過ぎたゲームの記憶が、『ファミコン世界大会』を通じて不意に蘇りました。


インターネットがなく、友達との会話だけがゲームコミュニケーションの大半を占めていた頃は、マイナーすぎるタイトルを語り合える機会に恵まれませんでした。その無念を思い出しながら、当時誰とも語れなかった“マイナー過ぎるファミコンゲーム”を振り返りたいと思います。


■多彩な武器を使いこなせ!『グランド マスター』


ファミコン時代はSTGやADVなども人気でしたが、『ドラクエ』をはじめとするRPGも大きな盛り上がりを見せました。また、RPG要素とアクションを組み合わせた作品も数多く登場し、ファミコン人気を押し上げます。


そんなアクションRPGのひとつとして1991年に発売されたのが、今回最初に取り上げる『グランド マスター』です。ファミコンのアクションRPGは、サイドビューか見下ろし型の画面構成がほとんどで、本作も後者のタイプとなります。


ゲームの目的は、魔王「ダンテ」にさらわれた姫「セレーヌ」を救うべく、主人公の「ロディ」が立ち上がるというもの。しかもこの展開は、一枚絵と演出の組み合わせでビジュアライズして描かれました。今風に例えるならムービーシーンと言えますが、当時のファミコンで実現したのは評価すべき点のひとつでしょう。


また、ゲーム性の核となるアクション性にも光るものがありました。初期状態のロディは剣を持っていますが、各ステージにある武器を見つけることで、斧や杖、モーニングスターなどで戦えるようになります。武器はそれぞれ特徴が異なり、好みや戦況に合わせて武器を使い分けて戦うのが醍醐味のひとつです。


しかも各武器の切り替えは、メニュー画面で装備するのではなく、戦闘中にボタンを押すだけで行えます。近年のアクションRPGならボタンのみでの切り替える機能は至極当たり前ですが、ファミコンのコントローラーは「十字ボタン」「スタートボタン」「セレクトボタン」「Aボタン」「Bボタン」(Iコンの場合)しかなく、機能を割り振れるボタンの数は限られていました。


その貴重なボタン配置に「武器の切り替え」を設定した判断は的を射ており、テンポを損なうことなく武器を切り替えられる手軽さは、『グランド マスター』のアクション性をより優れた体験へと引き上げました。


もちろん“ボタンで武器を切り返す操作”そのものは、『グランド マスター』以前の作品にもありますが、先人の優れた作品を研究してどん欲に取り入れる姿勢も評価すべき点でしょう。


■時代の波にのまれた、1991年のファミコンソフト


優れたビジュアルと、複数の武器を使いこなすアクション性を持つ『グランド マスター』は、当時の筆者を強く魅了しました。しかし、その魅力を誰かと共有したくとも、その名を知っている友人はひとりもおらず、その思いは秘めたまま閉じる形になりました。


しかし、それも無理のない話です。というのも、『グランド マスター』が発売された1991年は、ファミコンの末期に当たります。周囲を見渡せば、PCエンジンどころか周辺機器のCD-ROM2も出ており、メガドライブもメガCDの登場が同年末に控えていた頃です。


スーパーファミコンの販売も始まっていますし、性能面で抜きん出ていた(その分、ソフトの価格も高かった)NEOGEOも発売済み。家庭用ゲーム業界の市場と性能が大きく進んでいる中、ファミコンの新作に目を向ける人が少ないのは至極当然と言えます。


『グランド マスター』に限った話ではありませんが、ゲーム機の円熟期に出たゲームは、その性能を使いこなした作品も多く、その反面知名度が伸びないケースが珍しくありません。





■キャラデザの魅力に惹かれた『ファリア 封印の剣』


ファミコンブームの頃、書店には様々なゲーム雑誌が並んでいました。「ウソ技」で当時のファミコンキッズを翻弄した「ファミリーコンピュータMagazine」、今も活躍を続ける「ファミコン通信」(現在は「ファミ通」)など、覚えている人も多いことでしょう。


そうしたゲーム雑誌のひとつ「ハイスコア」が、当時ゲームの企画・開発に携わったことがありました。その第1弾として注目を集めた『ゾンビハンター』……は、マイナーと言えばマイナーですが、その成り立ちで話題になった面もあります。また、ファミコン40周年記念の国民投票 第2回の「ハイスコアといえば?」で堂々の第2位に輝いており、今回取り上げるほどのマイナー度合いとまでは言えません。


ですが、「ハイスコア」による第2弾のゲーム作品『ファリア 封印の剣』は、かなりマイナーな部類に入る作品でしょう。当時『ゾンビハンター』を知っていても、『ファリア 封印の剣』まで把握している友達は周囲にいませんでした。


『ファリア 封印の剣』もアクションRPGですが、ステージ選択式だった『グランド マスター』とは違い、広域フィールドを移動しつつ、敵とエンカウントするとアクションバトルに切り替わるタイプでした。ただし、画面構成は同じく見下ろし型です。


本作の特徴的なポイントのひとつは、多数の漫画作品やキャラクターデザインを手がけたあさりよしとお氏が、本作のキャラデザを担当している点です。あさり氏の魅力的なデザインが主人公や敵キャラに落とし込まれており、本作独自の味わいとなっています。


特に、街の住人はキャラクタービジュアルが大きく表示されるため、その魅力が一際はっきりと伝わります。また敵キャラの中には、あさり氏が後年デザインした「第三使徒 サキエル」(新世紀エヴァンゲリオン)を連想させるケースもあり、あさり氏のデザイン性が当時から際立っていたことが窺えます。


ただし、敵の動きが全体的に素早いなど、ゲームバランスにいくつかの問題があり、難易度は総じて高め。そのため周囲にも勧めにくく、知名度が上がらなかった一因に繋がったのかもしれません。


当時は、雑誌と口コミが主な情報伝達の場でした。そして発売後は、よほど人気のあるゲーム以外は雑誌で取り扱われる機会はまずありません。そのため、口コミによる広がりが期待できない場合、マイナー路線を辿るのは必然とも言えます。


あさり氏を起用した判断は素晴らしかったものの、『ファリア 封印の剣』はその名を轟かすには至りませんでした。





■5人編成のアクションRPG、卓越したムービー……独自性に感嘆した『ラディア戦記 -黎明篇-』


今回最後に紹介するのは、当時もっとも語りたかった(そして語る相手がいなかった)『ラディア戦記 -黎明篇-』です。『グランド マスター』や『ファリア 封印の剣』と同様、こちらもアクションRPGですが、こちらは仲間と一緒に戦うパーティバトルを実現した作品です。


「アクションRPGでパーティバトル」はゲーム史を通してみるとそれほど珍しくはなく、戦闘しながら操作キャラを切り替えるような作品も多数あります。しかし、それはあくまで後年の話です。


『ラディア戦記 -黎明篇-』と発売時期の近かった『聖剣伝説』シリーズを例に上げますが、ゲームボーイ向けだった初代はともかく、スーパーファミコン向けに登場した『2』や『3』でも3人パーティに留まっています。


しかし『ラディア戦記 -黎明篇-』は、主人公を含む最大5人のパーティ構成で戦います。ターン制コマンドRPGなら『ウィザードリィ』のように6人編成の作品もありますが、ファミコンのアクションRPGで主人公+4人の仲間が同時に戦うゲームは、かなり挑戦的と言えます。


仲間だけでなく当然敵キャラも動くため、バトル中にキャラが横に並びすぎると画面にチラつきが発生します。それどころか通常の移動時も、仲間たちが重なるだけでチラつく状態でした。その意味ではファミコンの性能に見合わない設計とも言えますが、やれることやりたいことを詰め込むその挑戦心は、見事と賞賛するしかありません。


仲間を押しのけて移動できないため、狭い場所では渋滞が発生することもありますが、仲間同士で敵を挟み撃ちにするなど、集団戦ならではのコンビネーションが味わえるのも嬉しいところ。その醍醐味を、味方5人という規模でリアルタイムに楽しめるのは、『ラディア戦記 -黎明篇-』ならではの魅力です。


また、ビジュアル表現も素晴らしく、本作も多彩なムービーで物語を演出します。しかも、飛空艇同士のドッグファイトや長大な飛行船が悠然と飛ぶ様子など、スピーディな場面からダイナミックなものまで、ムービー表現も多彩に富んでいました。


ファミコンながら卓越したムービーを実現できたのは、『ラディア戦記 -黎明篇-』を手がけたのがテクモ(現 コーエーテクモゲームス)だったおかげでしょう。


テクモは、『キャプテン翼』や『忍者龍剣伝』などのファミコンソフトで、優れたビジュアル表現に磨きをかけ、育んできました。『忍者龍剣伝』などのムービーは話題になることも多く、その素晴らしさを直接目にした人もいるはず。そうした系譜から『ラディア戦記 -黎明篇-』のムービーが生まれたと考えれば、完成度の高さも納得でしょう。


ファミコンの限界を超えるようなゲーム性と、没入感を高めるビジュアル。この2本柱に力強く支えられた『ラディア戦記 -黎明篇-』でしたが、本作が発売されたのは『グランド マスター』と同じく1991年。スーパーファミコンの人気作『ファイナルファンタジーIV』よりも後に発売されており、当時のゲームファンがどちらに注目したかは説明するまでもないでしょう。


ファミコン末期だからこそ、『ラディア戦記 -黎明篇-』はここまで濃密なゲームになりました。同時に、末期だからこそ注目を集められなかったとも言えます。『黎明篇』以降の作品も見たかった、という気持ちは今も心の一部を占めています。




筆者にとってこの3本は、かつて友達の誰とも語り合えないゲームたちでした。読者の中には、運よく語り合える相手がいた方や、今回挙げたものとは違う作品をひとりだけで楽しんだ人もいることでしょう。


誰かと語り合いたかったゲームはありますか? それは、どんな魅力を持った作品ですか? 今は誰でも、インターネットを介して世界に発信できる時代です。SNSなどを通じて、当時の気持ちを誰かに届けてみてはいかがですか。


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