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『ロマサガ2 リベンジオブザセブン』はオリジナル版から何を「受け継ぎ」、どこを「進化」させたのか【プレビュー】

インサイド / 2024年9月5日 20時0分

1993年12月に発売された『ロマンシング サ・ガ2』(以下、ロマサガ2)は、『ロマサガ』シリーズの中でも独自性が高く、個性派の作品として好評を博しました。


その人気の高さを受け、携帯電話向けのアプリ版や、スマホ・PCを含めた現行機向けのリマスター版などがリリースされ、平成初期の名作は時代を超えて今も愛されています。


そして2024年10月24日、この名作を新たに蘇らせる『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』(以下、ロマサガ2R)が、ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/Steam向けに登場します。


本作は、『ロマサガ2』の初フルリメイク作品であり、オリジナル版の特徴を受け継ぐと共に、これまでになかった進化も遂げています。今回、ゲーム内容の一部(「ゴブリン襲来」と「沈没船」)に触れる機会に恵まれたため、本作のプレイ体験を通して、その特徴に迫るプレビューをお届けします。


◆プレイヤーが選んだ「帝国の歴史」を刻む『ロマサガ2R』


『ロマサガ2』が特に個性的だったのは、ひとりの主人公だけを描くのではなく、“長きにわたる帝国の歴史を紡ぐ”という視点で構成されていたことでしょう。『ロマサガ2』で描かれる物語は何世代にもわたる壮大なスケールで展開するため、代々の皇帝が主人公の座を受け継ぎ、そして次世代へとバトンを繋げていきます。


また、帝国が紡ぐ歴史は不変ではありません。例えば、他国の王位継承問題に対し、帝国がどのような判断を下すかで、内乱によってその国が滅んだり、帝国の支配下に置かれたりと、結果が大きく変わります。


皇帝の座を受け継ぐ「皇帝継承」と、プレイヤーの意志で過程や結果が変わる「フリーシナリオ」で、帝国の歴史が流動的に変化しながら、複数の世代にわたって形作られていく──それが『ロマサガ2』が持つ大きな魅力のひとつです。


しかも、「皇帝継承」は全てのプレイアブルキャラクターが対象となるため、状況をうまく当てはめれば、自分好みのキャラを皇帝に据えることが可能です。世代交代は必須なので、ずっと同じキャラで遊び続けることができませんが、選び続ける楽しさが長く味わえるのも特徴的な要素と言えます。


「皇帝継承」や「フリーシナリオ」は、残念ながら今回のプレビューには含まれていませんが、『ロマサガ2R』にもしっかりと搭載されているのでご安心ください。また、『ロマサガ2』から引き継いだほかの魅力は、今回しっかりと味わうことができました。


◆「閃き」はやっぱり楽しい!『ロマサガ2』の特徴は本作でも健在


特にじっくり味わえたのは、広がりと奥深さのある戦闘システムです。使用できる武器は「剣」「大剣」「小剣」「槍」「斧」「棍棒」「弓」「体術」の8系統。さらに、「火術」「水術」「風術」「地術」「天術」「冥術」と、6系統の術も用意されています。こうした選択肢の多さも、『ロマサガ2R』にも確かに受け継がれていました。


また、今や『サガ』シリーズの代名詞ともいえる「閃き」も健在です。「閃き」とは、武器や術を使うことで、戦闘中に新たな「技」を習得するシステムのこと。一般的なRPGはレベルアップする際に新たな技を覚えますが、『ロマサガ2』は戦闘中に「閃き」を通じて身に着けるため、「確実にこのタイミングで覚える」といった決め打ちがありません。


一見不便に思えるかもしれませんが、「特定の技がないと倒せない」といった制約はなく、他の技で代用できる場合も多いので、不安や不満には繋がりません。また、「閃き」のおかげで戦闘を通じた成長要素にも自由度が生まれ、その結果が受け継がれていくのも醍醐味のひとつと言えるほどです


ちなみに「閃き」では、「技」だけでなく、特定の攻撃を回避する「見切り」も習得できます。閃くことでこうした恩恵を受けられるため、「閃き」が発動するたびにテンションも上昇。小さな喜びが戦闘中に発生するたびに、プレイ意欲を後押ししてくれます。


また、戦闘における特徴的な点といえば、「LP(ライフポイント)」の存在も外せません。戦闘中にHPが0になっても復活できますが、倒れるたびにLPがひとつ減ります。そしてLPが0になると、そのキャラクターは復活できなくなって死亡します。


仲間が死亡するのも一大事ですが、皇帝が死亡すると「皇帝継承」になるため、その時の攻略にも大きな影響を及ぼします。LPは基本的に回復できず、減ってもそのまま。この緊張感が、戦闘に絶妙なメリハリをもたらしてくれます。


このほかにも、シンボルエンカウント制や「陣形」による効果など、『ロマサガ2』が持つゲーム的な要素は、一部形を変えているものもありますが、ほぼ全て『ロマサガ2R』に継承されています。





◆『ロマサガ2』を3Dで表現する『ロマサガ2R』


核となるゲーム性を受け継いだ『ロマサガ2R』ですが、大きく変わった部分も多々あります。一目で分かる要素としては、やはりグラフィックでしょう。これまでの『ロマサガ2』はリマスター版も含め、世界全体をドット絵で描いていましたが、『ロマサガ2R』はその全てをフル3Dに刷新しました。


物語の軸となる皇帝やプレイアブルキャラクター、そして立ちはだかる「七英雄」なども、原作のイメージを元とした3Dモデルで描かれています。


『ロマサガ2』はドット絵で表現され続けてきたので、往年のファンはこの見た目の変化に意見が分かれるかもしれません。また、世界的なヒット作の実写かと見まごうようなグラフィックと比べると、3Dモデルの作り込みに物足りなさを感じる人もいることでしょう。


確かに、グラフィックの精度は高いことに越したことはありません。しかしドット絵で培われた世界観に、写実的な3Dモデルが合うかどうかは、ここも賛否が分かれるところ。また、ドット絵で『ロマサガ2』を楽しみたいなら、現行機で遊べるリマスター版という選択肢が既にあります。


『ロマサガ2R』は、“ドット絵以外で『ロマサガ2』を遊びたい人”に向けた新たな提案だと考えれば、ひとつの可能性として大いにアリだと個人的に感じました。また、ドット絵の『ロマサガ2』をプレイしていた時に頭の中で想像した様々なシーンを、『ロマサガ2R』で立体的なキャラクターがどう演じるのか、そうした興味と発見があったのも事実です。


加えて『ロマサガ2R』では、イベントシーンがフルボイスになりました。堀内賢雄さん(レオン役)をはじめ、実力派声優陣による演技力が物語に厚みを与えてくれるのも、『ロマサガ2R』ならではの魅力と言えます。


◆『ロマサガ2R』はバトル面にも大きな変化と進化が


また、『ロマサガ2R』の変化は見た目と声だけではありません。技や術を駆使し、「閃き」が鍵となるシステムを受け継ぎつつ、バトルに新たな要素を加えました。


まず本作のバトルは、「タイムラインバトル」で進行します。味方や敵がタイムライン上にマーカーとして表示され、順番が巡ってくると行動できるシステムです。誰がいつ行動できるのかが可視化され、倒すべき順番やHPを回復したいタイミングなどが計りやすく、より戦略的に戦えるようになりました。


『ロマサガ2R』のHPは、戦闘が終わるたびに全快するシステムです。そのため、守りよりも攻めを重視した方が被害が少なく、そして素早く戦闘を終わらせられます。しかし攻撃一辺倒だと貴重なLPを失う危険が伴うため、攻防の見極めは非常に重要。その判断を下す際に、タイムラインが大きな助けとなりました。


また、敵ごとに設定された弱点を突くと与ダメージがあがりますが、さらに「オーバードライブゲージ」が溜まる恩恵もあり、このゲージを最大まで溜めることで「連携技」の発動が可能になります。この「連携技」も『ロマサガ2R』で加わった新たな要素です。


『サガ フロンティア』以降の多くの作品で「連携」という要素が採用されていますが、そのシステムは作品によって異なる場合もあります。『ロマサガ2R』の「連携技」は比較的シンプルで、ゲージを消費してより強力な技や術を放つもの、と考えてよさそうです。


ただし、「連携技」を発動させるキャラクターによってその効果は異なるので、状況に応じての使い分けは判断も重要です。また、弱点をつくことでゲージが溜まるため、「より多く弱点をつけるよう、使える武器の種類を増やそう」といった考えが自然と沸き、ゲームシステムの理解を深める一助になったのも実感しました。


このほかにも、難易度設定の追加、成長システムの見直し、「閃き」の可能性や弱点の可視化、都市開発のリニューアルなど、細かくも嬉しい点からゲーム全体に影響を及ぼすものまで、様々な要素が追加されています。





◆全体的なプレイ感は良好、見事なゲームバランスにも感服


あくまで開発中のプレビュー版なので、ゲームバランスなどは今後調整されると思いますが、難易度「ノーマル」で遊んだところ、戦闘の手応えはなかなかのものでした。


ほぼ序盤の「ゴブリン襲来」は、取得している技や術は少なく、発動に必要な「BP」の最大値も低いため、強力な攻撃は連発できません。だからこそ、弱点をつくのが重要になり、立ち回りの基本を学べました。


一方「沈没船」ではパーティの育成も進み、また敵も手ごわくなっています。BPの消費を抑えようと通常攻撃を主体にすると、敵の手痛い攻撃に押し切られそうになることも。その反省を活かし、BP消費の技や術をメインで戦うと、互角以上の形勢で戦えるようになりました。


そのペースで先に進むと、ボスが待ち受ける手前のセーブポイント(および回復箇所)に辿り着いたところで、味方キャラのBPは残り2割程度でした。全力を出せるのはあと1~2戦ほどだったので、セーブおよび回復の配置が実に絶妙でした。


もちろん、これはあくまで筆者のケースなので、うまく立ち回れば余裕はもっと大きかったはず。とはいえ、最適解ではない一般的なプレイで、BPを使い果たす直前でボスにたどり着くタイミングは、見事という他ありません。この素晴らしいバランス調整を、製品版でも味わえるよう願うばかりです。




プレイ範囲が限られたプレビュー版だったため、『ロマサガ2R』が持つ魅力の全てには触れられていません。しかし、味わった特徴的な要素の数々は心地よい手応えで、製品版への期待を高めてくれました。


グラフィックに関しては意見が分かれる向きもあるでしょうが、『ロマサガ2R』は一個人のキャラクターを深く描くのではなく、帝国の歴史を紡ぐ作品です。開発のリソースには限りがあるため、グラフィックに注力して他が疎かになるよりも、ゲーム性を重視するのはひとつの判断と言えるでしょう。


個人的な話になりますが、『ロマサガ2R』に望むのは、『ロマサガ2』の面白さを継承してもらうこと。それが最も重要で、その見込みは十分感じられるプレイ体験となりました。より完成度を上げるであろうこれからの開発にも、期待が高まります。


(C) SQUARE ENIX


※画像は開発中のものです。


※バトルのゲームバランス等、一部の仕様については製品版と異なります。


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