「ゲーム開発で大事なことって何ですか?」業界を志す学生が、クリエイターの先輩たちにその極意を聞く【TGS2024】
インサイド / 2024年10月23日 11時10分
今年も大盛況だった、日本最大級となるゲームの祭典「東京ゲームショウ2024」(以下TGS 2024)。ゲーム開発におけるプランナー志望の学生インターンである筆者は今回、同イベントに出展したインディーゲームの開発者・クリエイターの皆さんに、プランナーとしてゲームを作るにあたって大事にしていることをお聞きしました。
突然の訪問だったにも関わらず、どのブースからも熱量の高い回答を頂きました。ぜひご覧ください。
◆「メタスラ」ブース
最初に話を伺ったのは、2021年にスマホ向けタイトル『剣と勇者とレベル上げ』をリリースした株式会社メタスラです。今回の「TGS 2024」では、『Sea Fantasy / シーファンタジー』を出展していました。
インタビューには、代表取締役の中島克征氏と取締役兼プログラマーの方にご回答頂きました。
■プチインタビュー
ーゲーム作成をする際に大事なことや考えていることをお聞かせください。
中島氏 :インディーゲームでは、開発途中で面白くないなと感じても取り敢えず完成させてどんどん出していき、そしてまた作っていくというサイクルが大事です。そこで何も出せないと今までかけた時間が無駄になってしまうので。売れなくてもめげないこと!
―私は企画が苦手なのですが、インプットを増やすのはやっぱりゲームのプレイなどが必要ですよね?
中島氏 :インプットは大事。発想を得られるので、色んなゲームをプレイすることやTGSのような展示会に行くなど行動をするべきですね。
―どういうところから発想を得ているのでしょうか?
中島氏 :ほかのゲームの面白いなと思ったところに、自分なりに手を加えてアイデアを追加して作っています。
■出展情報
今回出展されていた『Sea Fantasy / シーファンタジー』は、海洋生物「シーアズ」を釣り上げるため冒険に出る、平和な釣りRPGゲーム……かと思いきや、3番目の島で親友がカエルに喰われ連れ去られてしまうというシーンがありとても驚かされました。
その後出会った金色に輝く竜に、友人を探したいなら「仙薬」が必要だと伝えられ、その素材を集めるために世界各地へ旅立ちます。
公式のトレーラーでは、ボス戦や横スクロールアクションのようなものも確認できます。操作も簡単で、特に本作の釣りはテンポがよく、ストレスなく遊べました。
また、魚を釣れば釣るほど経験値が溜まりレベルアップ!レベルアップするとスキルポイントが貰え、「パワー」「ガッツ」「テクニック」「視力」「幸運」の五種に振り分けられます。項目によって、釣り時の相手へのダメージ増加や釣りあげた際の素材でレア素材が入手しやすくなるなど自分に合ったプレイが楽しめます。
『Sea Fantasy / シーファンタジー』はSteamにて体験版を配信しています。
◆「Black Beard Design Studio」ブース
ゲームグラフィックス製作に特化した、唯一無二のCGプロダクションである「Black Beard Design Studio」。今回の「TGS 2024」では、『朱鴉(アケガラス) ~Journey to the Underworld~』(以下、朱鴉)を出展していました。
インタビューでは、代表取締役社長の岸考侍氏とメインプランナーのH氏にお話を伺いました。
■プチインタビュー
―ゲーム作成をする際に大事なことや考えていることをお聞かせください。
H氏 :一言で表すと、「パッション」が大事!
インディーゲームは流行り廃りが激しいので、「我々くらいの規模感で好きじゃないものを作って変なものや半端なものを作るくらいなら、自分たちの情熱を込められる全力でやり切れるものを作ろう!」と決めました。社内でも話し合い、自分たちの作りたいものを言語化し製作しました。
うちは作りたいものを作っているので、これであまり評価されなくても、「マニアックなもの作ってゴメンね!」となっていましたが、幸い皆さん楽しんで頂けていてよかったです。
―ゲーム業界を目指す就活生に対しての一言、お願いします。
岸氏:好きなことを好きなだけやりきることが大事。そこで挫折したときに諦めてしまうのか、それでも諦めずに高みを目指していけるかどうかで分岐していくと思うので、「好きだから嫌なことも乗り切れるじゃん!」と頑張ってとにかく好きを極めることですね。
■出展情報
「Black Beard Design Studio」ブースでは、新作タイトル『朱鴉(アケガラス) ~Journey to the Underworld~(以下、朱鴉)』のプロト版が出展されていました。
本作は、最愛の妻を連れ去られた烏天狗を操作し、剣術「風雷石火」を用いて夜明けの儀が行われる前に妻を救いに向かう、ハイスピード×爽快ランアクションゲームです。1分という短い制限時間の中、救出の邪魔をする妖怪や当たるとスピードが落ちてしまう段差や亀裂に気を付けてプレイしなければなりません。
万が一、亀裂に落ちてしまったり倒れてしまったりしても、前回失敗した箇所からすぐにやり直すことが可能。リトライ性が高く、テンポよく進められます。
『朱鴉』は2025年末リリース予定です。ゲームの最新情報は、公式サイトや公式X にてご確認ください。
◆「5次元」ブース
世界中に推しを届けるゲーム会社、株式会社5次元。今回の「TGS 2024」では『Wizlite: Everybody loved RPGs(以下、Wizlite)』を出展していました。
インタビューでは、代表取締役の岩濱 正人氏にお話をお聞きしました。
■プチインタビュー
―ゲーム作成をする際に大事なことや考えていることをお聞かせください。
岩濱氏:ゲームに大事なことは、どの瞬間を切り取っても楽しいことです。三時間、四時間苦労をしてレベルアップをするとか、迷路を抜けて最終的にイベントシーンで感動しましたというのはゲームである必要性が無いと思っており、ストーリーで楽しませたいのなら映画や小説の方が優れたメディアであると思っています。
五分なら五分、一分なら一分と、どの瞬間を切り取っても楽しいのがゲームであって、いかに楽しませるかをこだわって作っています。
ゲームのメカニクスやナラティブやビジュアルなどのすべてがエンタメなので、いかに楽しませるか、お客さんがどう反応するかということを思って作るのが楽しいです。
自分が楽しいし、それを皆にも知ってほしい、これがあったら皆楽しいんじゃないかという考えが基本にはあるかなと思います。
■出展情報
株式会社5次元は、『Wizlite』を出展していました。本作は「1周わずか15分で遊べるクラシカルRPG」で、サクサクと進められるコマンドバトル戦闘のローグライトゲームです。
名作『ウィザードリィ』の雰囲気を楽しみつつも、ローグライトらしくテンポよくプレイでき、周回の度に貰えるポイントを用いてパワーアップできるため、『ウィザードリィ』初心者でも楽しめるような内容でした。
今後は早期アクセスやさらなるゲームバランスのブラッシュアップが行われるそうです。少しでも気になった方はウィッシュリスト登録をしてみましょう。
詳細は公式XやSteamの『Wizlite』ページからご確認下さい。
◆「グラビティゲームアライズ」ブース
2019年7月にグラビティのグローバル戦略カンパニーとして設立された、ゲームサービスのプロ集団であるグラビティゲームアライズ。今回「TGS 2024」では、『神箱 - Mythology of Cube -(以下、神箱)』や『東京サイコデミック』、『Aeruta(アルタ)』など全9タイトルを出展していました。
インタビューでは、最新作である『神箱』にてプランナー業務を行っていた方からお話をお聞きしました。
■プチインタビュー
―神箱でプランナー(レベルデザイン)をやっていて苦労した点をお聞かせください。
気持ちいいダメージや数字を1番意識していたのですが、ここは人によって体感が違います。なので、今まで自分がプレイしていたRPGなどを参考にしつつ、こっちの攻撃ではこのくらい与えるのだから相手がどれだけの攻撃力で、プレイヤーがどの位ダメージを受けるかなど、いい感じの気持ち良さ(難易度)を作ることが大変でした。
―プランナーを志している学生に向けて、やっておくべきことや学ぶべきことなどアドバイスを頂けますか?
例えば、『ドラクエ』と『ファイナルファンタジー』ではダメージなどの数値が違います。ゲームを遊ぶ際に、そういった数字の違いを意識をすることで、今回のようなレベルデザインを作る際に参考になります。一つのゲームを長時間プレイするよりも、様々なゲームを少しでも触ることでシステムやシナリオの引き出しが増えて仕事に役立つので、お勧めしたいです。
加えて、いろんな人とお互いに「何が面白かった」「こういうゲームがあるよ」と話すなど、アウトプットも勉強になるので触れてみるといいと思います。
―シナリオを考えるのが苦手なのですが、何か参考にしているものはありますか?
色んなものを観るのもそうなんですが各ゲーム会社や作家さんの傾向があるので、箇条書きで「この作品はこういう流れでこうなって~」などのリストを作ってみるといいかもしれません。
―ゲーム業界を目指す人へアドバイスや一言をお願いします。
ゲーム業界は大変なイメージがあるんですけど、その分やりがいもあるし好きなものを仕事にするのは楽しいことなので、ぜひ皆さん頑張ってほしいです。
■出展情報
今回、「グラビティゲームアライズ」ブースでは、『神箱』を試遊しました。
パズルにバトル、クラフトと魅力が盛り沢山であり、特にクラフトでは土地開発が行えます。驚いたのは、そのなかに灌漑要素があること。土地開発のためにゲーム内で治水事業ができるのです。スタッフさんに聞いたところ、かなり調べた上で風の通りなども考えて製作されたとのこと。やりこみ要素も満載らしく、ぜひもっとプレイしたいと思えました。
『神箱』は、PS5 / PS4 / ニンテンドースイッチにて販売中。Steam版は近日配信予定です。各ストアにて体験版も配信されているので、『神箱』の世界を体験してみましょう。
インタビューに答えてくださった皆様、お忙しい中でも熱意をもって答えて下さり、ありがとうございました。
筆者自身プランナーとして学んではいたのですが、やはり実務と学びではまた変わってくるところなどがあると思います。個人的には、シナリオ作成が苦手だったためグラビティゲームアライズさんのアドバイスは目から鱗でした。業界の先輩方のお話を参考にして、就活や今後製作する際に生かしていきます。
©2024 Black Beard Design Studio Inc.
©2022 METASLA Co., Ltd.
©5dims Inc./Wizardry(TM)is a trademark of Drecom Co.,Ltd.
© Gravity Co., Ltd. & © GRAVITY GAME ARISE Co., Ltd. All rights reserved
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