『シレン6』アスカの“ドスコイ状態”は、開発内でも議論に!? 高難度「超・神髄」には157種のモンスターが出現、「最後まで殺しにかかってます」【インタビュー】
インサイド / 2024年10月31日 19時0分
シリーズ14年ぶりの完全新作として、多くのファンを歓喜させた『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録(以下、シレン6)』。2024年10月31日には、無料の機能追加アップデート第4弾と、有料追加コンテンツ「plus パック」後編が同時配信されます。
追加プレイアブルキャラクター「アスカ」や、「とぐろ島の神髄」よりも難しい高難度ダンジョン「超・神髄」の実装など、注目要素満載の内容について開発陣に伺いました。
◆無料で新ダンジョン3種を追加!
―まず今回のアップデートでは、新ダンジョン3種が無料で追加されます。どんなダンジョンなのか教えてください。
櫻井氏:1つ目が「やりすごしの修験道」という、入手できる道具の大半が「やりすごしの壺」になるダンジョンです。
2つ目は、「凝縮の断崖」。これは「とぐろ島の神髄」のような、いわゆる“もっと不思議”のフロア数をギュッと25フロアに凝縮した、短期決戦型のダンジョンです。これは難度高めですね。
3つ目は、モンスターの自然発生が早い「ワクワクもののけ道」で、過去作の「わくわくパラダイス」を『シレン6』の形で用意したものです。こちらも難度高めではありますが、楽しんでもらえるんじゃないかなって思います。
―有料コンテンツとは別枠で、無料で新ダンジョンを3種も追加するって太っ腹ですよね……!
篠崎氏:有料コンテンツを買わないと何も更新されないというのは、私たちはちょっと違うかなって考えてまして。無料で遊べる範囲でもコンテンツは追加されますので、ずっと『シレン6』を遊び続けてほしいですし、それが面白かったら、有料コンテンツもぜひお買い上げ頂ければと思います。
◆「アスカ」が“ドスコイ状態”になることには、開発チーム内でも議論に
―その有料コンテンツにあたる「plusパック」後編も、内容が盛り沢山ですよね。まず操作キャラとして、ファンからの人気が高い「アスカ」が登場します。「シレン」とはどんな違いがあるのでしょうか?
櫻井氏:これまでのプレイアブル追加キャラは武器や盾が装備できない特殊な仕様でしたが、基本的にアスカはシレンと同等で遊べます。武器や盾も装備できますよ。
もちろん、アスカならではの長所と短所はありまして、イメージを一言で表現すると「シレンよりも攻撃力は高いけど、その分だけ耐久力は低い」という感じでしょうか。
アスカはシレンより武器による攻撃力が上がっており、モンスターをサクサク倒せます。また武器の印や腕輪の効果がなくても、時折「会心の一撃」が発生するのも彼女の強みです。
一方、盾の効果が下がっているため耐久力が低くなっています。
篠崎氏:アスカは攻撃力が高いため、シリーズの上級者であれば楽になるかもしれません。でも油断していると、一瞬で倒されてしまいます。ドラマチックな部分は、より強調されていますよ。
―なるほど。ところでシレンと同等で遊べるということは、アスカも“ドスコイ状態”になるということですか……!?
篠崎氏:アスカがドスコイになっていいのか、これは最後まで開発チーム内で議論はありました。しかし、シレンとほぼ同等でありながらドスコイになれないというのは、デメリットが大きいと判断しました。
―ということは、アスカも満腹度が上昇すると太っちゃうと(笑)。
篠崎氏:そうですね。可愛いアスカも、ドスコイになるとプクってなります。ユーザーさんから「アスカをドスコイにするなんて許さん!」なんて怒られたら、どうしようと思いましたが(笑)。
櫻井氏:それとこれまで遊んで頂いた方からは「ドスコイ強すぎ」という意見も多かったので、その状態を維持しづらいよう、細かいところは色々と調整しています。
―過去作のアスカは、気力を消費して特殊なワザを出していましたが、今回はどうですか?
篠崎氏:残念に感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回はありません。『シレン6』というゲーム性の中で、アスカを作っています。
◆「plusパック」後編では、5種のダンジョンを追加!
―「plusパック」後編では5種のダンジョンも追加されるんですよね。
櫻井氏:そうですね。順にご紹介します。
1つ目は、「一撃の修験道」というプレイヤーもモンスターも最大HPが1になるダンジョンです。過去作に「二撃の道」という、2回攻撃を受けると力尽きるダンジョンがありましたが、今回は一撃になりました。いかにモンスターから先手を取るかという、“逃げダンジョン”のような遊びが楽しめます。
2つ目は、「首領の連戦場」。持ち込み不可で探索し、ラスト4フロアに「ジャカクー」「マダラ」「魃の化身」「水龍の化身」という、シナリオ上で出会ったボスが4連続で出てきます。
―ボスが4連続!? 道具が尽きるかどうか、ギリギリの戦いになりそう。
櫻井氏:3つ目が「いにしえの洞窟」です。これは「plusパック」前編で配信した「地変学者の実験場」と似ているのですが、『シレン6』の固有要素である「神器」「願いのほこら」といったトリッキーな要素を減らした、よりオーソドックスな形に仕上げています。
4つ目が、常に何かしらのお香の効果がターンでランダムに発生し続ける「フローラルガーデン」です。意図せず“身かわし状態”になっていたりと、普段とは違うことに気を付ける必要がありますね。
そして5つ目が、事前に予告していた「超・神髄」です。
―「超・神髄」!ついに来るんですね。(ゴクリ)
櫻井氏:これはもう、高難度の極みのようなダンジョンですね。本作における、“本当のもっと不思議”と言えるでしょう。
◆これまでの“神髄”を、開発チームはどう見ている?
―やはり「超・神髄」が一番気になりますが、その前にこれまで実装された「とぐろ島の神髄」「とぐろ島の神髄 12種の星の石(※以後、裏神髄)」について聞かせてください。
主にこの2つのダンジョンがユーザーから人気かと思うのですが、開発者視点からどのようなコンセプトで作ったのかという点と、実装後のクリア率を見て、どんな感想をもったか教えてください。
櫻井氏:「とぐろ島の神髄」のコンセプトは、これまでのテクニックを余すことなく発揮して挑むという、『シレン6』の集大成となるようなダンジョンにすることでした。
ただし、99フロアの踏破にはどうしても時間が掛かるという意見は開発内でも上がっていました。長丁場の中ずっと緊張状態が続いて、「二度と遊びたくない」なんて思われてしまうのも困るなと思っていて。
―じっくり装備を整えてニギライズもして~なんてプレイすると、どうしても長時間になってしまいますね。
櫻井氏:そうなんです。だからしっかりと装備が整ったら、あとは一気に駆け抜けられるよう、50F以降はウイニングランにしようという考えがありました。
ただ、ユーザーさんの間でダンジョン内の稼ぎ所が研究された結果、じっくり稼いで冒険される方が多いんだなという印象を受けました。
―確かに、40Fで「ガンコ戦車」系のモンスターをねだやしにすれば、40~41Fで合成&稼ぎ放題なんて攻略は特に有名です。現時点の全体クリア率は3%ですが、この数値は想定よりも高かったですか?
櫻井氏:まあこれぐらいのほうが楽しいかなって思います。逆に今までは低すぎたのかも。(笑)
開発で集計している範囲では 33%のユーザーが「とぐろ島の神髄」をクリアしていて、狙い通りのクリア率だと思っています。
※参考:シレン5「原始に続く穴」 初回50Fの踏破率15%
篠崎氏:クリア率は全体の冒険回数から見ているのか、プレイヤー数から見ているのかという二軸があるので差がでますね。難易度という意味だと、一概に数字だけで判断するのは難しいですけどね。また、「とぐろ島の神髄」のような、いわゆる“もっと不思議”と呼ばれる持ち込み不可のダンジョンは基本的に難度が高く、苦手な方はとことん苦手だと思いますし。
―なるほど。
篠崎氏:いわゆる“稼ぎ”によって少しでもクリアしてくれる人が増えるなら、それで良いなと思っています。私たちとしても、「99Fで力尽きちゃった!」みたいなものを作りたいわけじゃないですし。櫻井が言う、“ウイニングラン”という部分は意識して作りました。
とはいえ、上級者からの「今回の神髄は簡単だったね」なんて意見を見ると、「マジかよ」とは思いますが。(笑)
―「12種の星の石」を集める、通称「裏神髄」はいかがでしょう?
櫻井氏:前述した稼ぎのこともあり、一部で物足りない人はいるだろうと協議していました。そこから「12種の星の石」を全て集めるという新しい条件を課して、難度を一段階アップさせるというコンセプトで用意したのが「裏神髄」です。
ただし、これを皆さんに「クリアすべきダンジョン」とは思ってもらいたくなく、あくまでエクストラステージのような建て付けにしています。
篠崎氏:だからこそ、通称「裏神髄」などと呼ばれますが、正式なダンジョン名は「とぐろ島の神髄」そのままにしました。違うダンジョン名にすると、どうしても「クリアしなきゃ」ってなりますからね。
持てる道具が少なくなればなるほど難度が上がるのは必然です。「裏神髄」はフロアが深くなるたびに「星の石」で道具欄が圧迫されるため、より高難度を求める方にはマッチしているのかなと思いました。
―私もなんとかクリアしましたが、「途中で石を取り逃がしてはいないか」など不安になることが多く、遊んでて胃がキリキリしました。(笑)
篠崎氏:その辺の見逃しは、一発でアウトですからね。(笑)
「裏神髄」は、バランス調整を担当しているメンバーからの提案がきっかけで実装しました。タイミング的には開発のかなり後半で、正直「今から追加するの!?」って時期でもありましたけど、結果的に多くの方に喜んで頂けて嬉しかったです。
―その後のアップデートで、「とぐろ島の神髄」をより難しくした「沈黙の神髄」が追加されましたね。
櫻井氏:「沈黙の神髄」は、「とぐろ島の神髄」では稼ぎがやりやすかったかなという反省から生まれたダンジョンです。そこでモンスターの自然発生数を絞ることで、レベル上げや合成、モンスターを使った稼ぎといった行為を抑制することを狙いました。
稼ぎを前提にしたスタイルだと躓くかもしれませんが、稼がなくてもクリアできることを示したかったんです。
篠崎氏:「とぐろ島の神髄」は稼ぎ前提で作ったわけではなく、稼いだら楽にクリアできるのはその通りなんですが、「そうじゃないんだよ」という開発チームからの考えをもとに作りました。
―確かに「沈黙の神髄」は、モンスターが少なかったです。
櫻井氏:まあ、慣れた方からは、「逆に楽だ」という声もありましたね。
篠崎氏:それと、モンスターが少ないことを“沈黙”と表現したのですが、一部では「何が沈黙なんだ?」って声もあって。ダンジョン名は、もう少し考えたほうが良かったかもしれません。
―個人的に稼ぎは、冒険自体は安定するんですが、どうしてもプレイ時間が長くなってしまうため腰が重くなってしまいます。その点、「沈黙の神髄」はそもそも稼ぎが抑制されているため、サクサク遊びやすくて好きですね。
篠崎氏:ありがとうございます。それと似た話で、RTAを楽しまれている方からは、そもそも素早くクリアするために稼がないから、「とぐろ島の神髄」も「沈黙の神髄」もあまり変化がないなんて感想もあり、面白い反応だなって思いました。
◆いよいよやってくる、高難度ダンジョン「超・神髄」!
―そしていよいよ、「plusパック」後編で高難度ダンジョン「超・神髄」が登場します。
櫻井氏:前述の通り、「とぐろ島の神髄」が上級者から簡単と言われてしまったので、本当の“もっと不思議”を作ろうという気持ちで制作しました。まさに高難度の極みのような内容で、通常より稼ぎがしにくいようにセットアップしてます。
例として、モンスターを使った稼ぎに使われる「にぎり変化」種は控えました。そしてモンスターが強くなっており、最強のレベル4を含めた157種が出現します。
―157種!まさにオールスターですね。
篠崎氏:なんてたって、“超”ですから!
―レベル4モンスターってことは、「ゲンナマゲイズ」(※隣接ではなく、同じ部屋にいるだけで催眠状態にさせてくるモンスター。みんなのトラウマ)や、や「デブーゴン」に「みだれ大根」(※壁越しに「デブータの石」や「暴走の種」を投げてくるモンスター。みんなのトラウマ)まで出現するわけですね。
篠崎氏:もう、気合を入れてモンスターテーブルを考えましたよ。ぜひ驚いてください。
―とか言って、どんなに高難度と謳っていようが、「強化の壺」で装備ガッチガチにして、余りがちな「白紙の巻物」でヤベぇモンスターを片っ端から“ねだやし”しちゃえば、「超・神髄」だろうとクリアは余裕ですよね?
櫻井氏:(ニコニコ)
篠崎氏:(ニコニコ)
―(え、なにこの空気……。)
櫻井氏:具体的な言及は避けますが、床落ちの道具は渋いです。お店では良いモノが出るので、攻略の糸口にはなるかなぁ。
―もしかして、神器も……?
櫻井氏:ええ、絞られてます。
篠崎氏:それ以外にも、安定した冒険において必須と思われているアレやコレが少なくなっています。
さきほど「とぐろ島の神髄」において、「装備が整ったら後半はウイニングラン」なんて話をしましたが、「超・神髄」ではそんなことありません。最後まで殺しにかかっているため、気が抜けないでしょう。
―今から震えが止まりません(笑)。最後に、アップデートを楽しみに待つプレイヤーにコメントをお願いします。
櫻井氏:DLCとこれまでのアップデートを含めて、シリーズ屈指のボリュームになりました。追加ダンジョンは全て一癖も二癖もあり、中には好みが合わないのもあるかもしれませんが、一度遊ぶと面白い発見があるかと思うので、ぜひ楽しんでください。
個人的にはフロア数が5Fと短いかわりに、モンスターが急激に強くなる「GoGoダンジョン」が気に入ってます。かなり尖った調整をしており、「ダンジョンは長くなくてはいけない」という常識を崩せたかなって思います。
“運ゲー”だなんて言われがちですけど、全然それだけじゃなくて。綺麗に立ち回ると20~30連勝できるほど奥深いんですよ。
―あのダンジョン、そんなに安定するんですか!?
篠崎:安定する方は、本当に『シレン6』が上手いんだなって思います。どうしてもジリ貧だったり運に左右されたりする場面もありますが、それをいかに打開するか。RTAに挑む方々もそうですけど、上級者のプレイは私たちの想像を超えてくるため、見ていて本当に楽しいです。
―『シレン』シリーズほど、配信に向いたゲームもありませんからね。
篠崎:そうですね。配信のしやすさについても、意識して作っています。特に本作は“見たから満足”というゲームではなく、見た上で自分も挑戦したいと思ってもらえるようなものになっています。ぜひ長い間、多くの方に遊んでもらえればと。
実は今回の有料DLCも元々は予定しておらず、今年1月の発売後、皆さんの反応が非常に良かったことをうけて「よし、開発しよう!」となり、イチから作り始めました。シリーズとして有料DLCの展開は初めてでしたが、後編までしっかりお届けできることを嬉しく思います。
前作『シレン5 Plus』をはじめ、シリーズを愛してくれる皆さんがいたから『シレン6』が発売できました。そして、多くの方が遊んでくれたから、今回のDLCも実現できました。無料アップデート分まで含めて、めいっぱい楽しんでもらえればと思います!
©Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.
※【10月31日20時30分追記】アスカに関する記述を一部、修正しました。
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