“昭和100年”に復活する「あの作品、この名作」─日本のRPG知名度に貢献、懲役100万年のディストピアTPS、『軌跡』シリーズの原点
インサイド / 2025年1月12日 11時0分
2025年はまだ始まったばかりですが、すでにいくつものゲームタイトルが発売日を待ち構えています。代表的なところでは、『モンスターハンターワイルズ』や『グランド・セフト・オートVI』などが控えており、話題作の登場を待ちきれない人も多いはず。
こうしたメインシリーズの最新作が出る一方、懐かしいタイトルの復活やリマスターも控えています。その中には、2010年代や2000年代の話題作もあれば、なんと1980年代に注目を集めた作品もあり、「今の元号ってなんだっけ?」と思わず確かめたくなってしまうほど。
2025年は令和7年ですが、昭和換算で計算すると、今年はちょうど昭和100年にあたります。この節目を彩る懐かしのRPGをはじめ、クラシカルな作品の復活作をまとめてお届け! 今蘇る作品の数々にご注目ください。
■HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』
“昭和100年”に復活する作品として特に見逃せないのは、やはりHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』でしょう。『I』と『II』をまとめたセット作品自体は、1993年に発売されたスーパーファミコンが原点ですが、両作品のオリジナル版が登場したのはまさしく昭和の時代です。
まず、初代『ドラゴンクエスト』(ファミコン版)がリリースされたのは1986年なので、昭和61年になります。当時のファミコン初期は、アーケードゲームからの移植も多く、アクションゲームが圧倒的に多い時代で、日本国内ではRPGはまだ一般的に浸透していない頃でした。
『ウィザードリィ』や『ウルティマ』といったRPGはすでに存在していましたが、当時はPCでしか遊べなかったため、日本国内におけるコンピュータ―ゲームのRPGは認知度は低かったと言わざるを得ません。初代『ドラクエ』以前のファミコンソフトを見ても、『ドルアーガの塔』や『ハイドライド・スペシャル』といった、アクションRPGがあった程度です。
そこに登場した初代『ドラクエ』は、2Dのフィールドを歩き、モンスターと遭遇すると主観視点のバトル画面がポップアップし、「たたかう」などの行動を選択して戦うというゲームでした。
今の視点で見ると、コマンド選択型RPGの基本中の基本ともいえる内容ですが、当時遊んだ人の大半は、その全てが初体験。初めて味わう刺激に興奮するプレイヤーが続出しました。
この体験が口コミで広がると、『ドラクエ』人気の下地が出来上がっていき、狙いすましたかのようなタイミングで続編『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』が登場します。こちらの発売は1987年、昭和62年のことでした。
初代『ドラクエ』は勇者のひとり旅でしたが、『ドラクエII』では3人パーティを結成する形になり、バトルにおける役割分担が生まれます。そのため戦略が大きく広がり、コマンド選択型RPGの面白さも格段に増し、より深く『ドラクエ』にハマる人が続出しました。
このような追い風を受けて、1988年(昭和63年)に発売された『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、発売日に日本各地で行列が作られるほどの社会現象となり、一大ブームを巻き起こします。その要因は、『I』と『II』が積み上げた“面白さと刺激への信頼”に他なりません。
ブームとなった『ドラクエIII』は、ひと足早く2024年にHD-2D版としてリメイクされましたが、『I』と『II』がセットになったHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』も、いよいよこの2025年に登場します。シリーズの最初期を支えた昭和時代の2作品が、令和にどのような刺激をもたらすのか。どうぞご期待ください。
■『FREEDOM WARS Remastered』
今回取り上げるタイトルの中では最も近い2014年に発売された『FREEDOM WARS』が、現行機向けのリマスター版『FREEDOM WARS Remastered』として、1月9日に復活しました。ただし、近いといってもざっと10年前の作品なので、10代のゲームファンならほとんどの人が初耳かもしれません。
『FREEDOM WARS』はPlayStation Vita向けのアクションゲームで、いわゆるTPSにあたります。そしてこの作品がまず注目を集めたのは、過酷過ぎる世界設定でした。遠い未来の地球では資源がひどく枯渇し、生き延びている人類は各都市に身を寄せ、都市間で資源を奪い合う戦いを繰り広げていました。
資源が限りなく貴重な世界なので、資源を消費する人間(一部を除き)は罪人と考えられており、生まれた瞬間から「懲役100万年」の刑を負う「咎人」の烙印を押されてしまいます。そして咎人は、懲役を減らすためのボランティア──都市国家同士や巨大な生体兵器との戦い──に身を投じる、というのが『FREEDOM WARS』の背景です。
人権なき存在として扱われながら、「生まれた」という罪を贖うため、命を落とす危険のある戦いに挑む。理不尽の極みともいえるディストピアな設定は、『FREEDOM WARS』への興味を大きくかき立て、期待を関心を集めることに成功します。
また『FREEDOM WARS』のバトルは、伸縮するムチのような「荊(イバラ)」を使ったアクションも特徴的でした。その伸縮性を活かして高速移動したり、高台に打ち込んで立体的な起動を可能にしたりと、移動だけでもその幅が一気に広がります。
また、生体兵器「アブダクター」の身体に取り付いたり、引き倒して一定時間行動不能にするなど、バトルの様々な局面で戦略的に使える「荊」は、本作のゲームシステムを象徴する一因となりました。
ただし、『FREEDOM WARS』の全てが完璧で好評だった、とは残念ながら言いきれません。「荊」を含めて出来ることが多かったため、思い通りに動かすのは難しく、操作タイプが複数用意されたほど。また、難易度調整の甘さや物語の描写不足などがあり、意欲的ながら惜しい点が多い作品という評価も少なくありません。
そのため、復活(+改善)を望むユーザーも多いものの、難しいだろうと見る向きもあった作品ですが、『FREEDOM WARS Remastered』として現行機向けに再登場。今現在の標準的なコントローラーはPS Vitaよりもボタン数が多く、しかも操作カスタム機能も追加されるため、操作系の問題は大きく改善されることでしょう。
加えて、当然グラフィックもパワーアップしますし、フレームレートの向上で滑らかなアクションが楽しめます。ストーリーについてはオリジナル版と同様ですが、「荊」を活用したバトルがブラッシュアップされて帰ってくるのは嬉しい限り。反響次第では、更なる展開もあり得るかもしれません。
■『カプコン ファイティングコレクション2』
懐かしいタイトルの復活は枚挙に暇がないほどですが、ゲーム1本分でカプコンの対戦型ゲームが8作品もまとめて遊べる『カプコン ファイティングコレクション2』が2025年に登場します。
カプコンは往年の作品をまとめたセットをいくつも展開しており、『ファイナルファイト』『パワード ギア』など7作品を収録した『カプコン ベルトアクション コレクション』や、DLCのバンドルを購入すれば30本を超えるアーケードゲームが遊べる『Capcom Arcade Stadium』など、そのラインナップもパワフルです。
この『カプコン ファイティングコレクション2』も複数のタイトルがセットになっており、収録される作品の中でアーケード版稼働開始時期が最も古いのは、1998年3月の『スターグラディエイター2 ナイトメア オブ ビルシュタイン』になります。スペースオペラな世界観が印象的な作品でした。
次いで古いのは、フィールド上のアイテムを活用しながら戦う『パワーストーン』と『パワーストーン2』です。前者のアーケード版稼働時期は1999年2月、後者は2000年4月と、約1年ほどで続編が登場しており、なかなかのペースです。
収録タイトルの中で20世紀の締めくくりを飾るのは、熱量の高いファンも多かった『燃えろ!ジャスティス学園』です。21世紀を間近に控えた2000年12月に、アーケード版が登場しました。
そして、年が明けた2001年3月に『ストリートファイターZERO3 UPPER』が稼働開始。1995年に始まった『ストZERO』シリーズのひとつで、家庭向けのシリーズ作から様々な要素を引き継いでアーケードに訪れたタイトルです。
対戦格闘ゲームで定評のあるカプコンとSNKのキャラクターが火花を散らす『Capcom vs. SNK Millennium Fight 2000 PRO』(稼働時期:2001年7月)と、続編『Capcom vs. SNK 2:Millionaire Fighting 2001』(稼働時期:2001年8月)も、『カプコン ファイティングコレクション2』にまとめて収録されています。
そして、稼働時期が最も新しい──といっても、2004年10月ですが──作品が、2004年10月に稼働を開始した『カプコンファイティングジャム』です。『ストII』『ヴァンパイア』『ストIII』『ウォーザード』『ストZERO』といった各シリーズから様々なキャラが参戦し、激突します。
2004年から遡って平成10年の1998年まで、濃密な6年間の作品をぎゅっと詰め込んだ『カプコン ファイティングコレクション2』。あの頃の熱気が蘇る、コスパ満点の作品です。
■『空の軌跡 the 1st(ザ・ファースト)』
国産のRPGでは、先ほど触れた『ドラゴンクエスト』(1986年)が長く続いている人気シリーズとして知られています。ですが、平成元年(1989年)にスタートした『英雄伝説』シリーズも、35年以上も歩み続けている名シリーズです。
『英雄伝説』というワードだけではピンと来ないかもしれませんが、本シリーズはいくつかの作品群に分かれており、現在も展開中の『軌跡』シリーズもそのひとつと聞けば、思い当たる人も多いことでしょう。
今現在は、2024年9月に発売された『英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-』が『軌跡』シリーズでもっとも新しく、ゼムリア大陸で起きた様々な動乱を描く最先端に位置しています。そして、この壮大な物語の出発点となった『軌跡』シリーズの1作目をリメイクする『空の軌跡 the 1st(ザ・ファースト)』が、この2025年に発売される予定です。
オリジナルとなる『英雄伝説 空の軌跡 FC(ファーストチャプター)』のデビューはPC向けで、2004年6月に登場しました。21年近く前に始まった1作目は、棒術で戦う快活な少女・エステルと、双剣使いのヨシュアを主人公に抜擢し、大いなる物語の幕開けを飾ります。
『空の軌跡 FC』は『軌跡』シリーズであると同時に、『空の軌跡』シリーズの1作目でもあります。『空の軌跡』シリーズだけでも『英雄伝説 空の軌跡 SC』『英雄伝説 空の軌跡 the 3rd』と3作品が連なっており、『軌跡』シリーズ全体で描く物語の壮大さがお分かりいただけることでしょう。
21年ほど前にデビューした『空の軌跡 FC』は、2007年発売のPSP版を皮切りに、PS3(2013年)やPS Vita(2015年)、そしてiOS/Android(2016年)にも進出。平成中期に発売されたタイトルが、平成の後期まで様々なプラットフォームで活躍を続けます。こうした展開は、長く愛されている証左に他なりません。
そんな『空の軌跡 FC』の魅力を、『空の軌跡 the 1st』がどのように受け止め、昇華するのか。発表されている情報はまだ一部ですが、冒険の舞台「リベール王国」が3Dで完全再現され、フィールドアクションとコマンドバトルをシームレスに切り替える爽快なバトルが楽しめるとのこと。続報を心待ちにしつつ、再誕する『軌跡』シリーズの原点にご注目ください。
今回は、復活する4本の作品に注目しましたが、『ドンキーコング リターンズ HD』や『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』、『Ever17』に『Never7』、『ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション』と、この昭和100年に懐かしいタイトルが続々と登場します。名作・良作の新たな装いを、どうぞお見逃しなく。
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