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任天堂の意図と真逆な「情報のリーク」がもたらす影響と弊害─最終的には“ユーザーの不利益”に直結

インサイド / 2025年1月20日 19時10分

2025年1月16日、任天堂は「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ2)」を正式に発表しました。スイッチの後継機自体は予告されていましたが、今回正式な名称や形状などが判明し、ゲームファンを中心に大きな関心を集めています。


反応の多くは、新たなゲーム機への期待や興奮、発売が近づいてきた実感などが占めていますが、一部では“情報のリーク”への怒りや不満の声も見受けられました。


スイッチ2に限った話ではありませんが、多くの人が注目している商品や作品について、公開されていない情報が表に出ることが往々にしてあります。真偽のほどは定かではありませんが、単なる予測の域を出ないものから、許可のない情報を漏洩するものまで、リークと一口にいっても様々です。


正当な手続きではないリーク情報を好む人もいれば、警戒して距離を置いたり、問題視して怒りを露わにする人もいます。


もちろんリーク自体が問題のある行動なので、良し悪しで言えば明らかに“悪し”です。そして、漏洩した情報が具体的にどのような影響を及ぼすのか。今回のスイッチ2を参考に、リークがもたらす悪影響について考えてみましょう。


■驚きや興奮の機会を奪うリーク情報は、完全回避が難しい場面も


正式な発表後ではリークはただの事実か嘘にしかならないため、リークによる情報は公式発表よりも先に流れます。そして、事前に情報が漏れる弊害としては、公式発表を見た時の驚きや興奮が目減りする点にあります。


今回のスイッチ2では、大まかな外観やデザイン、そして名称などがリークされていました(性能面についてのリークもありますが、スイッチ2の性能はまだ未発表)。リーク情報は数え切れないほど出ており、結果的に外れているものもあれば正解に近しい情報も存在します。


正解に近い情報が、もっともらしい説明を加えただけの予測か、守秘義務に違反して漏れ出た情報なのかは、確かなところは分かりません。しかし、リーク情報を事前に見かけた受け手にとって、公式の発表は「新たな情報」ではなく「答え合わせ」になってしまいます。


「リーク情報を見た方が悪い」という意見はもっともですが、例えば「スイッチ2のデザインはこれ!」という文言とデザインを載せた映像のサムネイルがYouTubeのお勧め動画欄に出てきた場合、動画の中身を見ずともリーク情報が目に入ってしまいます。


これは、Xのタイムラインなどでも同様です。お勧めポストとして流れてきた場合、反射的に目を背けたとしても、ほんの一瞬目に入ってしまうのは避けられません。


情報が向こうから来ることも多くなったこの時代、完全なシャットアウトは困難。しかしリークを目にしてしまえば、公式発表の際に驚きが減ってしまう。押し付けられた消費者にとっては、踏んだり蹴ったりな状況です。





■“リークにつられて高まる”期待と、“本来なかったはずの落差”による失望


リークによる正確な情報は純粋な驚きや興奮を奪いますが、リーク情報は間違っていた場合も悪影響を及ぼします。仮に、「スイッチ2は2画面構成になり、ニンテンドーDSや3DSのゲームも遊べる」というリーク情報があったとしましょう。


DSや3DSのゲームは2画面が前提なので、現行のゲーム機への移植やリメイクが困難です。『世界樹の迷宮I・II・III HD REMASTER』のように、大きく手を入れて現行機向けにリリースされたケースもありますが、全体を見ればこうした展開はごくごく一部に過ぎません。


こうした状況の中、「DSや3DSのゲームが、スイッチ2で遊べる」というリーク情報に触れれば、思わず期待が高まってしまいます。この情報で購買意欲がかき立てられる人もいることでしょう。しかし、ご存じの通りスイッチ2は単一画面なので、「2画面構成」というリーク情報は全くのデタラメだと分かります。


この時、デタラメに腹を立てるのとは別に、高まった期待が叶わなかったと知り、落胆や失望といった状態に陥ります。また、購買意欲も減退しますし、反動でスイッチ2への興味を失うかもしれません。


感情の変化は理屈ではなく、高まった期待からの失望は落差があるほど重くのしかかります。しかし、リークがなければ不確定な情報で期待値が上がることはなく、落差自体も存在しません。今回の仮定に当てはまれば、「2画面構成」というリークが本来なかったはずの落差を作り出し、購買意欲の減退や興味の喪失を招いたと言えます。


期待を高める情報を出すのは公式側の権利であり、目指すところです。その情報を受け取って、期待するかどうかは受け手の自由。この関係に割り込む「リーク」は、悪影響しかありません。





■「リーク」がもたらす機会損失が、ユーザーの不利益に直結


合っている情報のリークは「答え合わせ」にしかならず、驚きや興奮を奪います。間違った情報のリークは「期待が高まり、そして落ちる」という落差を作り、購買意欲の減退や興味の喪失に繋がります。つまり、どちらに転んでもリークは悪影響を及ぼすのです。


情報のリークが商品──今回の場合、スイッチ2──の売り上げに寄与することはなく、逆に購買意欲を落とさせ、足を引っ張る可能性があります。そして、この流れから生まれる機会損失が、さらなる悪影響を招くのです。


購買意欲の減退からスイッチ2を購入するユーザー数が伸び悩むと、まずは任天堂が被害を被ります。ゲームソフトが売れるかどうかは、ゲーム自体の面白さが最も重要ですが、プラットフォームの人口にも大きく左右されます。


100万人が持っているゲーム機と、1億人が持っているゲーム機で、それぞれ10%のユーザーが同じゲームを購入したと仮定します。その場合、前者は10万本、後者は1,000万本の売れ行きとなり、文字通り桁違いの結果です。


また、ユーザー数100万人のゲーム機では、どれだけ大人気なゲームが出ても、100万本を超える売り上げは達成できないでしょう。一方、1億人もユーザーがいれば、100万本どころか数千万本もの販売本数も夢ではありません。実際にニンテンドースイッチでは、数千万本レベルのタイトルが複数存在しています。


こうした事情もあり、ユーザーの獲得は任天堂にとって死活問題にほかなりません。また、販売台数の少ないゲーム機への参入はソフトメーカーとしても痛手なので、サードパーティに加わらないゲーム会社が増えていくのは必然です。


スイッチ2に参入する会社が減れば、リリースされるゲームの数も当然少なくなります。遊びたいゲームの選択肢が狭まるのは、ユーザーにとって最悪の影響でしょう。リークの影響は回りまわってユーザーにまで届き、不利益を招く行為と化すのです。




見る、見ないも含め、リークされた情報自体をどのように扱うかは、受け手側の自由です。しかし、一個人からゲーム業界全体まで、リークが及ぼす悪影響の大きさは計り知れません。


任天堂は、発信する情報を正しく伝えるために「Nintendo Direct」を始めました。今では多くのゲームファンが、一次情報を直接受け取る恩恵に預かっています。


リーク情報は、任天堂の考えや姿勢に大きく反しており、真逆と言ってもいいほどです。最終的には受け手に委ねられるものの、正しく驚き、正しく批判するためには、正当な情報を元にすることが肝要です。


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