就活生と新社会人に贈る~登山型のキャリア・トレッキング型のキャリア/村山 昇

INSIGHT NOW! / 2018年5月1日 15時39分

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村山 昇 / キャリア・ポートレート コンサルティング

◆「正解を当てにいく」キャリアは疲れる


今年も、はや5月となりました。就活生の方々はまさに重要な時期に入っていることでしょう。また、今春新しく社会に出た方々は、緊張の4月を終え、「五月病」が頭をよぎる時期となります。

就活生にせよ、新社会人にせよ、就労経験が(ほとんど)ないにもかかわらず、いまの時期、得体の知れないキャリアというものに向き合わねばなりません。そのとき多くの人を惑わす要因のひとつが、「自己分析に照らし合わせて、適職となる仕事を探し当てなければならない」「キャリアはしっかりと目標をもって、計画的に築いていくべきもの」というまっとうめいた助言です。

そのような助言は、一理はあるものの、的外れの部分もあります。キャリア・人生は、あらかじめの正解値があって、その正解値を当てにいくものではないからです。適職とか目標とかを見つけなくてはならないという枷(かせ)が自分を不要に苦しめる場合があります。

以下の記事は、そんな枷を取り払うために読んでいただければ幸いです。


◆山の登頂を目指すタイプと山の回遊を楽しむタイプ

「就職して3年経ちました。特にこれがやりたいとか、何になりたいとか、
目指すべきことが見つかりません。こんな状態でいいのでしょうか?」。
(入社3年目のAさん:26歳)

こうした悩みは若手の会社員の口から多く聞かれます(いや、30代以上にしても、業務上の数値目標以外に目指すべきものを持たない人は多いでしょう)。


確かに会社に入るときは、あれほど志望動機を考えたはずなのに、いざ入社してみると、仕事の内容や会社の様子が実は思っていたものと全然違ったものであったり、あるいは予想外のところに配属されたりして、やがてその志望動機は知らずのうちに消えてしまいます。そして働き始めて数年も経てば、「あれ、自分は何を目指しているんだろう?」というような気持ちになる。

もし、いまのあなたに一心不乱に没頭できる職業上の目標が確固とあり、そこに邁進しているのであれば、それはとても幸福な働き人です。どんどん突き進めばよいでしょう。しかし、世の中には、そういった明確な目標が見出せない人のほうが圧倒的に多いものです。

けれど、そのことにめげる必要はまったくありません。山の楽しみ方に、「登山」と「トレッキング」というタイプがあるように、キャリアにもこの2つのタイプがあるからです。

登山の場合、目標はただ一つ「登頂」であり、その結果を得るためにあらゆる努力をしていく。頂を目指す途中、道草はしない。

つまり、「登山型のキャリア」とは、「プロ野球選手になってホームラン王をとる!」とか「弁護士になって多くの人を助けたい!」、あるいは「新薬開発の先進企業に入ってガンの治療薬をつくりたい!」「保険会社で日本一の営業マンになる!」などのように、唯一絶対の頂上を決めて脇目も振らずそこを目指すキャリアです。

他方、トレッキングの場合は、登頂のように明確な目標があらかじめあるわけではない。山の中を回遊して、何か自分のお気に入りの場所を探すというその活動自体を楽しみにするものです。

途中でたまたま見つけた滝や池が気に入れば、しばらくそこにたたずんでその居心地を楽しめばいいし、道端に咲く植物をいろいろと観察しながら時間をかけて歩くのもいいでしょう。そうした過程で山の奥深い細かなものがさまざま見えてきます。

すなわち、「トレッキング型」のキャリアは、「自分は絶対ここを目指すぞ」というような目標は思い浮かべていない(浮かべられない)けれども、会社内でいろいろな部署を経験したり、または転職したりしながら自分らしさを少しずつ見出しながら、キャリアを形成していく形です。

あるときは営業現場で商品を売ることの楽しみや苦労を知ったり、あるときは企画部門で新しいアイデアを打ち出すことの奥深さや大変さを知ったり。また、業界を越えて転職したときなどは、業界ごとで仕事に対する考え方がこんなに違うんだ、と感じることもあるでしょう。

そうしてトレッキングを続けていくと、次第に山のことがわかってきて、体力や技術がついてきます。すると自分の登りたい山が見えてきて、その頂上に挑戦したいなと思えるときがやってくるかもしれない。ですから、「いま何を目指してよいかわからない」という人に対し私は、あせらずトレッキングを楽しむことでいいのではと答えています。




◆山(=働くこと)は大きな喜びを内包している


私自身も、20代、30代はトレッキング型でした。メーカーや出版社など業界をまたいで転職し、人から「変わった転職してますね」と言われることもしばしば。でも、その過程で、実にさまざまな仕事を経験しました(しかし、その経験の幅はいま全部生きています)。

そして40代になって、人財教育事業という山がすーっと見えてきました。「これをライフワークにしたい。この道を自分なりに究めたい」と思い、独立しました。ですから、いまはどっぷり登山型のキャリアです。私がいま見つめている頂上は、「働くとは何か?の第一級の翻訳者になる!」です。ここを目指し、日々、一歩一歩足を進めています。

登山型とトレッキング型とで、どちらがよいわるいという問題ではありません。大事なことは、山自体(=働くこと)を楽しんでいるか、そしてその活動を通して自分を成長させているかということです。




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