仕事を動かす人、仕事に動かされる人/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2018年9月29日 22時2分
猪口 真 / 株式会社パトス
ビジネスマンには仕事を動かせる人と仕事に動かされる人がいる。大半の人(私も含めて)は、日々指示された仕事に追われて、周回遅れぎりぎりのところでバトンを渡すような仕事をしている(に違いない)と思うのだが、次々と自分で仕事を動かしている人がいる。
社内であれ社外であれ独立できる人、チャンスやピンチ、ここぞというときに頼りになり成功する人、ありえないような仕事を決めることができる人、チーム全員がどうしようもない状態のときに力を発揮する人、など、ここ一番に強く底力を持っている人は、例外なく仕事を動かす人だ。
日々の仕事においても、提案して承認されたと思ったのに全く進まない、途中まではうまく進んだと思っていたのに、急に動きが悪くなった、など仕事を進めるうえで、頻繁に起こることだ。コミュニケーションギャップがあったり、技術的な問題が起きたりなど、やっかいなことが起き、仕事が止まってしまったり、新しい問題が生まれてしまうようなことだ。
そういうとき、見事に状況を打開し、仕事を正常通りに戻し、動かすことができる人がいる。上長だからとか、監督責任者だからといった理由だけでなく、ひとりの担当者として、ポジションに関係なく動ける人だ。
自分の状況はさておき、その問題解決のためにできることを率先して行動し、仕事を収れんできる姿は誰が見てもかっこいい。
半面、自ら動くことなく、すべて指示に従うスタイルで仕事をしている人がいる。同じように仕事をしているのだが、「自ら」ではなく「指示された」行動の人だ。
仕事のスタイルというか、ひとつのリスク管理としてやっていることが多いので、仕事に対する価値観の問題も多分にある。だから仕事のしかたを周囲が決めることはできない。また、大きな組織であれば、組織内の役割によっても違うということはあり得る。
しかし、こういうスタイルを取り続けてしまうと、企業の好調期はいいが、不況時や業績不振の際に、逆にリスクになってしまう。自分でアイデアも出せなければ行動もできないため、本当に頼りない人物になってしまう。これまでと違う行動、上司には分からない問題に対応しなければならないからだ。
さらに、自分で判断することから逃げていると、意思決定することができなくなってしまう。言い換えれば、自分の判断基準がぶれてしまう。
我々のような少人数の組織で働く人間にとっては、「あの件は止まっていまして・・・」という言い訳は自分にたいしても許されることではなく、仕事を動かさない限り、自分の狙った売り上げや利益に繋がることはないから、「仕事を動かす」ことは、何より求められるスキルだ。
仕事を動かすことができる人は何が違うのだろうか。
やる理由とやらないリスクを明確にできる
まず、何もしなければ動かないのなら、それ相応の人に働きかけなければならない。似たような立場の人に愚痴るのではなく、状況を変える力のある人に働きかけることが重要。
そういうとき「わかりました。聞いておきます」と言って、本当に「あれどうですか?」とただ聞くだけの人がいるが、残念ながら、その人は「仕事に動かされる人」だ。自分で状況を打破することはできない。
働きかけるとは、明確なやる理由とやらないリスクを提案することであって、伝書鳩のことではない。これができれば、かなりの確率で仕事は動く。
自分で仕事をアレンジできる
次に、自分なりのアレンジを加えた上での提案をすることができるのも「仕事を動かす人」の強みだ。
つまり「この件が動かないので、こういうことから始めてはいかがでしょうか。考えてみたので見てください」と提案する。自分の得意分野に持っていってもいいだろうし、スモールスタートができるようにすることもある。
仕事が動かないときは、多くの場合、様々な障害があるわけだから、その障害が最小限になるようなプランを考え、提案することができれば、上司や関係部署においても無視することはできないだろう。
仕事をつくる
仕事を動かすとは、仕事をつくるという意味でもある。予算を引き出すことでもあり、我々が一番目指すべき仕事だ。その分困難を伴う。
私たちのように、仕事のアウトプットが直接売上や利益、自分の報酬に結び付く仕事をしていると、毎日何かしらの成果をクライアントに届けることが必要になる。
また、仕事をつくるためには知識が必要だ。知識が必要になるから勉強しようとするし、その勉強がまたその人の身になる。
仕事を動かすことができれば、何より次の仕事へのモチベーションになるし、仕事の範囲も大きく広がるのも間違いない。
第一歩は、ほんの小さなアクションから始まる。小さな仕事から自分で動かしてみよう。
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