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面接官はつらいよ ~圧迫面接が会社を滅ぼす/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2018年10月5日 7時12分


        面接官はつらいよ ~圧迫面接が会社を滅ぼす/増沢 隆太

増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

1.面接官がうらやましい?
10/1には多くの企業で新卒学生の入社内定式が行われたところですが、もう次の採用、20卒就活は始まりつつあります。実際の採用活動が始まる前から、人事採用担当は水面下でプランニングや予算取り、媒体枠確保など、一年中採用「業務」は続くのです。一方、実際の採用、特に新卒採用はいわゆる一括採用というシステムのため、一定時期に多数の学生を選別しなければなりません。

ES(エントリーシートをこう呼びます)の選別も、何千何万に及ぶ大企業・人気企業はたいへんな作業となりますが、面接はもっと手間がかかります。グループ面接などで複数人を一斉に対応することはありますが、グループ面接だけで採用が来あることはなく、必ず個人面談があり、こればかりは最低でも1対1で企業側の面接官が必要になり、複数名で面接することも普通に行われます。

面接を受ける側からすれば面接は緊張するし、あがってうまくしゃべれないし、意地悪な質問をされたり、「あなたを食べ物に例えれば何?」の類の意味不明な質問を受けたりしたら恐いし、嫌なことだらけです。他方面接官は偉そうに人を見定め、高圧的な態度の人もいたり、こちらが隠したいことを聞いてきたり、とにかく偉そうで楽に見えます。

2.面接官トレーニング
実際に大企業など、たくさんの面接をしなければならない企業では、人事だけでは全く人手が足りず、社内の様々な部門から臨時面接官がかき集められます。小さい企業では人事の数も少なく、やはり大企業ほどの応募者がいない場合でも急きょ社長や役員が面接官を務めたりすることが少なくありません。

しかし自ら日ごろ面接を行っていて、なおかつ人事の時流やコンプライアンスにも通じた人であれば、職務が人事でなくとも優秀な面接官である可能性は高いのですが、そこまで面接に通じていない人は問題です。特に役職だけ偉くて、周囲が反対できないようなジャイアンな立場のおっさん(おばさん含む)が臨時面接官だと悲劇です。

学生にとんでもないバカ質問をするだけならまだしも、「親心で」「善意で」「なごまそうと思って」ハラスメントやらかす輩もいるからです。こうなればもはや企業の危機を呼んでしまいます。

・お父さんの職業は?
・お生まれはどちら?
・血液型は何?

こんなことを口走っていないでしょうか。私のトレーニングでは全部禁止します。いやいや、そんないやがらせや差別じゃないじゃないの!という反論は通じません。会社の危機管理上、言った人がどんな意図だったかは関係なく、ハラスメント認定され、企業価値や信用を失墜させる恐れのあるリスキーな挑戦など、面接官はしてはならないからです。面接では何をすべきで、何をすべきでないかなど、やはり日ごろから採用に携わらない方は知らないのが普通だと思います。

3.圧迫面接がある理由
特に新卒学生から人気がない圧迫面接ですが、実際には2種類あるのです。それは圧迫面接と圧迫じゃないのに圧迫面接と呼ばれる面接です。ふざけているのではなく、実際に今の大学生たちは完全な少子化時代に生まれ、人口が減り続けるわが国の社会では、ほとんど親からすら怒られたことがないという子供が少なくありません。

結果としてプレッシャー耐性は極端に弱く、怒るどころか単に答に窮する質問をしただけで「圧迫を受けた!」と勝手に感じてしまう学生もいるのが実情です。それでもプロ面接官であれば、そうした心情も見抜いて上手に運ぶことが不可能ではありません。さらにプレッシャーをかけても、その後ちゃんとリカバリーできるような高度なコミュニケーション能力があるから取り得る手法です。

そこまでの技量も無い単なる素人面接官は「近ごろの若いやつはひ弱になりやがって」と、学生をさらに追い込んだり、「そんな頼りにならない部下はいらない」とばかりに、圧迫面接こそ人を見抜くカギだと信じたりします。その結果がガンガン就活情報掲示板で広められることになります。

結論からいえば、圧迫面接をやったところで、まだ実社会に出ていない学生が、社会人として本当にプレッシャーに耐性が無いかどうかはわかりません。また当然社員教育の持っていき方でどんどん変わっていくものですし、本来の圧迫面接はやはり中途採用の営業や、厳しい職場での採用に限定されるべきでしょう。

4.すべては会社の意思
圧迫面接のように企業イメージを失墜させる行為を軽々にど素人がやれば、単に会社の評判を落とすだけになります。会社側は、コーポレートイメージが採用によって損なわれるリスクを、もう少し真剣に考えて判断すべきなのですが、勝手に現場で面接官が暴走したらそれを止めることはできません。

つまり、圧迫面接はその面接官の技量を試す合図であり、下手な圧迫面接しかできないような面接官は素人であり、そうした素人に面接を全権委任している会社は、恐らく業務遂行においてもそうした雑な判断をする会社だとも考えられます。

すべては会社の意思、経営者の意思として、捉えられてしまう面接官という重責を、単なるベテランや取締役など役職だけで選ぶような会社は、やはりそんな社風だと考えるべきかも知れません。

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