フィルムからレタスが育つ!?“土を使わない野菜”はスティーブ・ジョブズの言葉から生まれた/LEADERS online
INSIGHT NOW! / 2018年10月18日 12時0分
LEADERS online / 南青山リーダーズ株式会社
土がなくても野菜が育つ“フィルム”
収録当日、森社長はスタジオに、フィルム上に根を張ったレタスを持参してくれた。
しっかりと根を張ったレタスは、フィルムを逆さにしても落ちてくることはない。そもそもこの「フィルム農法」とは、何なのか。
「フィルム農法とは、文字通り、フィルムの上で野菜を育てる技術です。今、スタジオにサランラップのような透明なフィルムを持ってきましたが、このフィルムが畑の土の代わりをすると考えてください。なぜ、そんなことが可能なのかは、このフィルムの性質にミソがあります」
森社長は、レタスが根を張ったフィルムの表と裏を見せながら説明してくれた。
フィルムの裏面は水で濡れていたが、表面はさらさらに乾いている。
「このフィルムには、ナノサイズの小さな穴がたくさん空いています。フィルムの表面にレタスの種をまくと、レタスはフィルムの裏側に浸した水や肥料を、フィルムの穴を通して吸い込む。ただ、この穴は非常に小さいので、雑菌などを吸い込むことはないんです。
また、フィルムの表側はハイドロゲルになっていて、赤ちゃん用のおむつがおしっこを吸収してしまうように、水を吸収してしまうので水で濡れることはありません。レタスの種は、フィルムを通して水と肥料を吸い込み、フィルムを土と思って、そこにしっかりと根を張るという仕組み。このフィルムさえあれば、土がなくとも、どこでも野菜が育ちます」
それでは、フィルム農法で育った野菜の品質は、どうなのか。野菜の商品価値などについて聞いた。
「フィルム農法で育った野菜の特徴は、糖度が高く、リコピンなどの機能性成分が多いこと。特に、トマトなどはこの農法に適していて、フルーツトマトは、日本国内150か所、約10万坪の農場でフィルム農法を使って栽培されています」
森社長のお話を聞いていると、土のいらない農業という革命的な手法を考案されたと言えるが、従来の農業と比べて、生産コストという点ではどうなのか。
「フィルム農法は露地栽培ではなく、ハウス栽培になるので、ハウスを作るコストはかかる。ただ、ハウスさえ作ってしまえば、土はいらない。生育させるのにも失敗は少なく、収益は上げやすいんです。
しかも、日本全国どこでも、栽培が可能。海外でも、ドバイで4年前からフィルム農法を使って砂漠で野菜を栽培しています。中国では上海で、この農法が広がっていて、インドでも取り入れられています」
ヒントはスティーブ・ジョブズから…
そもそも、この画期的なフィルム農法を考え出した森社長の発想の原点は何だったのか。
「スティーブ・ジョブズの言葉が印象に残っています。それは、先端技術は生物学と交差するところから生まれるという趣旨で、そこから農業を工業化できないかという発想が生まれたように思います。でも、最初は大変でした。100種類ぐらいのフィルムを集めて、その上にレタスの種をまいて観察する日々。会社でやっていると、『社長は何をやっているのか』と言われるので、自宅で観察していました。そうしていたら、ある時、芽が出てきたんです。
ただ、最初の18年間は赤字続き。農家の人たちに説明しても、彼らにとっては土は神聖なものであり、それをペラペラのフィルムに変えることなどとんでもないということで、信じてもらえなかった。それでも、世界100か国で特許を得ることができて、一つの事業としての可能性が生まれてきました。
考えてみれば、フィルムの原料は石油。その石油は、大昔の植物が堆積してできたもので、今、その石油からできたフィルムが、未来の植物を育てていると考えています。フィルム農法を使えば、これまで農業が成り立たなかった場所でも、野菜が育つ。アフリカの貧しい国々が、この農法を使って、食糧危機を克服し、豊かになれれば本望」
元々は化学繊維メーカーの社員であった森社長。
50代半ばで自分の会社を立ち上げ、フィルム農法を考案したわけだが、60歳までは勉強の時。
還暦を過ぎて起業しても、全く遅くはないと力説していた。
The News Masters TOKYO Podcast 文化放送「The News Masters TOKYO」
http://www.joqr.co.jp/nmt/ (月~金 AM7:00~9:00生放送)
こちらから聴けます!→http://radiko.jp/#QRR
パーソナリティ:タケ小山 アシスタント:西川文野(文化放送アナウンサー)
「マスターズインタビュー」コーナー(月~金 8:40頃~)
【転載元】
リーダーズオンライン(専門家による経営者のための情報サイト)
https://leaders-online.jp/
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
傘袋に金時にんじん植えてみた→5カ月後「すげえ!」驚愕の育ちっぷり ネット「傘袋買いに行ってくるわ」
よろず~ニュース / 2024年11月24日 7時50分
-
【たかみくらファームお野菜ボックス】新発売!!有機栽培、特別栽培で育てられた安心・安全なお野菜を兵庫県加古川市より産地直送でお届け。
PR TIMES / 2024年11月22日 11時45分
-
収穫前まで“全自動”のレタスハウスが誕生 年間生産量は約800万株 桁違いな栽培ハウスの内部は 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年11月21日 19時40分
-
魚と野菜の循環生産、認知度高める好機 大阪公立大植物工場研究センター長 北宅善昭氏 万博未来考 第3部 番外編
産経ニュース / 2024年11月15日 7時0分
-
空き缶に“ダイソーで買った種”を植え、43日後…… 驚きの結果に「やってみたい!」「子どもの食育に最適かも」
ねとらぼ / 2024年11月12日 21時0分
ランキング
-
1ローソンストア100「だけ弁当」第12弾は「イシイのミートボール」とコラボした「だけ弁当(イシイのミートボール)」
食品新聞 / 2024年11月23日 20時40分
-
2副業を探す人が知らない「看板広告」意外な儲け方 病院の看板広告をやけにみかける納得の理由
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 19時0分
-
3「中間管理職を減らしたい」企業の盲点 リストラで起こる、3つのリスクに備えよ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月24日 8時0分
-
4UUUMを上場廃止させるオーナー会社の腹づもり 買収後も業績は低迷、2度目のTOBに至った深層
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 8時0分
-
5冬の味覚ハタハタ、海水温上昇で今季の漁獲量は過去最低か…産卵場所に卵ほとんど見つからず
読売新聞 / 2024年11月24日 11時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください