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カルロス・ゴーンの犯罪:アイデンティティ無き国際人の悲劇と危険/純丘曜彰 教授博士

INSIGHT NOW! / 2018年11月20日 11時43分


        カルロス・ゴーンの犯罪:アイデンティティ無き国際人の悲劇と危険/純丘曜彰 教授博士

純丘曜彰 教授博士 / 大阪芸術大学

レバノン人でブラジル生まれ。フランスの国籍も持ち、日本の会社で地位を得る。典型的な「国際人」。昨今、というより、維新来、日本は、長い鎖国の裏返しなのか、こういう正体不明の「国際人」に弱い。テレビや新聞、雑誌も、こういうアイデンティティのはっきりしないハーフだの、バイリンガルだのだらけ。だが、連中は、生まれながらに悲劇的で、周囲からしてもかなり危険だ。

「国際人」と言うと、世界をまたにかけて活躍しているかのようで、とても聞こえが良い。だが、逆に言えば、やつらは、どこにも居場所がない、国と国の隙間の流れ者。広義の「ジプシー」。かつてのユダヤ人がそうであったように、どこの国にも、かれらのほんとうの味方はいない。『ヴェニスの商人』よろしく、困ったときには彼らに頼るが、用が済めばすぐ叩き出す。ほんとうは、仕方なく受け入れただけで、こういう風に乗ってやってきたみたいな世渡り上手なヨソ者が、心情的には、みんな大嫌いなのだ。しかし、だからこそ、彼らもまた、けっして人を信用しない。頼れるのは、持ち逃げできるカネだけ。取れるときに取れるだけ搾り取って、トンズラの機会を窺う。

長いユダヤ人の歴史でもわかるように、これは、昨日今日の話ではない。また、日本だけの話でもない。いや、ユダヤ人だの、印僑や華僑だの、それぞれの国に根付くことはないにしても、彼らなりの国際的なコミュニティがあり、信仰やモラリティがある。それゆえ、彼らなりの「仁義」の縛りがあり、いくら出先の国でも、後先のこともあるので、あまり無茶は許されない。だが、問題なのは、こういう国際コミュニティにすら属していないニワカの流れ者。緩く世界に繋がってはいるが、多くの場合、それは国と国の隙間を利用した悪事。精神的な「担保」が無いから、恥も外聞も恐れない。おまけに、育ちが悪いと、えらくなっても、手癖が悪い。それが、広義の現代の「ジプシー」。

明治の「お雇い外国人」も、怪しいやつらだらけ。モース、フェノロサ、ハーン、などなど。「極東の土人ども」は知らないだろうが、これが国際常識なのだ、とか言って、とてつもない法外なカネをせしめ、結局、どこの国にも悪いウワサが広がり、世界中から呆れられて、最後は自滅的に転落していく。よくよく考えてみれば、こんな半端な連中に頼らなくても、自分たちでできることだったのだ。にもかかわらず、国内では人間関係が雁字搦めで、身動きできない。それで、こんないいかげんな、うさんくさい外圧の権威を利用せざるをえない。

現代の国際コンサルタントも似たようなもの。だれがどう考えたって、解決の方策は、わかり切っている。だが、社内外の力関係、その後始末の面倒から、だれも泥を被らない。そこで、そのわかり切っている方策を、もっともらしくコンサルタントの先生の口から述べていただく。あわよくば、返り血で手が汚れるような実行までぜんぶやっていただく。にもかかわらず、それを希望し依頼した側は、あたかもその断行を押し止め、がんばって二割引にさせたかのようなフリをして周囲に恩を売る。

「お雇い外国人」など、もともと向こうでもいろいろ問題があって持て余していたやつを辺境に押しつけただけ。ところが、それがヤケで当たり前のことをやったら、「極東の土人ども」が天空から降臨した神の御技のごとくありがたがるから、そのドサクサに、貢ぎ物はもちろん、ホテルの備品までかっぱらって逃げるというだけ。世界中、いつも、その繰り返し。それぞれの国のエスタブリッシュやローカルな庶民は、いまどきヘイトになるから、口には出さない。だが、本音は、「ジプシー」に対する根強い不信感。その不信頼を感じ取るがゆえの「ジプシー」の確信的な裏切り計画。それで、またやっぱり、となる。

隣の半島や内陸を荒らしたのも、維新後に日本国内で立ち行かなくなった日本人の「ジプシー」たちだった。こういう連中を送り出し、招き入れてしまうと、その後、両国百年に禍根を残す。現代でも、日本でやらかし、もしくは、モノにならず、海外で怪しげな仕事をしている連中は、あまりに多い。よほど信念、目的意識がなければ、へたに「留学」などしても、こういう「同胞」がすぐになれなれしくすりよってきて、連中の大きな黒い「絵図」に利用されてしまう。

国籍不明の「国際人」など、国の隙間の正体不明の流れ者。国際化は、しっかりとした自分自身の文化と倫理と責任の足場があってこそ。そして、自分たちの問題は、自分たちがもっともよくわかっているはず。赤字会社でも、被災地でも、自分自身の身を切ってでも、自分たちの問題は、絶対に自分たち自身で解決するという強い信念を持たなければ、火事場泥棒の餌食にされるだけ。これでは、その解決のためにあえて身を引き、いまも苦渋を味わっているかつての仲間たちが浮かばれない。

(世界各地に家を持ち、そのどこも定住所としないパーマネントトラヴェラーの資産隠しと課税逃れについては、前に小説のネタにした。よかったら、ぜひどうぞ。『悪魔は涙を流さない-増補改訂版-上巻-カトリックマフィアvsフリーメイソン-洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだパーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書-』

by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。最近の活動に 純丘先生の1分哲学 『百朝一考:第一巻・第二巻』などがある。)



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