早大新監督の小宮山悟さん。フロントに詰め寄ったロッテ時代の反省/LEADERS online
INSIGHT NOW! / 2018年11月27日 11時0分
LEADERS online / 南青山リーダーズ株式会社
小宮山早大監督 誕生秘話
2018年9月、「小宮山悟氏 早大次期監督就任へ」というニュースが飛び込んできた。大学野球の秋季リーグ開幕直前という異例のタイミングでの発表だった。
「これには驚きました。何故?大学野球の監督に?」とタケ小山。
「基本的にオファーのあった仕事は引き受けるスタンスです。今回(早大次期監督)のお話は、タイミングとオファーしてくれた人たちの熱意で決めました」
小宮山さんにとって条件などは二の次三の次で、迎え入れてくれる側の“熱意”があるかどうかが重要なのだそうだ。
実は小宮山さんは2011年から14年まで早大野球部でコーチを務めていた。小宮山さんと早稲田の絆は深い。「今、こうしていられるのも早稲田の4年間があったから」と言う。
恩師の石井連藏さんには、人生の様々な転機にアドバイスを貰いに行っていた。その都度、石井さんの言葉の端々に「早稲田」という言葉があり、最終的には「早稲田に帰って来い」というひと言があったそうだ。
大学野球について小宮山さんは、「4年間は人としても大切な時間。プロになれるのはひと握りなので、社会に出ても通用できる人間に育てたい」と野球を通しての人間形成が大事だと言う。
「小宮山流の指導方針は?」とタケ小山が問う。
「技術的なことで正解はありません。学生たちが自分達で気づいていくべきだと考えています。ヒントを与え続けるのが自分の仕事だと思っています」
野球選手として大学時代に花開いた小宮山さんは「自分で何かに気づくことで、ボクのように劇的に伸びる場合もあるんですよ」とニヤリ。
夢にも思わなかったプロ野球選手
その実績から、にわかには信じがたいが高校時代まで無名だった小宮山悟さん。しかも一般入試で2浪して早稲田大学へ入ったのだ。
早大を目指した動機は、テレビで観戦した早慶戦。
「神宮で野球がしたい」
早慶戦という舞台に感動した小宮山さんは「早稲田のほうが自分に合っている」と早大野球部を目指した。
20歳の1年生。上下関係が厳しい体育会系の中で我慢しなければならない期間が続いた。
「大学では、1、2年生は下級生。3、4年生は上級生なんです。ここは天と地の差がありますから」やっと3年生になったと思いきや、早大野球部に“鬼の連藏”こと石井連藏さんが監督として帰ってきた。
「羽を伸ばしてふんぞり返るつもりだったんですけど、3年生なのに1年生みたいな...」石井連藏さんは1958年早大の第9代監督に就任し、翌59年には全日本大学野球選手権で早大初の日本一に導くなど、計13年間でチームを4度のリーグ優勝に導いた名監督だ。
この出会いが、小宮山さんの野球人生を大きく変えることになる。
石井監督の厳しい指導に最初は戸惑ったが、「この人の言うことをちゃんと聞いていれば間違いないと思うようになってきたんです」
特に目から鱗が落ちたのは「ふだんから一生懸命やってる奴は『今日は頑張るぞ』なんて甘えたことを口にしない。ふだん頑張ってないから言うセリフなんだよ。そんな奴は早稲田に居なくていいから」その日から誰にも負けないくらい練習したそうだ。
六大学リーグ戦での通算成績は20勝10敗。
140km近い速球はリーグナンバー1を誇り、最終学年の89年には日米大学野球のメンバーに選ばれる。89年のドラフト会議で1位指名され当時のロッテ・オリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)に入団した。
プロ野球界の異端児?「浪人時に人間が歪んでしまった(笑)」
プロ入り早々からフロントに物申す新人だったという小宮山悟さん。当時のロッテはパ・リーグのお荷物と揶揄されていた。
「浪人している時に人間が歪んでしまったので(笑)フロントに対して、我々はどのような目的でやっているんですか?勝ちたいという思いはありますか?」と詰め寄ったのだそうだ。
マウンド上では哲学者だが、マウンドを降りると豪傑ぶりを遺憾無く発揮していた。
「それで何か変わりましたか?」とタケ小山。
「フロントは決まって『我々も大変なんですよ』と言うだけ。毎年のように訴えては追い返され、人事異動でフロントが変わる。埒が明かない」
小宮山さんが訴えることで選手達も同調してくれるかと思いきや孤軍奮闘だったそうだ。
同じようなことはサラリーマン社会でもありそうだ。
「アドバイスはありますか?」と尋ねると「今、反省しているのは文句を言う場所を間違えちゃいけない、ということ。その先につながらないところに言ってもしょうがない。ボクは正しい主張をしていると思っていたのに横浜(ベイスターズ)にとばされたんだもの(笑)」苦笑いするしかなかったタケ小山。
小宮山さんと言えば、“ゴーグル”が印象的。世界ではじめてゴーグルをかけたピッチャーなのだ。
「ファーストペンギンですから色々と言われました」
実は、それまではコンタクトをつけて投げていたのだが、千葉のマリンスタジムは強風で目を開けていられなかったそうだ。助っ人外国人マイク・ディアズのアドバイスで試してみたら日本ハム戦で3安打完封勝利。ゴーグルと髭がトレードマークとして定着した。
常に己の考えを貫く小宮山さんに転職について伺った。
「好きか、嫌いか、これがまずなければならない。その仕事が好きであればどんな苦労にも耐えられるはず。でも、ちょっと面白くないという思いが、好きという思いを上回ったら、そこにいても仕方がない。そういう思いが頭を支配したら、すぐその場から離れて他の仕事に移ったほうがいいと思います」
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パーソナリティ:タケ小山 アシスタント:西川文野(文化放送アナウンサー)
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【転載元】
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