第二次バカッター合戦到来!馬鹿発見器再発動の責任は誰か/増沢 隆太
INSIGHT NOW! / 2019年2月12日 7時44分
増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ
・若者の情弱化が進む
バイト先の食品をつかって不衛生ないたずらをし、それをSNSで自慢し合うことなどがバカッター行為と呼ばれますが、必ずしもツイッターでの露見には限りません。インスタグラムやTiktokなど、次々現れる新SNSの中には、「時限で投稿が消える」機能があるものもあり、最近はメジャーなSNSでもそうした時限機能を搭載したりします。
そのSNS内だけの機能である「時限で消える」ことで安心し、仲間内でのウケを狙って拡散した結果、永久に投稿が保存される他のインターネット上に転載されて公開され、炎上。自宅住所や学校、家族の勤務先をさらされて破滅するという、昔繰り返し行われたバカッター行為と全く同じオチに行きついているようです。
「デジタルネイティブの若者はITに強い」どころか、そのIT知識はどんどん劣化しているといえます。大学生でもPCを操作できなかったり、触れられない者までいます。何でもスマホで済んでしまうため、就職活動時期になって、MSオフィスができないことが露見して大騒ぎになることもあります。
2015年5月11日付けanレポート「バイトテロ、ネット炎上を未然に防ぐ――今、求められるネットリテラシー教育とは」で語ったことがそのまま、全く改善もされずに再び亡霊のように蘇っているのが現在といえます。
・笑いを「見る側」の劣化
ユーチューバ―のカジサックこと、お笑い芸人キングコング梶原さんが、ネット動画番組で評論家の宇野常寛さんをいじり倒し、宇野氏が番組中に帰る事件がありました。カジサックさんは番組のなかのイジリであるとして謝罪も拒否しますが、宇野氏や番組を見た人たちからは、お笑い芸人でもない宇野氏を下手なイジリで笑いに昇華できないカジサックさんの腕が無いという批判が多いようです。
子供のいじめ問題でも、お笑い番組で芸人さんが行う罰ゲームを強要したり、恥をかかせるいじめ行為がありますが、すべてお笑い番組というプロの作品の上辺だけしか理解できない浅はかさによるものといえます。プロのお笑い芸人さんのイジリを見て、一切笑いなど作ることができないど素人が、表面的な言動だけマネて他人を攻撃するのは、ただのイジメであり暴力です。カジサックさんはプロのはずなのに、宇野氏の怒りを買ってしまった以上は残念ながらお笑いを作ることはほとんどできなかったと、いわれて仕方ないと思います。
店長自らが、客として来たたむらけんじさんについて「カメラなかったらおもろない奴」という、いかにも芸人風に見えるだけで、実はオモシロ要素ゼロのツッコミをツイートしたラーメン店が大炎上しました。プロの芸人さんの伏線や振りといった細かい設定を理解できない、表面的な、おもしろ「風」ど素人ツイートは一連のバカッター行為に共通する、知性もおもしろ能力もゼロの馬鹿ぶりを表しています。
伏線や振りといった構成は、本来お笑いを深めておもしろさを増すための重要な要素ですが、そんなめんどうな構成を理解をできない馬鹿者が、素人いじり能力ゼロで表面的お笑い「風」でもインターネットでは情報発信できてしまえます。クリックさえ稼げれば巨額の報酬も得られます。もはや決して若者だけではない話ですが、見る側の劣化は笑いを劣化させ、それはリテラシーを含めた知性の劣化が招いているのだと思います。そうした状況が笑い作りにまで影響しているのでしょう。
・店/企業側の責任
当然のことながら、こうしたバカッター行為を犯す愚か者が責任を負うのは当たり前です。ネット上に永久に行為と氏名、家族情報まで残されるという悲惨な結果を迎えるのも、ほぼ犯罪行為である以上弁護の余地は感じられません。しかし自己責任だけで済ませてしまっても、考える力が劣化している人たちは次々企業価値を毀損するような行為をやらかすことでしょう。企業側の危機管理責任はどんな時でも問われます。
やはり先日バイトスタッフのバカッター行為で被害を受けたくら寿司は、犯人に対し解雇だけでなく、刑事、民事での法的処置を告知しました。「若気の至り」で大目に見るのではなく、問題を顕在化させてさらなる行為続発への抑守としたいという意図には賛成です。
私がこうした飲食やサービス業など接客を伴う業界向けにお話ししているのは、インタビュー記事にもある通り、絶対に他人事と思わず、自社・自店でも起こり得ること、あるいはすでに起こっているかもしれないという危機意識を持つことです。新規入店のアルバイトへの指導を形骸化させず、必ずSNSの扱い方やその結果の損害賠償などについてもいちいち直接説明する。
バカッター事件が表に出るたびに朝礼や臨時スタッフ研修として、事件を共有するといったことが常日頃から行われないことで、発生リスクが高まります。セブンイレブンのようにフランチャイズ店舗など、本部や本社から離れれば離れるほど発生リスクは高まります。
「絶対に起きること」「絶対に他人事ではないこと」と自覚し、不断の対策を講じて下さい。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
カジサック、泥酔ハシゴ酒では“ジャージ脱ぐ”宣言にファン「そういうことじゃないんだよな…」
スポニチアネックス / 2024年11月18日 20時35分
-
アンガ田中 トータル藤田の交通トラブルを痛烈イジリ「あれはクソ人間!」
スポニチアネックス / 2024年11月15日 11時12分
-
松本人志TV復帰絶望的で「お笑い第3世代」の明暗クッキリ…人気を二分したウンナンとはギャラでも大差
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月13日 11時25分
-
ダウンタウン松本人志の笑いは本当に許されないほど悪質な「いじめの笑い」だったのか?
集英社オンライン / 2024年11月9日 9時0分
-
飲食店で「露出テロ」迷惑客の投稿変遷に見る危機 公共の場で下着を出す、悪質客に企業ができる対策
東洋経済オンライン / 2024年10月25日 19時5分
ランキング
-
1副業を探す人が知らない「看板広告」意外な儲け方 病院の看板広告をやけにみかける納得の理由
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 19時0分
-
2ローソンストア100「だけ弁当」第12弾は「イシイのミートボール」とコラボした「だけ弁当(イシイのミートボール)」
食品新聞 / 2024年11月23日 20時40分
-
3【独自】所得減税、富裕層の適用制限案 「103万円の壁」引き上げで
共同通信 / 2024年11月23日 18時57分
-
4《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン / 2024年11月23日 16時15分
-
5ドーミーイン系4つ星ホテル「3300円朝食」に驚愕 コスパ最高、味も絶品!極上のモーニングがここに
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください